[人事サービス]2021/12/23

従業員の孤立はエンゲージメントやパフォーマンスにマイナスの示唆

クアルトリクス合同会社(本社:東京都千代田区、カントリーマネージャー:熊代 悟、以下 クアルトリクス)は、日本で実施した「職場における孤立の実態調査」の結果(2021年10月に実施、有効回答数4,435人)を発表します。
本調査は、コロナ禍を背景として、職場において孤立する従業員に焦点を当て、その実態と業務への影響を把握する目的で埼玉大学宇田川准教授と共同研究として実施されました。

【調査結果】
1.仕事を通しての人と人との繋がりは総じて弱い

本調査においては、まず仕事を通して日常的にどの程度周囲と接点を持っているのかを多面的に尋ねました。56%が職場に仕事上の相談相手がいるとした一方、より広い繋がりとして職場以外にも相談相手がいたり、自分から積極的に他者に働きかけるとした回答者は5割に満たない水準でした。さらに、仕事上で密なコミュニケーションが発生するはずの直属上司についても、彼らからのアドバイスやワークライフバランスへのサポートを肯定的に捉えている回答者は全体の4割未満に過ぎません。勤務先が社内の人間関係を強化するような施策や制度を導入しているとした回答者に至っては、2割に留まります。全般的には、仕事を通した人の人との繋がりはどちらかといえば弱いと解釈することができます。

2.「連携グループ」と「孤立グループ」の属性内訳の特徴
図表1の項目に対する回答傾向に基づき、周囲との繋がりが強い人、弱い人をそれぞれ「連携グループ」と「孤立グループ」、両グループの中間にいる人を「平均グループ」と分類しました。「連携グループ」と「孤立グループ」に分類された回答者の属性の内訳を比較すると、「孤立グループ」において以下の属性の方々の比率が、「連携グループ」よりも高いことが確認されました。

・性別では男性
・年齢別では40代
・役職別では一般社員(非管理職)
・勤務先の従業員規模別では500人未満の中小・中堅企業

このような傾向の背景にはさまざまな要因が存在すると思われますが、その一つは担当する範囲がどれだけ自身の手元で完結する業務であるかを担当しているかによると指摘できます。つまり、業務遂行にあたり職場の他者と連携する機会が少ない立場であるほど、孤立しやすい状況にあるといえます。

3.「孤立グループ」のエンゲージメント、ウェルビーイング、帰属意識は圧倒的に低水準
次に、昨今のHR分野における重要指標と考えられるエンゲージメント、ウェルビーイング、帰属意識に関し、弊社が標準とする設問項目に基づいて「連携グループ」と「孤立グループ」の回答を集計したところ、いずれも「孤立グループ」の水準の低さが顕著であることが示されました。人との繋がりが希薄化すると同時に、組織に対する帰属意識が低下することはもちろん、心身の健康やエンゲージメントまでも低い水準にとどまる留まることは、注目に値する結果であるといえます。

4.「孤立グループ」は日常業務がうまく回っていない状態
さらに、「孤立グループ」の特徴として、業務分担の適切さ、関係者の議論に基づく意思決定のほか、職場において学び・成長する機会などに対して肯定的に捉えている回答者がわずか10%台にとどまっています。また、担当する業務量が少ないとした回答者、自身の業績がを組織の平均以下になっているとした回答者でみても、「孤立グループ」の方が高い比率となっています。

5.「孤立グループ」のエンゲージメントと相関が強いのは、人との繋がりの関連項目
本調査においては、「連携グループ」と「孤立グループ」のエンゲージメントに対する回答と強い相関を示していた項目は、仕事を通して得る活力、ありのままの自分でいられること、成長の機会、帰属意識、働きやすい環境などで、上位 5 項目の内容は両グループで差異はありませんでした。ただし、「孤立グループ」では、「会社の一員であることを実感」の相関が最も強かった点、また上位 10 項目までチェックすると「連携グループ」では抽出されなかった「不安なく自分の意見を言える環境」が含まれていた点が特徴になっています。いずれも、人との繋がりに関連した項目であることが注目されます。

6.アフターコロナ時代の職場における従業員の孤立は看過できない課題
リモートワークは空間と時間を共有しない働き方がもたらす最も代表的なデメリットとしては、コミュニケーションの不足や連携のしにくさが繰り返し指摘されています。本調査がテーマとする従業員の孤立に関しても、リモートワークが引き金となって悪化した面もあると推察されます。

しかし、実際には、「孤立グループ」ではの方が、出社勤務をしている回答者の比率が「連携グループ」よりも高めになっていました。この原因については、さらに深い分析が必要になると思われますが、ここで重要なメッセージは「出社して単に空間と時間を共有するだけでは、職場における孤立は解消されない可能性が高い」という点です。職場に出社していても、周囲との連携度合いは各自の働き方や業務内容に応じて異なるためです。

自分の殻に閉じこもって孤立を深めていく従業員については、エンゲージメントやウェルビーイングの低下、さらに業績不振に繋がる傾向がみられることから、従業員間の連携を維持・強化していくことは、企業にとって従来以上に重要な検討テーマになることは間違いないものと考えられます。
 

埼玉大学 経済経営系大学院 宇田川元一准教授のコメント
「日本社会における孤立の問題は様々な場所で指摘されています。今回、職場の孤立とパフォーマンスという観点から調査をしたところ、興味深い示唆が得られました。

成熟した組織は効率化を求めて機能分化することが言われてきましたが、同時に、近年は環境の変化に対応するために多様な職能が求められるようになりました。その中で、人々の職場での孤立化が進むことは、ある意味で必然なのかもしれません。この問題にどのように企業として対処していくのかを考えることは、今後の企業変革や、イノベーションを生み出していく上で重要な論点になりうると思います。

今後さらなる研究を重ねて、企業変革に不可欠な人と人のつながりや共同体としての再生、そして、企業のパフォーマンスの向上をどのように成し遂げていくかを考えていけたらと思います。」

■調査の概要について
本調査は、現在日本で働いている人を対象(性別・年代別で労働人口分布に沿って割付け)に 2021 年 10 月20日〜22 日にかけて、インテージ社のアンケートモニターに対して実施しました。有効回答は 4,435 人でした。設問設計には、埼玉大学経済経営系大学院の宇田川元一准教授にもご協力いただきました。分析に当たっては、図表 1 の設問項目に対する回答の平均点が、全体の上位 25% 以上に含まれる回答者を「連携グループ」、下位 25% 以下に含まれる回答者を「孤立グループ」と分類しました。

 

◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。

(クアルトリクス合同会社 / 12月22日発表・同社プレスリリースより転載)


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