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掲載日:2018/01/30

後継者のいる企業では、後継者の年齢が30代の間に経営の承継を検討すべき~『事業承継の実態に関するアンケート調査』:東京商工会議所

東京商工会議所(三村明夫会頭)は、事業承継対策委員会(委員長:加藤雄一・アドバネクス会長)に事業承継専門家ワーキンググループ(座長:村上義昭・日本政策金融公庫経済研究所 主席研究員)を設置し、「事業承継の実態に関するアンケート調査」報告書を発行しました。

 

中小企業の経営者の高齢化が進み、今後数年の間に事業承継に直面する「大事業承継時代」の到来が必至であることから、当所では、中小・小規模企業経営者が事業承継に取り組むうえでの課題を整理・分析するとともに、必要な支援策について研究するため、調査を実施し、本報告書を取りまとめました。

本報告書ではアンケート結果による現状を踏まえ「後継者を決定する重要性」や「後継者年齢を考慮した経営の承継」など、今後の事業承継の方向性や対応策を紹介しています。

 

【調査結果の主なポイント】
<調査結果の構成>

1.後継者の決定状況
2.事業承継の適切なタイミング
3.事業承継対策の重要性に対する気づきを促す
4.事業承継の様々な選択肢を検討する必要性
5.親族内承継
6.従業員承継
7.M&A

対象:東京23区内事業者10,000社
期間:平成29年7月14日~8月10日
回答数:1,907社(回収率19.1%)

 

<調査結果の概要>(抜粋)

1.事業承継の準備・対策を進めるためには、まずは後継者を決定することが重要

【事業承継の障害・課題(上位4項目)における、準備・対策を行っている割合】
◆「既に後継者を決めている」企業と「後継者候補はいる」企業では、準備・対策状況に大きな差がみられる。
⇒後継者が決定している企業ほど、事業承継の準備・対策が進んでいる。

【後継者の周知状況(条件:60歳以上の経営者)】
◆「後継者候補はいる」企業では、経営者が高齢でも、後継者を誰にも伝えていない企業が多い。
◆後継者候補には、従業員承継を想定している企業が多く、高齢で事業承継が円滑に進まない場合は廃業に直結する。

 

2.後継者のいる企業では、後継者の年齢が30代の間に経営の承継を検討すべき

【事業を引き継いだ年齢と業況が良くなった割合】
(条件:2代目以降の経営者かつバブル崩壊後の1993年以降に事業を引き継いだ経営者)
◆30代で事業を引き継いだ経営者は、事業承継後、最も業況を拡大している。
◆30代~40代で引き継いだ経営者は、事業承継のタイミングを“ちょうどよい時期”と回答している割合が高く、前向きな新たな取り組みを行っている経営者が多い。
⇒事業承継のタイミングとして、現経営者の年齢で判断するだけでなく、後継者候補が30代の時期に、経営の承継を検討すべきである。

 

3.後継者のいない企業では、後継者探索・確保のため、早期対策の重要性に経営者が気付くことが必要

【後継者の探索・確保を障害・課題と感じている割合と、準備・対策状況】
⇒経営者の年齢が上がっても、準備・対策状況は変わらない
⇒経営者に子供がいない企業は、準備・対策状況が低い。

 

事業承継の実態に関するアンケート調査
概要版(PDF)
報告書(全文)(PDF)

 

【本件担当・問い合わせ先】
東京商工会議所
中小企業部
担当 大山・湯木・阿知良
TEL 03-3283-7724

 

◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。

(東京商工会議所 http://www.tokyo-cci.or.jp/ /1月25日発表・同商工会議所プレスリリースより転載)