[社会]2022/01/12

「第5回 新型コロナウイルス感染症が企業経営に及ぼす影響に関する調査」(一次集計)結果

正社員を中心に人手不足感が根強く、労働者の確保や満足度を高める取組みを多くの企
業は実施 

独立行政法人 労働政策研究・研修機構は、『第5回 新型コロナウイルス感染症が企業経営に及ぼす影響に関する調査」(一次集計)結果』を発表しました。


(調査結果のポイント)

◎企業の経営状況と労働者の増減
<コロナ禍前と比較した 2021年9月の企業の生産・売上額等は、増加 20.0%、減少 49.7%と、約半数の企業はコロナ禍前の水準に戻っていないが、2割の企業はコロナ禍前を上回る>

2021 年9月の企業の生産・売上額等をコロナ禍前の2年前の 2019年9月と比較すると、約半数(49.7%)の企業はコロナ禍以前の生産・売上額等の水準に戻っていないが、2割(20.0%)の企業はコロナ禍以前の生産・売上額等を上回っている。前年同月との比較では、増加した企業割合は 30.4%に対し、減少した企業割合は 36.6%と、依然として4割弱の企業では前年の水準に戻っていない。

<14.8%の企業で前年よりも人件費が減少しており、生産・売上額等の減少割合より小さいが、飲食・宿泊業では約3分の1、運輸業では約2割の企業で減少している>
2021 年9月の企業の人件費を前年同月と比較すると、増加した企業割合は 23.1%、減少した企業割合は14.8%と、いずれも生産・売上額等の減少割合より小さい。産業別に増加した企業割合をみると、情報通信業(31.7%)、製造業(29.5%)で高く、減少した企業割合をみると、飲食・宿泊業(33.7%)、運輸業(19.7%)で高くなっている。

<コロナ禍前の 2019 年9月と比較した企業の 2021 年9月の労働者は、増加 15.7%、減少 22.4%と減少企業割合の方が高く、産業による増減の違いがみられる>
2021 年9月の労働者について、新型コロナウイルス感染症発生前の 2019 年9月と比較した増減をみると、6割弱(58.6%)の企業でほぼ同じとなっており、増加した企業割合(15.7%)が減少した企業割合(22.4%)を下回っている。産業別には、特に飲食・宿泊業(64.3%)は3分の2弱の企業で減少している。また、製造業(26.2%)、小売業(25.4%)は約4分の1の企業で減少している。一方、情報通信業(31.9%)では3割以上、医療・福祉(24.0%)では4分の1弱の企業で増加している。

◎労働者の過不足状況と労働者の確保、満足度を高めるための企業の取組み
<コロナ禍においても企業の人手不足感は根強く、厳しい経営環境の中でも企業の雇用維持のスタンスがより一層強まっている>

2021 年9月末の企業における労働者の過不足状況をみると、「過剰」と「やや過剰」を合計すると 14.2%、「不足」と「やや不足」を合計すると 39.5%と、不足感の方が25.2%ポイント高くなっている。雇用形態別には、「正社員・正規従業員」の方が、「パート・アルバイト・契約社員」、「派遣労働者」よりも不足感が高い。今後の労働者の確保、充足見込みについては、「正社員・正規従業員」については、不足する見込み
の割合の方が高く、「パート・アルバイト・契約社員」、「派遣労働者」については、充足できる見込みの割合の方が高い。
今後、労働者を確保するために企業が実施するとした取組みとしては、「働きがいや仕事に対する充実感を高める」(44.3%)、「募集時の賃金を引上げる」(40.5%)、「女性の活躍を進める」(34.4%)、「年休取得促進や長時間労働の抑制によりワーク・ライフ・バランスを進める」(33.5%)の順に高くなっている。
企業が従業員の満足度を高めるために実施している取組みとしては、「従業員の雇用の安定の取組(解雇をできるだけしない)」(61.4%)、「年次有給休暇の取得促進」(57.6%)、「賃金の引き上げ」(56.0%)、「長時間労働の抑制」(49.7%)の順に高くなっている。
2021 年9月時点の生産・売上額等の水準が今後も継続する場合に現状の雇用を維持できる期間については、13.8%の企業で半年以内、25.5%の企業で1年以内としている一方、「雇用削減の必要はない」(35.6%)、「それ(2年)以上(当面、雇用削減の予定はない)」(33.3%)を合わせると7割近く(68.9%)となっており、継続回答企業でみても企業の雇用維持のスタンスが強まっているように見える。ただし、飲食・宿泊業では 7.6%ですでに雇用削減を実施しており、雇用を維持できる期間についても 40.3%で
半年以内、52.5%で1年以内となるなど、他の産業よりも厳しい状況となっている。

