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掲載日:2006/03/29

アデコが「労働力減少時代の採用」テーマに調査
企業の75%が今後「思うように採用できない」と回答

グローバルに総合人材サービスを展開するアデコグループの日本法人アデコ(東京都港区、上里正明・社長)は2006年1月「労働力減少時代の採用の変化」について調査を実施しました。このほどまとめた調査結果では、今後企業の採用活動が困難になっていく状況が浮き彫りになりました。

厚生労働省の予測によると、労働力率が2004年の実績と同じ水準で推移した場合、我が国の労働力人口は、2004年(6642万人)と比較して、2015年においては約410万人減少、2030年においては約1050万人減少します。本調査は、この変化に直面し、企業の採用がどのように変化していくかを予測することを目的としたものです。

本調査では、回答者(企業の人事部門で勤務している500名)の75%が、今後新卒者を「思うように採用できないと思う」と回答しました。このうち32.6%が「採用者の人数、質ともに、思うように採用できないと思う」と回答、25.0%が「採用者の質は厳しいが、人数は思うように採用できると思う」と回答、17.4%が「採用者の人数は厳しいが、質は思うように採用できると思う」と回答しています。なお、本調査では中途採用者の今後の採用状況についても調査しています。

今後の採用方針の変更内容については、「正社員とは異なる雇用形態で採用する」が77.7%で最も多く、次いで「外部労働力(契約社員、派遣社員、パート・アルバイトなど)を増やす」(66.9%)、「中途採用を増やす」(59.8%)となっています。これを従業員規模別でみますと、従業員規模が大きくなるほど、「外部労働力を増やす」割合が高くなっており、5000人以上では8割弱に達しています。

「中途採用において、中心年齢は現在と比較して今後どのように変化していくか」との質問に対して、男性の中心年齢は現在「〜35歳」が最も多く(43.3%)、女性のそれは現在「〜29歳」が最も多く(56.7%)なっていますが、ともに今後中心年齢が上昇していくことが明らかになりました。今後の一人当りの採用コストについては、ほぼ半数の49.8%が「現状と変わらない」と回答していますが、23.2%が「10%程度増える」、19.2%が「20%程度増える」としています。採用コストを抑えて、優秀な人材を採用するための施策を聞いたところ(自由回答)、「採用活動・採用試験の見直し」が11.4%で最も多く、次いで「会社のPRや広報活動の強化」(9.2%)、「人材紹介会社、人材派遣会社の活用」(8.2%)、「インターネットの活用」(5.4%)の順となっています。

紹介予定派遣制度については、78.6%が同制度を「知っている」と回答しています。紹介予定派遣を利用している会社に、その満足度を聞いたところ、「非常にそう思う」と「どちらかというとそう思う」をあわせた満足度合計では、「派遣就業中に適性を見極めることができるため、採用の失敗を避けやすくなる」が82.1%と8割を超えています。次いで、「採用までの時間を短縮できる」(54.7%)、「自社で募集するよりも費用が少なくて済む」(50.0%)の順となっています。

経済財政諮問会議の専門調査会がまとめた「日本21世紀ビジョン」の「生活・地域ワーキング・グループ報告書」は、今後の施策として「機械的な定年延長を企業に強制するのではなく、雇用機会の均等化を一層推進し、有期雇用や派遣労働などの多様な働き方を、長期雇用と対等に社会が評価する仕組みを構築する」と明確に述べています。

同社では、本調査結果は、こうした施策の方向性の正しさを裏付けるとともに、企業の採用、労働需給調整において、人材ビジネスの果たす役割が今後ますます大きくなってくることを示していると考えています。

■ 本調査について
株式会社インフォプラントの協力を得て、2006年1月12〜18日にWeb上で実施。企業の人事部門で勤務している500名が回答。


(アデコ http://www.adecco.co.jp//同社プレスリリースより抜粋・3月29日)