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掲載日:2015/06/12

JILPT、「ものづくり企業の経営戦略と人材育成に関する調査」結果
~「高度な熟練技能」が自社の強みと認識している企業が3割強~

労働政策研究・研修機構(JILPT)は、「ものづくり企業の経営戦略と人材育成に関する調査」を行いました。

 

・「高度な熟練技能」が自社の強みと認識している企業が3割強
・多くの企業が「熟練技能者」の「新技術開発」「新製品開発」での役割を評価

 

【調査結果のポイント】

<3社に1社が「高度な熟練技能」が自社の強みと認識>
自社の強みについて聞いたところ(複数回答)、「高度な熟練技能を持っている」ことを強みだとする企業割合が33.8%と最も高く、次いで「極めて短い納期に対応できる」(31.0%)、「優良企業の下請企業の主力となっている」(24.1%)、「他社の参入が難しい製品・サービスを提供している」(21.8%)、「狭い市場で高いシェアを誇っている」(18.4%)などと続く。

 

<約半数が「熟練技能者集団」企業で、規模が小さいほどその傾向>
企業の人材的特徴をタイプ分けすると、「ベテランの技能者が多く、熟練技能者集団に近い」企業が45.4%と半数近くを占め、「比較的簡単な作業をこなす労働集約的な作業者集団に近い」企業が35.7%、「研究者・技術者の割合が高く、研究技術者集団に近い」企業が9.0%。規模が小さいほど「ベテランの技能者が多く、熟練技能者集団に近い」企業割合が高くなっている。

 

<最も多くの企業が「熟練技能者」を主力製品づくりのキーパーソンにあげ、「加工・組立新技術の確立」「新製品の開発」での役割を評価>
主力製品づくりのキーパーソンに「高精度の加工・組立ができる熟練技能者」をあげる企業が20.5%と最も高く、次いで「工場管理・作業者の指導ができる工場管理者層」(17.1%)、「生産現場の監督ができるリーダー的技能者」(16.4%)など。技能系人材をあげる企業(49.3%)が技術系人材(23.3%)を大幅に上回っており、熟練技能工が経営を支えている様子がうかがえる(P11、図表17)。「熟練技能者」の役割については「これまでの経験や熟練技能を活かして、新しい加工・組立技術を確立した」が40.5%と最も高く、「これまでの経験や熟練技能を活かして、新しい製品の開発に貢献した」(17.2%)が続く。

 

<約9割の企業が経営基盤を支える「ものづくり人材」を自前で育成>
経営を支えるものづくり人材をどのように確保するかについて、約9割(88.9%)の企業が中途もしくは新卒を自前で育成するとしており、能力開発に積極的な姿勢を示している。従業員規模別にみても差はなく、どの規模階層も約9割が自前で人材を育成するとしている。

自社の強みを「ある製品・サービス分野で国際的に高いシェアを持っている」「海外のメーカー向けに機械や部品を供給している」などとするグローバル競争企業でも、過半数が「新卒者を採用して自社で育成」するとしている(それぞれ64.3%、55.4%)。

 

<ここ2年間で86.0%の企業がものづくり人材の処遇改善を実施、「ベースアップ」は24.6%>
ものづくり人材の定着促進のため、何らかの施策を実施した企業は87.5%で、その中では「賃金水準の向上」を実施した企業が47.9%とトップ。ここ2年間の処遇改善については、何らかの処遇改善を実施した企業が86.0%で、具体的には「定期昇給」が58.2%と最も高く、次いで「賞与の増額」が44.1%、「ベースアップ」が24.6%、「定昇、ベア以外の基本給の引上げ」が15.0%。

 

<問い合わせ先>
独立行政法人労働政策研究・研修機構(理事長 菅野 和夫)
調査・解析部 次長 郡司 正人
直通電話 03-5903-6282

 

◆ 本調査の詳細は、こちら(PDF)をご覧ください。

(独立行政法人労働政策研究・研修機構 http://www.jil.go.jp/ /6月9日発表・同機構プレスリリースより転載)