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掲載日:2017/07/21

長時間労働につながりやすい職場慣行「業務の属人化」が最多で、「時間管理意識の低さ」「業務効率の悪さ」が続く~『2017年労働時間等実態調査』:日本経済団体連合会

一般社団法人日本経済団体連合会「2017年労働時間等実態調査」の調査結果を発表しました。

 

【2017年労働時間等実態調査集計結果】

I.趣旨
3月28日開催の働き方改革実現会議において、「働き方改革実行計画」が取りまとめられ、現在、上限規制の導入を含む長時間労働の是正に向けた法改正に関する具体的な議論が行われている。他方、経団連でも昨年7月に「経営トップによる働き方改革宣言」を公表するなど、従業員一人ひとりの健康を確保し、生産性を高め、創造性の発揮を促すべく、諸外国に比し長い労働時間の是正や、年休取得の促進に取り組んでいる。

今般、経団連の今後の活動(働き方改革 CHALLENGE 2017)に反映させるべく、会員企業を対象に標記実態調査を実施した。

 

II.調査項目・回答状況等

1.調査項目
(1)パートタイム労働者を除く期間を定めずに雇用されている労働者の労働時間ならびに休暇取得状況に関する事項
(2)長時間労働につながる商慣行・職場慣行ならびにその対策 等

2.調査時期 2017年4月10日~5月19日

3.調査対象 経団連会員企業ほか
 (各地方別経済団体を通じて非会員企業からも回答を得た)

4.回答状況 249社(対象労働者110万4389人)

 

III.集計結果(抜粋)

1.年間総労働時間
(1)年間所定労働時間(2016年)
年間所定労働時間については、回答企業の82%が1800時間超2000時間以下に設定。1800時間以下に設定している企業も15%を占める。

(2)年間総労働時間の分布(2016年)
全体の約50%の労働者の年間平均総労働時間は2000時間以下であり、1800時間以下も約20%を占める。製造業は全体の傾向と同じである。非製造業は1800時間以下が最も多いものの、ばらつきが見られる。

2.時間外労働時間(年間)
(1)36協定上の上限(2016年)
36協定上、「540時間~720時間」を時間外労働時間の上限と取り決めている企業が最も多く、次いで、「720時間~960時間」が多い。

(2)時間外労働時間の分布(2016年)
年間時間外労働時間については、「360時間以下」の労働者が全体の70%を占めている。720時間を超える労働者が全体の2%程度、非製造業で4%程度存在している。

3.時間外労働時間(1ヵ月)
(1)36協定上の上限(2016年)
36協定上、「60時間~80時間」を時間外労働時間の上限と取り決めている企業が最も多い。

4.年次有給休暇
(1)年次有給休暇取得率
 年次有給休暇取得率は2014年からの3年間、64~67%で推移している。

(2)労働時間と有給休暇取得率の相関関係
平均年間総労働時間が2000時間以下の企業と2000時間超の企業を比較した場合、2000時間超の企業の方が、有給休暇取得率が高い。

(3)年次有給休暇取得が5日未満の者
現在国会に提出されている労働基準法改正法案には、企業に5日以上の有給休暇取得を義務付けることが盛り込まれている。この点に関し、年次有給休暇取得が5日未満の者は、管理監督者において22%、一般労働者において11%程度で過去3年間横這いである。

5.商慣行
(1)長時間労働につながりやすい商慣行
「客先からの短納期要求」が最も多く、次いで「顧客要望対応」「海外顧客、拠点との時差による対応」と続き、顧客からの要望が多い。

(2)長時間労働の改善策
「顧客・外部(役所)の理解」が最も多く、次いで「適正なスケジュール・納期」「人員配置の見直し」と続く。

6.職場慣行
(1)長時間労働につながりやすい職場慣行
「業務の属人化」が最多で、「時間管理意識の低さ」「業務効率の悪さ」が続く。そのほか「残業が当たり前、美徳とする雰囲気」「過剰な品質追求」も長時間労働の原因として挙げられている。

(2)職場慣行の改善策
「業務の効率化」が最多で、「定時退社日の設定」「会議の効率化」が続く。「業務の効率化」の具体策には、特定の従業員に仕事が集中しないような取組みを含み、「定時退社日の設定底」の具体策として、残業の事前届出制や、パソコンの利用時間制限等を含む。

 

◆本調査の詳細は、こちら(PDF)をご覧ください。

(一般社団法人日本経済団体連合会 http://www.keidanren.or.jp/ /7月18日発表・同法人プレスリリースより転載)