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掲載日:2024/09/18

「転職を主目的とした離職」の動向を調査

Indeed Hiring Lab、「転職を主目的とした離職」の動向を調査
2023年の「自発的」離職率は2012年(上半期比)より17.6%上昇、
40代前半では54.8%上昇しており、若年のみならず、
ミドル人材の転職が増加傾向。


公的データから「転職を主目的とした離職率」を独自に算出し、
推移を可視化する方法を開発


世界No.1求人サイト* 「Indeed (インディード)」の日本法人であるIndeed Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:大八木 紘之、以下Indeed)は、国際的なエコノミックリサーチ機関であるIndeed Hiring Labのエコノミスト 青木 雄介によるレポート「転職を主目的とした離職動向:日本の労働者は以前より良い仕事を見つける自信があるように見える」(7月31日公開)の主要ポイントについてまとめました。

離職率は、労働需要のデータとともに、労働市場の逼迫状況や流動性を表す上で重要な指標です。加えて、労働需要のもととなる採用企業側の行動や意思決定とは別に、離職率には労働者側の転職に対する意思決定が反映されているため、労働市場の動向を把握する上で貴重な情報です。厚生労働省による「雇用動向調査」から年次の離職率データが公開されているものの、転職を主目的とした「自発的」離職率の年次推移は公開されておらず、労働者の転職動向の把握、労働市場の逼迫との関連付けが難しい状況です。

一方で米国では、労働省から毎月発表されている求人率や採用率、離職率などの雇用関連指標であるJOLTS(Job Openings and Labor Turnover Survey)※1にて、転職を表す「自発的」離職率の月次データ※2が公開されており、労働市場の逼迫度の評価や金融政策の意思決定における有用なデータとして活用されています。

そこで、Indeed Hiring Labでは、厚生労働省による「雇用動向調査」から一般労働者(常用労働者のうち、パートタイム労働者を除いた労働者)に焦点を当て、米国労働省のJOLTSと同様に、転職を目的とした「自発的」離職率を算出する方法を開発し、分析結果のレポートを公開しました。

本プレスリリースは、Indeed Hiring Lab日本サイトの「転職を主目的とした離職動向:日本の労働者は以前より良い仕事を見つける自信があるように見える」(7月31日公開)を要約したものです。
※1: U.S. BUREAU OF LABOR STATISTICS 「Job Openings and Labor Turnover Survey」
※2: U.S. BUREAU OF LABOR STATISTICS 「Quits: Total Private [JTS1000QUR], retrieved from FRED」
 

◾️「転職を主目的とした離職動向」主要ポイント

厚生労働省「雇用動向調査」のデータを元に、Indeed Hiring Labが独自に開発した、転職を主目的とした「自発的」離職率を算出する方法を用いて分析した結果、以下の動向が明らかとなりました。

・転職を主目的とした離職率は上昇傾向
一般労働者の転職を主目的とした離職率は、パンデミック以前の同離職率より高い水準を維持して上昇傾向にあり、労働者側がより良い仕事を求める傾向が強まっている。
・ミドル人材の転職が増加
特に20代後半と40代前半を中心に転職を主目的とした離職率は上昇傾向であり、若年のみならずミドル人材の転職が増えている傾向にある。
 

◾️Indeed Hiring Labエコノミスト 青木 雄介 コメント

今回の分析により、日本では人材獲得競争が活発な中で、2022年以降、労働者側にはより良い就業機会を見つけたいという意向が強まってきていることが確認されました。さらに労働者はより良い仕事を見つける見通しについて、従前よりも自信をつけているように見えます。今後良い機会を見つけた労働者が新しい役割に留まることに満足したり、市場が冷え込むことで就業者が現在の職場にとどまることが増えれば「自発的」離職率は下がりますが、そのような材料は現時点で観測されません。むしろ2024年の労働需要は依然旺盛であることに加え、転職が少しずつ身近になってきた中で、キャリア構築の意識が少しずつ高まってくれば、「自発的」離職率が2021年以前より高い傾向は今後も続くものと考えられます。
 

