ニュース 掲載日:2015/07/30

EYアドバイザリー、『EYグローバル・ジェネレーションズ調査』
正社員の3分の1が、ワーク・ライフ・バランスを保つことは困難になったと回答
~特に若い世代と子を持つ労働者の負担が増加~

1. ワーク・ライフ・バランスを保つことは困難に
EYアドバイザリー株式会社が発表した新しい調査結果は、正社員の3分の1が、この5年間でワーク・ライフ・バランスを保つことは難しくなったと回答していることを示しています。特に困難を感じているのは、若い世代と子を持つ労働者、そして一部の国の労働者です。

例えば、世界の正社員の3分の1(33%)が、この5年間で仕事と家庭の両立は困難になったと回答していますが、その理由として、最も多く挙がったのは「給与はそれほど増えていないのに支出が増えた」であり、ほぼ半数(49%)がこの理由を選びました。ほぼ同率で2位となったのは、「仕事の責任が増えた」(48%)です。3位以下は、「家庭の責任が増えた」(39%)、「労働時間が増えた」(36%)、「子が1人又は複数いる」(23%)でした。

 

2. 労働時間が最も長かったのは?
週40時間労働制は、管理職に関する限り、過去のものとなったのかもしれません。管理職の約半数(46%)は週の労働時間が40時間を超えており、10人に4人(39%)は、この5年間で労働時間は増えたと述べています。労働時間が増えたと回答した人のうち、約3分の2(64%)は増加時間を週2~4時間、3分の1(36%)は5時間以上と答えています。

 

3. ミレニアル世代が管理職に
ミレニアル世代は管理層に移行しつつあります。ジェネレーションXでは、正社員の3分の2近く(65%)が他者の業務を管理していますが、ミレニアル世代でも、ほぼ同等の割合の従業員(62%)が他者の業務を管理しています。他者の業務を管理している正社員の割合が3番目に高いのはベビーブーム世代ですが、その割合は半分以下(46%)にすぎません。この変化は過去5年間(2009年~2014年)に起きたもので、ミレニアル世代の管理職の85%が、この期間に管理職になったと回答しています。

 

4. 経済が正社員に与える影響
この5年間に、経済は世界各国において、正社員が直面する課題に重要な役割を果たし、その生活に様々な形で影響を及ぼしました。

 

5. 正社員の主な退職理由
景気が上向くにつれて、企業は従業員の退職防止に関心を持つようになっています。こうした企業のために――そして管理職や親となるミレニアル世代の増加に対応するために――今回の調査では正社員の主な退職理由を探りました。理由のトップ5は、昇給がほとんどない(76%)、昇進の機会がない(74%)、残業が多すぎる(71%)、職場にチームワークを奨励する雰囲気がない(71%)、上司が柔軟な働き方を認めない(69%)でした。

○6位は「フレックス制のスティグマ」(フレックス制を利用したり、休暇を取ったりすると、減給される/昇進できないという認識)(67%)、7位は在宅勤務など、勤務場所に関する柔軟性がない(65%)、8位は宿泊を伴う出張が多すぎる(62%)でした。
○続いて、9位は「メンターやスポンサーを見つけにくい」(57%)、10位は「上位の同僚に子のいる人や共働きの人がほとんどいない」(52%)でした。

 

6. 世界の労働者が仕事に求めているものは何か
正社員が仕事を探す際に最も重視するものは「競争力のある給与・手当」であり、それに柔軟性関連の項目と「残業が多すぎない」が続きました。

 

◆米国スポットライト
7. 米国における共働き家庭

米国では、正社員の過半数(62%)が、少なくともフルタイムで働いている配偶者/パートナーを有しています。また、ミレニアル世代とジェネレーションXのパートナーがフルタイムで働いている確率は、ベビーブーム世代をはるかに上回ります。一方、パートナーが少なくともフルタイムで働いている確率は、子のいない労働者(57%)よりも子のいる労働者(70%)の方がはるかに高い結果となりました。

 

8. 米国における有給育児休暇
米国では、子のいる正社員の3分の2近く(63%)が有給育児休暇を取得しておらず、女性の4分の3超(77%)は、配偶者/パートナーには有給育児休暇の取得資格がないと述べています。

 

9. 子を持つことが米国のミレニアル世代に与える影響
米国では、子のいる正社員の4分の3(76%)が、子を持ったことで仕事の状況に何らかの影響があったと回答しました(例:自分自身又は配偶者/パートナーの退職、転職・異動、労働時間の短縮)。約3分の1(31%)は、子を持った後も労働時間は変わらないと回答しましたが、16%は労働時間が増えたと回答し、労働時間が減った回答した人は7%にとどまりました。子を持った後で労働時間が増えたと回答した人の割合は、ミレニアル世代ではジェネレーションXの2倍を超えました。

 

10. 経済/キャリア関連の要因が子を持つことに与える影響
給与・手当、住宅資金の有無、学生ローン等の債務の返済状況、有給休暇の取得可能性などはどれも、子を持つかどうかやその時期に関する判断に大きな影響を与えます。

 

11. 米国における子育てと仕事に対する姿勢
米国では、男性(65%)も女性(62%)も、仕事をただの労働(例:単なる生計手段)ではなく、キャリア、すなわち自分のアイデンティティの重要な一部と見なしています。
ミレニアル世代(80%)はジェネレーションX(66%)やベビーブーム世代(65%)と比べて、家庭の外で仕事をするためには協力者(家族、友人、介護者)の強力なネットワークが必要だと考える傾向があります。

 

12. 米国の労働者がワーク・ライフ・バランスを保つために払う犠牲
米国において、仕事の責任と家庭/個人の責任を両立するために、最も多くの労働者が払った犠牲、又は払うことをいとわない犠牲は、転職(同職種・業種への転職が63%、別職種・業種への転職が57%)でした。また、正社員の過半数(54%)は、仕事と生活を両立するために昇進の機会をあきらめた、又はあきらめることをいとわないと回答しています。興味深いことに、米国は有給育児休暇制度のない唯一の先進国であるため、ミレニアル世代の3分の1超(38%)は、ジェネレーションX(28%)又はベビーブーム世代(11%)と比べて、「育児休暇制度が整った国に移住する」と回答する傾向がありました。

 

13. 家族のためのキャリア中断
アメリカ人の3分の1近く(32%)が、子育てのためにキャリアを中断し、配偶者/パートナーの44%が、同じ理由でキャリアを中断しました。

 

14. 出張
仕事と家庭の責任を両立するニーズをさらに増大させているのが、出張の問題です。正社員の過半数(72%)は宿泊を伴う出張をしていませんが、子のいるミレニアル世代の従業員は、子のいない従業員に比べて、宿泊を伴う出張をする傾向が2倍となっています。また、宿泊を伴う出張をしているジェネレーションX及びミレニアル世代の従業員は、ベビーブーム世代よりも大幅に多くなっています。

 

【この件に関するお問い合わせ先】
[会社名]EYアドバイザリー株式会社
[部署名]People Advisory Service (組織・人事コンサルティングサービス)
[担当者名]臼井 淳/パートナー

[部署名]D&I Advisory Service(D&Iアドバイザリーサービス)
[担当者名]Nancy L. Ngou/ Partner

[TEL]03 3503 1490

 

◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。

(EYアドバイザリー株式会社 http://www.eyadvisory.co.jp/ /7月28日発表・同社プレスリリースより転載)