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掲載日:2016/06/09

出身地を離れる前に地元企業をよく知っていた者ほど、Uターン希望が強い。地方移住によって生活の質向上も~『UIJターンの促進・支援と地方の活性化』調査:JILPT

労働政策研究・研修機構(JILPT)では、UIJターンの促進・支援と地方の活性化が国・地方自治体双方にとって重点課題となる中、若年期の地域移動(地方出身者の出身地からの転出とUターン、大都市出身者の地方移住)の実態把握と行政支援ニーズの所在・中身を明らかにする目的で個人アンケート調査を実施しました。

このほど、調査結果がまとまりましたので公表いたします。

 

【調査結果のポイント】

<Uターンは22歳の大学卒業・就職時中心だが、30歳頃まで離転職・結婚等による動きも>
地方出身者が出身市町村を離れる主なきっかけは18歳時の大学進学であり、進路選択や生活上の選択によるところが大きい。出身県へのUターンは、就職・学校卒業時(22歳時)に、実家、もしくは実家近くに戻る移動が主であるが、30歳頃までは離転職や結婚を機としたUターンも少なくない。

 

<地元の仕事情報がUターンを促すカギ>
出身県外に居住している者でも、20代をはじめとする若年層にはUターン希望が少なくない。出身地に愛着がある者のほか、出身地を離れる前に地元企業をよく知っていた者ほど、Uターン希望が強い。また、Uターンするための行政支援としては、「仕事情報の提供」「転居費用の支援」「無料職業紹介」などのニーズがある。

 

<女性ほど地方移住時の就業支援ニーズ大きい>
 大都市出身者の地方移住(Iターン)は、転勤等を機としたものを多く含むが、就職、転職、結婚を機とした移住も多く見られる。移住の年齢は、就職を機とした移動では22~25歳頃、転職を機とした移住では20代半ば~30代後半、結婚を機とした移住では20代後半(25~30歳頃)が中心。特に女性は、結婚で地方に移り住むことも多く、移住当初に仕事が見つかりにくいなど、就業支援ニーズが大きい。

 

<地方移住によって生活の質向上も>
地方移住にともなう仕事面・生活面の変化をみると、仕事面では収入低下を伴う場合が少なくないが、通勤の負担低下などによって時間面・精神面でゆとりも生まれ、居住スペースの増加も相まって生活の質向上をもたらす可能性がある。

 

【調査の概要】
アンケート調査(平成28年1月実施)。調査会社に登録しているウェブ調査登録モニターを対象にスクリーニング調査を実施し、出身地と現在の居住地、地域移動経験に基づく4つの割付区分を抽出した上、各区分の目標サンプル数([1]~[3]が各2000、[4]が1000)を回収するよう本調査を実施した。なお。若年期の移動を把握するため、対象者の年齢は、[1]~[3]は25~39歳、[4]は25~44歳とし、現在就業している者に対象を限定した。

[1] 「出身県定住者」…地方圏(三大都市圏以外)出身で、中学卒業から現在まで同一県内に居住する者
[2] 「出身県Uターン者」…地方圏出身で、中学卒業以降に県外での居住経験をもつが、現在は中学卒業時と同じ県に居住する者
[3] 「出身県外居住者」…地方圏出身で、現在の居住県が中学卒業時の居住県と異なる者
[4] 「地方移住者」…東京圏・近畿圏出身で、現在は地方圏に居住する者(Iターン者)

 

◆ 本調査の詳細は、こちら(PDF)をご覧ください。

(独立行政法人労働政策研究・研修機構 http://www.jil.go.jp/ /6月7日発表・同機構プレスリリースより転載)