◎在宅勤務(テレワーク)の実施状況
<テレワーク実施割合は年明け以降上昇>

第1回企業調査からの継続回答企業における在宅勤務(テレワーク)実施率の推移をみると、2020 年2月の 5.1%から5月には 55.9%にまで上昇した後、最初の緊急事態宣言の解除とともに低下傾向にあったが、2度目の緊急事態宣言が発出された 2021 年1月には再び 42.0%まで上昇し、その後は 40%台で推移している。


◎企業の業績に関する今後の見通し、今後の事業継続に対する考えと将来の人材、経営戦略
<企業業績の回復の見通しは、「分からない」、「半年超から1年くらいかかる」、「1年から2年くらいかかる」の順に高く、特に、飲食・宿泊業においては、回復まで時間がかかると考えている企業割合が他の産業よりも高い>

企業の業績に関する今後の見通しは、「分からない」(18.2%)、「回復して元の水準に戻るには半年超から1年くらいかかる」(14.7%)、「1年超から2年くらいかかる」(13.5%)の順に高く、「既に回復して元の水準に戻った」は 13.2%にとどまっている。産業別にみると、「回復しない」は小売業(13.1%)、サービス業(7.5%)で、「2年超かかる」は飲食・宿泊業(18.7%)、小売業(8.7%)で相対的に高く、特に、飲食・宿泊業においては、回復まで時間がかかると考えている企業割合が他の産業よりも高い。


<今後の事業継続については、5割弱の企業が「現行の体制で事業を継続する」、3割弱の企業が「業務を拡大して事業を継続する」としている一方、飲食・宿泊業では16.1%、運輸業では 10.5%、小売業では 10.2%の企業が「業務を縮小して事業を継続する」ことを考えている>
今後の事業継続に対する企業の考えは、「現行の体制で事業を継続する」が 47.7%、「業務を拡大して事業を継続する」が 27.0%、「別の事業を新たに始めて事業を継続する」が 7.3%、「業務を縮小して事業を継続する」は 5.7%となっている。産業別では、「業務を拡大して事業を継続する」は、情報通信業(53.0%)、医療・福祉(37.3%)、運輸業(36.3%)で高い一方、「業務を縮小して事業を継続する」は、飲食・宿泊業(16.1%)、運輸業(10.5%)、小売業(10.2%)で高い。経営面の対応としては、インターネットの活用などによる販路拡大、販売体制の拡大に力を入れようとしている姿勢がうかがえる。

<企業は今後の経営を考える上で、コロナ禍の継続と人口減少による国内市場の縮小、人手不足等を経営リスクと捉えている>
企業が今後の経営を考える上で、経営リスクと捉えていることとして、「コロナ禍が継続すること」(52.1%)、「人口減少による国内市場の縮小」(43.2%)、「人口減少による人手不足」(41.6%)、「自然災害・気候変動」(32.4%)、「後継者問題」(21.8%)の順に高くなっている。

 

◆本調査の詳細は、こちら(PDF)をご覧ください。

(独立行政法人 労働政策研究・研修機構/12月24日発表・同法人プレスリリースより転載)


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