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掲載日:2017/04/13

コンプライアンスのキーワードの認知度は8割を超えるが、企業での順守教育の実施や規程整備は4割程度に留まる~『コンプライアンスに関するアンケート調査』:日本法規情報

日本法規情報株式会社(本社:東京都新宿区 代表取締役 今村 愼太郎)は、インターネットアンケートを実施し、「コンプライアンスに関するアンケート調査」について発表しました。

 

近年、企業を中心とした不祥事が相次いでおり、コンプライアンス問題に対する注目は年々高まっています。コンプライアンスとは、企業倫理や法令順守を意味します。企業の違法行為や背信的行為といったコンプライアンス違反は、企業にとっても大きな不利益をもたらすため、リスク管理のためにもコンプライアンスはますます重要となっています。そこで、今回はコンプライアンスに関する意識調査を行ないました。

まず、コンプライアンスという言葉がどの程度浸透しているか調査してみました。

 

コンプライアンスという言葉を知る人は全体の86%!
質問:コンプライアンスという言葉の意味を知っていましたか。

調査の結果、「コンプライアンス」という言葉の意味を知っている方は全体の46%にのぼり、実に半数近くが言葉の意味は理解していることが分かりました。「言葉自体を聞いたことがある」と回答した方も含めると約8割がコンプライアンスという言葉自体を耳にする機会があったことが明らかとなりました。

企業の不祥事がメディアで多く取り上げられることなどがきっかけとなり、コンプライアンスに関する注目が集まっているようです。

そこで、コンプライアンス順守に関する教育を受けたことがある方はどの程度いるのかさらに調査してみました。

 

■コンプライアンス遵守教育36%にとどまる
質問:コンプライアンス研修等、何らかのコンプライアンス遵守に関する教育を受けたことがありますか。(働いている働いていた経験がある」と答えた人のみの結果)

「コンプライアンスに関する教育を受けたことがない」と回答した方は全体の64%となり、「コンプライアンス教育を受けたことがある」と回答した方の36%を大きく上回りました。先ほどの「コンプライアンス」という言葉を知っている方の割合とは大きく異なり、実際にコンプライアンス教育・研修を受けたことがある方は少ないことがわかりました。ここから、企業側のコンプライアンス順守に関する知識を社員に提供するなどの努力不足、取り組みがまだまだ進んでいないことが読み取れます。世間におけるコンプライアンスに関する注目度に企業側の対応が追い付いていないと考えられます。

では、どの程度の割合の人が自社のコンプライアンス関連の規定を理解しているのか、更に調査してみました。

 

■自社のコンプライアンスに関する規定を理解しているのは半数にも満たない
質問:自社のコンプライアンス関連規定を理解していますか。(働いている、働いていた経験がある人のみの結果)

調査の結果、自社に関するコンプライアンス関連規定を理解している方は全体の42%、理解していない方は全体の58%と半数を上回っていることがわかりました。

先ほどのコンプライアンスの教育経験者の割合と比較すればやや高くなってはいますが、依然として“従業員のコンプライアンス順守意識”が希薄であることがみてとれます。

 

企業不祥事やコンプライアンスに詳しいC-ens法律事務所の森崎秀昭先生によると、「コンプライアンスという言葉が多義的なので、イメージをしにくいかと思います。でも、難しく考える必要はありません。法律を守り、社内規程を守り、人とした正しいことを行うことがポイントになります。会社法の規定によると、特に大会社はコンプライアンス体制を構築する必要があります。また、判例によっても、企業役員は効果的なコンプライアンス体制を構築して、これを実践することが義務(善管注意義務)とされています。具体的には、個々の会社の状況や実情において、合理的で実効性のあるコンプライアンス体制を構築し、このコンプラインス体制についてPDCAを回し続けることが重要になります。コンプライアンス体制は企業理念から具体化して構築してもらえれば良いと思います。そして、コンプライアンスに関する教育・研修はコンプライアンスの重要な手段になります。また日々の業務の中で、コンプライアンスを重視して、業務に従事することが重要です。コンプライアンス体制構築の義務に違反した場合には、株主代表訴訟による責任追及まで受ける可能性がありますので、役員の方々は重要性を再確認してもらえたら幸いです。また、ここで、コンプライアンス体制の構築が役員の義務だからと言って、従業員が漫然と仕事をして、コンプライアンス意識が欠如した活動をしても良いということではありません。法令違反や会社の規程違反は就業規則等において懲戒事由とされていることが一般的です。そのため、個々の従業員の方々は、コンプライアンス体制が不十分な会社で勤務していても、胸を張って仕事ができるように清く正しく仕事をしていただければと思います。このような話をすると、理想論であって、現実はそんなに甘くないと思われる方もいるかと思います。しかし、現実は、コンプライアンス体制や意識の欠如によって、企業不祥事が発生し、具体的な損害が生じ、企業のレピュテーションが低下して、取引先、金融機関との関係が悪化したり、採用が困難になるなどの直接的な損害以外の損害が発生するものです。それぞれの企業には、社会の公器として、法令順守だけでなく、倫理観を持って事業に推進していただいて、世の中に価値あるモノやサービスを広めて欲しいと思います。」

 

今回の調査で、多くの方がコンプライアンスという言葉を知っているにも関わらず、企業側が教育を積極的に行っている企業は少数派ということが分かりました。そのため自社のコンプライアンスについては詳しく理解していないという方も多いようです。

従業員が自社のコンプライアンスについて詳しく理解しておくことは企業にとっても有益なことであり、コンプライアンスについての教育を行うことは、万が一、不祥事が発生した際に大いに役立つと思われます。コンプライアンス教育や制度設計など、専門家に相談することで、コンプライアンスへの意識を高めておくことをおすすめします。

調査期間: 2016/9/28 ~2016/10/19
回答者: 967人

 

■問い合わせ先
日本法規情報株式会社 Public Relation Team 
pr@nlinfo.co.jp
03-5339-7500(代表)

 

◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。

(日本法規情報株式会社 http://www.nlinfo.co.jp/ /4月10日発表・同社プレスリリースより転載)