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掲載日:2024/04/04

企業の7割が「アルバイトが担う仕事は将来的にテクノロジーに代替えされると思う」と回答

非正規社員を対象にリスキリングを実施している企業は半数以下。
一方で、非正規社員にも今後は「新しいデジタルツールを活用するスキル」が求められる!

株式会社マイナビは、非正規社員の「技術的失業」の課題とリスキリング(学び直し)実態を発表しました。


【TOPICS】
■企業の7割は、「アルバイトが担う仕事は将来的にテクノロジーに代替えされると思う」と回答
■今後必要となるスキルは正社員・非正規社員ともに「新しいデジタルツールの活用スキル」が最多
■仕事をテクノロジーに代替えした場合、4社に1社以上で、非正規社員の技術的失業の可能性
■リスキリングを実施している企業は50.8%、そのうち非正規社員を対象とするのは半数以下
■アルバイトで学び直しに取り組んでいる人は16.5%、必要性を感じない人が約5割弱

 

企業の7割は、「アルバイトが担う仕事は将来的にテクノロジーに代替えされると思う」
業種別では「小売」が最も多く、次いで「製造」、「ソフトウェア・通信」で約8割

現在のアルバイトが担っている仕事が将来的にシステムやAI・ロボットなどのテクノロジーに代替されると思う企業は70.9%となり、そのうち36.9%の企業がアルバイトが担う仕事のうち5割以上がテクノロジーに代替されると思うと回答した。テクノロジーの進化を受けて、今後アルバイトの労働環境が変化することが考えられる。

テクノロジーに仕事が代替されると思う企業がもっとも多かった業種は[小売(80.8%)]で、次いで[製造(建設除く)(80.2%)][ソフトウェア・通信(77.8%)]となり、セルフレジの導入など省人化が進んでいるコンビニ・スーパーといった小売業で多い様子がうかがえた。

一方で[ソフトウェア・通信]の過半数の企業では、アルバイトが担う仕事のうち5割以上がテクノロジーに代替されると思うと回答し、代替される可能性がある仕事が多いことがわかった。生成AIの普及等により将来的に新しい仕事が生まれてくることが考えられることからも、IT業界は今後さらに労働環境が変化する業種であるとみられる。

 

仕事をテクノロジーに代替えした場合、4社に1社以上の企業で、非正規社員の技術的失業の可能性

現在の仕事をシステムやAI、ロボットなどのテクノロジーに代替した場合に想定される施策を聞いたところ、「非正規社員の削減」が29.4%ともっとも高くなり、次いで「正社員の労働時間の短縮(27.2%)」、「正社員の削減(26.6%)」となった。

DX・AIの推進により、人員計画の見直しを行う企業が多いことから、雇用形態にかかわらず技術的失業が起こる可能性がうかがえた。とくに非正規社員では、4社に1社以上の企業で就業機会が減少する可能性があるとみられる。


仕事を代替えされた場合に必要となるスキルは正社員・非正規社員で差はなく、「新しいデジタルツールの活用スキル」が最多

今後システムやAI、ロボットなどのテクノロジーに仕事を代替えされた場合に、必要になるスキルがある企業は非正規社員に対しては50.8%、正社員に対しては60.6%となり非正規社員・正社員ともに今後必要になるスキルがあると考える企業が多かった。

非正規社員・正社員ともに必要になるスキルは、「新しいデジタルツールの活用スキル」がもっとも多く、次いで「AIを用いたデータ分析スキル」「ビジネス課題を設定・解決するスキル」となった。テクノロジーに仕事を代替えされた場合に企業が労働者に求めるスキルには雇用形態による差はなく、デジタルスキルを労働者に求める企業が多いことがわかった。


リスキリングを実施している企業は50.8%、そのうち過半数は正社員にのみ実施

正規・非正規問わず従業員に対し、デジタルスキルを求めている現状がある中で、企業のリスキリング実施状況をみてみる。現在従業員にリスキリングを実施している企業は50.8%で、そのうち56.7%が「正社員のみに実施している」と回答した。企業のリスキリング実施率には雇用形態によるギャップがみられ、非正規社員にリスキリングを実施している企業は少ないことがわかった。

一方で、今後従業員にリスキリングを行う予定がある企業は53.9%となり、現在の実施状況を上回ったことから、今後の企業における従業員に対するリスキリング意向は高いことがうかがえる。

しかし、現在のリスキリング対象としてもっとも多かった「正社員のみにリスキリングを実施している」企業に、今後のリスキリング実施対象を聞いたところ、72.7%が今後も正社員のみに実施予定と回答した。

今後のリスキリング対象も正社員のみとする企業が多いことから、雇用形態によるリスキリングの機会格差が課題であると考えられる。

また、非正規社員は、正社員と比べ長期雇用を前提としない場合も多い雇用形態であることから、教育投資は正社員を優先にと考える企業が多く、非正規社員の能力開発の機会が少ない要因であると考えられる。


アルバイトで学び直しに取り組んでいる割合は16.5%、必要性を感じない人が約5割弱

次に、働く人の学び直しの状況をみてみる。アルバイトで学び直しに取り組んでいる割合は16.5%となった。また、必要性を感じるかどうかを聞くと、「必要性を感じていない」は45.7%となった。

アルバイトで学び直しが必要と思わない理由は「転職をする予定がないため」が約5割ともっとも高く、次いで「どのようなことを学び直したら仕事に活かせるかわからないため」となった。

アルバイトにおいては学び直しの必要性を感じる人も過半数いる一方で、取り組み状況は2割に満たない結果となった。アルバイトの仕事が将来的にテクノロジーに代替されると思う企業は7割を超えることから、現在の職場で必要とされるスキルが今後大幅に変化する可能性もあるため、転職する予定がない人でも技術革新に対応するために必要なスキルを取得することが必要であると考えられる。

また、今後非正規社員にも求めるスキルが変化していく中、企業や政府が労働環境や求められるスキルについて将来的な見通しを働き手に提示していくことも重要であると考えられる。


<まとめ>
現在アルバイトが担う仕事が将来的にシステムやAI・ロボットなどのテクノロジーに代替えされると思う企業は7割となったことから、働き手に求められるスキルも今後変化する可能性が高いと考えられます。そのため、今後は非正規社員においても、ビジネスモデルや雇用環境の変化に対応して、成長分野である職種や異なる仕事に適応するスキルの取得・アップデートを行う学び直しが求められていくでしょう。

一方で、従業員にリスキリングを実施している企業のうち、過半数は正社員のみを対象としていることがわかりました。今後は非正規社員にも、デジタルスキルが必要となる中で、企業や政府が主導してリスキリング機会を提供していくことが求められると考えられます。

また、非正規社員のうち「学び直しの必要性を感じている」人も過半数いる一方で、実際に取り組めている人は2割弱となりました。非正規社員で働いている理由として仕事と家事・育児・介護との両立のしやすさが多いことから、リスキリングに取り組む時間や場所が壁の一つとしてあることが考えられます。

そのため、今後、非正規社員が自らリスキリングに取り組むことができるように時間や場所の自由度が高く柔軟にリスキリングできる環境の整備を行うなど非正規社員のニーズに合わせたリスキリングを行う必要もあるでしょう。

雇用形態に関わらず企業がリスキリングに取り組むことは、働き手の生産性向上や企業の業績向上にも繋がります。また、リスキリングの実施は労働者の「技術的失業」を防ぎ、新たな雇用機会の創出など社会全体の発展に寄与できるといえるでしょう。(キャリアリサーチLab研究員 三輪 希実)

 

◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。

(株式会社マイナビ / 3月25日発表・同社調査結果より転載)