■Indeed Hiring Labレポート「転職を主目的とした離職動向」の抜粋・要約

Indeed Hiring Labでは、厚生労働省「雇用動向調査」における「常用労働者」のうち「パートタイム労働者」を除いた「一般労働者」について、転職を主目的とした離職者を多く含む「自発的」離職者に焦点を当てました。そして「雇用動向調査」のデータをもとに、「自発的」離職率について、公開されていない2019年以前の上半期(1〜6月期)データを回帰分析により推計し、2012年〜2023年上半期(1~6月)の平均値を独自に算出※3することで、中長期的な推移を可視化しました。

※3: 算出方法の詳細はIndeed Hiring Labのレポート「転職を主目的とした離職動向:日本の労働者は以前より良い仕事を見つける自信があるように見える」の「方法」をご参照ください。

・転職を主目的とした離職率は上昇傾向
Indeed Hiring Labが独自にデータを推計・算出した結果、転職を主目的とした「自発的」離職率は2023年1〜6月期は2012年同期比で17.6%上昇しています。2022年より前と後で大きく変化しており、2022年1〜6月期の「自発的」離職率は4.35%とピークに達し、2023年1〜6月期は4.30%とやや低下したものの、2021年以前とは全く異なる高い水準を示していることがわかります。
日本は労働市場の流動性がもともと低い状況にありましたが、コロナ禍の影響が緩和し労働市場がさらに逼迫し、同時にインフレの懸念が増加するにつれ、労働者はより良い仕事を求めて離職する傾向が強まっていると示唆されます。このような離職率の高まりと労働市場の逼迫については米国等他国でも確認されており、2022年で最も高く、2023年で少し落ち着いてもまだ高い水準を維持している傾向は概ね整合的と言えます。

・ミドル人材の転職が増加
年代ごとに一般労働者の転職を主目的とした「自発的」離職率を算出すると、特に20代後半と40代前半で離職率の上昇が顕著であることが見て取れます。
25〜29歳では、離職率は2023年上半期には8.01%となり、2012年上半期の5.71%から40.2%も成長しており、一貫して上昇傾向を見せています。この背景には、従前より若手人材不足に対する高い労働需要がさらに高くなっていることに加えて、一定の勤務年数で経験を積んだ上で転職意向のある若手人材がより増加したことで、転職により結びついていると考えられます。
さらに40〜44歳では、2016年以降パンデミックまで離職率は足踏みしていましたが、その後上昇に転じています。2023年上半期には3.80%でピークに達し、2012年上半期の2.46%から54.8%も成長しています。このように若手人材だけではなくミドル人材も離職率が増えていることが最近のトレンドとして、さらに注目されます。これは、管理職の不足や採用企業の事業拡大に伴う専門人材不足により労働需要が増加し、採用企業の人材獲得競争が活発化することで、労働者側も現職場よりも魅力的と感じる仕事を見つける機会が増え、結果として転職のマッチング機会が増えてきたことが背景にあると考えられます。
 

■調査概要
●調査・分析主体:Indeed Hiring Lab
●調査・分析対象期間:2012年(1〜6月)〜2023年(1〜6月)
●方法:厚生労働省「雇用動向調査」の「常用労働者」のうち「パートタイム労働者」を除いた「一般労働者」について、離職理由のうち「個人的理由- うちその他の個人的理由」の離職者から「自発的」な転職率を回帰分析により推計。2012年1〜6月〜2023年1〜6月の平均値を算出※3した。

※3: 算出方法の詳細はIndeed Hiring Labのレポート「転職を主目的とした離職動向:日本の労働者は以前より良い仕事を見つける自信があるように見える」の「方法」をご参照ください。
 

◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(Indeed Japan株式会社 /9月10日発表・同社プレスリリースより転載)