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掲載日:2021/09/15

「コロナ禍の採用活動とコロナ収束後のDX」に関する調査

コロナ収束後の採用活動は「デジタルツールの活用が定着する」と86%が予測

ディップ株式会社(以下「当社」)は、「コロナ禍の採用活動とコロナ収束後のDX」について調査しましたのでご報告します。本調査は、デジタルツールを活用した採用活動について、人事部門と直近1年以内に転職をした969名を対象に調査しました。
 

<調査結果サマリ>

1. 採用業務のデジタルツール導入率は43.8%
企業規模別に分析したところ、中小企業は49.2%とほぼ半数が「導入を検討してない」と回答

2. 面接は「対面」が51.6%、「Web面接」が49.6%とほぼ半々の割合。
入社手続きは「書類でのやり取り」68.6%、「オンライン上でのやり取り」31.4%と7:3の割合。

3. デジタルツールの効果について76.1%が効果を実感。
最も多い実感理由は「業務スピードの効率化に繋がったから」

4. 人事部門におけるデジタルツールの活用は、86.3%が「定着する」「利用が進む」と予測。

 

<調査概要>
1. 採用領域のデジタルツール導入状況と効果実感
人事部門に「採用業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)の状況」について質問したところ、「デジタルツールを導入した」が43.8%と、約4割強を占めることがわかりました。
企業規模別にみると、大企業では「デジタルツールを導入した」が52.1%と半数を超えている一方で、中小企業では32.6%と、大企業と比べて20ポイント近くの差が生じています。また、注目すべきは、中小企業は「導入を検討していない」が49.2%とほぼ半数を占めていることです。大企業の「導入を検討していない」28.4%と比べると差が大きく、現在の導入率と検討段階に入っていない現状からDXの遅れがみられます。

また、全体で23.1%が、生産性が向上したと回答しています。企業規模別に見ると、大企業では27.9%が「生産性が向上した」と実感しているのに対して、中小企業では16.6%と10ポイント以上の差が生じていることがわかりました。

次に、採用領域だけでなく人事部門全体のデジタルツール導入率について調査したところ、最も導入率が高かったのは「勤怠・給与管理ツール」61.1%でした。次いで「Web面接のためのオンライン会議ツール」53.6%「採用ページCMS」28.9%、「正社員の採用管理ツール」27.8%、「入社時のオンライン書類提出ツール」26.4%、「シフト管理ツール」24.9%、「アルバイトの採用管理ツール」15.2%でした。
 

2. 採用時のオンライン化の割合
面接形態について、全体では「対面で行っていた」51.6%、「Webで行っていた」48.4%とほぼ半々で、大企業と中小企業にそこまで差がない結果でした。

一方、入社手続きの方法は「書類でのやり取り」68.6%、「オンライン上でのやり取り」31.4%と7:3の割合で、面接時のデジタルツールの利用と比べてオンライン化が進んでいませんでした。企業規模別にみると、大企業では「オンライン上でのやり取り」が35.9%に対し、中小企業では26.8%と10ポイント程度低く、大企業と中小企業でデジタルツールの利用状況に開きがみられました。

 

3. デジタルツールの効果実感と満足度について
デジタルツールの効果について、「効果を実感している」が76.1%と高く、理由として「業務スピードの効率化に繋がったから」が最も多い結果となりました。ただし、中小企業においては「(効果実感は)特になし」が22.9%と、大企業の6.3%と比べると15ポイント以上も差があり、デジタルツールを導入したものの、効果を実感できてない層が一定数存在していることがわかりました。

デジタルツールを利用しての面接と入社手続きの満足度について、全体平均では72.3%が「満足している」「やや満足している」としていますが、転職者と人事部門それぞれで統計をとったところ、「満足している」の回答は、転職者は35.5%に対して、人事部門は22.5%と13ポイントの差がありました。人事部門の満足度が転職者よりも低い要因について、フリー回答では「面接時、人間性がわからない」「自社の説明が伝わっているか不明」などの理由が挙げられていました。
 

4. コロナ収束後のデジタルツールの定着について
人事部門におけるコロナ収束後のデジタルツール定着について、全体では「利用が定着する」が50.3%と半数を占めており、「利用が進む」35.8%を含めると86.1%がコロナ収束後のデジタルツール定着がかなり高くなると予測していることがわかりました。

「(コロナ収束後も)利用が進む」の回答として最も多かったのは「入社時のオンライン書類提出ツール」39.6%でした。前述の通り、現時点ではWEB面接に比べると「入社手続き」のオンライン化は遅れていますが、これから利用が伸びる可能性がうかがえます。

デジタルツールの利用が進むと予測できる背景として、「エントリーの数が圧倒的に増加、全国各地から応募が集まるようになった」という「応募数の増加」を理由に挙げる意見が多く、時間的・場所的な制約が緩和されたことにより、応募しやすい環境になったことがうかがえます。

同時に、エントリーが増えたことによって、志望動機が不明瞭な応募者が増えるなどといった声も挙がっています。一方で、「入社希望者が増えた為、入社条件を厳しくして、よりいい人材や若手社員の獲得を目指すようになった」と、条件や面接のスタイルを変えることで、より優秀な人材の採用を目指す様子もうかがえました。

 

■まとめ
「WEB面接で接触頻度を増やし、最後は対面で判断するハイブリッドな面接がこれからの主流」(ディップ株式会社 執行役員 DX事業本部 本部長 三浦日出樹)


コロナ禍においてWEB面接は、アンケート回答者の半数が活用するメジャーな採用手段になりましたが、人事側の満足度が転職者よりも低いという結果になりました。「WEB面接だと応募者の見極めが難しい」というのがその理由です。WEB面接で得られる情報は、対面の面接で得られる情報よりも少ないので無理もありません。しかし、WEB面接がこれだけ浸透した今、コロナが収束してもすべて対面の面接に戻ることはないため、採用する側も新しい面接スタイルを模索しなければなりません。

一次面接は、地理的制約なしに優秀な人材にあえるWEB面接、最終面接はやっぱり対面で見極める、というように、WEBと対面を併用できるように確立していく必要があるでしょう。


◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。

(ディップ株式会社/9月7日発表・同社プレスリリースより転載)