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掲載日:2012/04/04

2012年度における12箇条:マーサー、国際間で異動する社員を
有する企業がやるべき、12項目のチェックリストを発表

景気回復のためのより強固な足場がゆっくりと築かれる中、2012年は変わり目の1年となりそうだ。
マーサーは、多国籍企業が各々の海外出向規程に競争優位性を持たせ、2012年のビジネスゴールと合致させるために、今やるべき12項目のチェックリストをまとめた。

マーサーのアジア太平洋グローバル・モビリティ・センター・オブ・エクセレンスのリーダーである、フィル・スタンレーは以下のように述べている。

「企業は、重要なマーケットにおいて、競争優位性を失わずに人的資本コストを管理するという難しい両立を迫られています。特に新興市場における景気回復の兆しや、継続して見られる人材の需要と供給のミスマッチは、多国籍企業が本国の社員を国外へ派遣し続けなければならない状況を示しています。しかし、シニア・エグゼクティブとその家族を複数年の任期で派遣すると、給与と福利厚生および特別な住宅等を含めて、全体の経費が基本給の3倍になるといったことも容易に起こり得ます。」

新年度の始まりは、企業が全般的な国際間異動戦略がビジネスゴールと合致しているか、またうまく機能しているかを注意深く見つめ直す良い機会である。

以下に記載する12項目は、2012年を海外出向規程が最適化される年とすべく、人事部と幹部が進むべき具体的な道筋を示している。


マーサーによる、国際間で異動する社員を有する企業がやるべき12の項目は以下の通り:

1.戦略と現状について、新たな視点で見直す
多くの海外駐在員プログラムは、有機的に発達するものであることから、駐在員に対して認められてきた一連の例外事項の適用により、既存の規程が弱体化している場合もある。そのため、組織はルールに従って管理すべきかどうかを決定する必要がある。もし、例外事項が事実上ルールとなっている場合は、規程そのものを見直す時期かもしれな い。また、組織は、自社の海外駐在員プログラムが、企業の全体的な人事管理戦略の一部として適切かを検討すべきであり、そもそもその派遣プログラムが、緊急を要すると考えられた際に作成されたのか、それとも優秀な人材を育成すべく外国で経験を積ませるために作成されたのかを、見直す必要があるだろう。

2.適切に区分し、現行の習慣に打ち勝つ
世界規模で異動する全ての社員を、堅実な給与、福利厚生および支援体制を必要とする同質のグループとして扱うことで、組織が必要以上にコストを割いている場合がある。組織は、海外駐在員を派遣形態および任務の種類によって区分することを検討すべきだ。海外駐在員の報酬パッケージに柔軟性を持たせることで、企業のゴールを損なうことなく、人的資源への投資を削減することが可能である。

また、企業は「成長のための」任務と「戦略的」及び「重大な必要性のある」任務を区別することも検討すべきだ。成長のために任務を与えられた社員は、海外勤務を有意義な経験が得られる手段として捉えており、「本国と対等である」かのように扱われることを期待していない。伝統的な海外駐在員用のフル・パッケージのように、多くの手当や福利厚生がついていなくとも、赴任先と同様の報酬パッケージで満足するかもしれないのだ。

3.「ローカル・プラス」について検討する
企業は、なぜ海外駐在員が本国から遠く離れて働いているのか、各々のケースを注意深く見極めるべきだ。任務終了後に本国に戻ることを前提として、一時的に海外任務に就いている社員なのか?それとも、現地で採用された外国人、もしくは本国に戻ることなく無期限の任務として直接雇用された社員なのか?後者の場合、本国との関係維持を根拠に作られた伝統的な海外駐在員パッケージよりも、より現地化された「ローカル・プラス」パッケージを適用する方が、適切と言えるかもしれない。

4.ベンチマークを定める
給与と福利厚生の水準は、組織が統制できない多くの要因によって、大きく変化するものである。市場動向を追うべく海外駐在員プログラムおよび海外派遣規程の基準となるベンチマークを定めていない企業は、過剰な給与の支払いで浪費しているか、過少な給与で人員削減のリスクにさらされているかもしれ ない。ベンチマークは、赴任地、駐在員の派遣形態、そして業界慣行に基づいて定めることができる。

5.家族の事情に配慮する
配偶者やパートナー、子どもが赴任先で不満を抱えているケースでは、海外駐在員は葛藤の多い生活を余儀なくされるため、任務を果たすことなく諦めて本国に戻ってくるといった結果を招きうる。組織は、駐在員およびその家族の赴任先での生活に備えるべく、十分に下準備を行っているか検討すべきである。重要なことは、任期を通じて、駐在員および家族と継続的に連絡を取り続けることだ。

6.緊急時の退去が可能であることを確認する
2011年の政治情勢の激変や自然災害により、海外駐在員やその家族が、突然危機的な状態に見舞われる可能性があることが示された。組織は、次の災害が起こる前に、迅速な国外退避を含めた海外駐在員のための非常事態に関する規程について、早急に見直す必要がある。

7.現地化する
国、案件の重大さ、または人材確保の可能性によっては、本国から駐在員を派遣するよりも、現地採用する方が理にかなっていると考えられる場合がある。もしくは、現地のマーケットの水準に合わせて給与や福利厚生のパッケージを調整することで、駐在員を現地化することができるかもしれない。一方で、組織は現地化に過剰に期待しているとも考えられる。駐在員の現地化は、必ずしも適切な手段であるとは言えず、潜在的に事業の混乱や望まない人材削減を招きうる。

8.コスト・オブ・リビング・アジャスメント(COLA)の選択肢について検討する
組織は、生計費手当の算定方法を選択する際の前提条件について、再検討すべきだ。本国と赴任先との生計費の差を調整する方法は幾つもある。どのような算定方法 を選択するかは、駐在員の赴任先への精通度や、各種手当や福利厚生で既に扱われているコスト面での要素に拠って決定される。生計費指数は、費用効果を高めると同時に現実的であることも可能である。

9.税金は国内外で一律化する、しかしやり過ぎない
海外駐在員の所得税について金銭面での負担を最小限にすべく、多くの組織がTax equalizationを実施している。しかし、そのためには、みなし税金に関して膨大な数の前提条件が必要となる。Tax equalizationを徹底的に評価し、より公正な水準に調整することで、何百万ドルもの節約に成功した企業もある。

10.住宅についての規程が現実的であるか確認する
海外駐在員の住宅費は、ほぼ全ての海外任務における諸経費のうち最も高額な経費の1つである。組織は、全ての任地に対して、適切で、且つコスト面でも理にかなった賃貸に関するガイドラインを制定し、海外駐在を控えた社員および住宅を探す手助けをするリロケーションサービス会社に事前にしっかりと理解してもらうようにする必要がある。可能であれば、どのような例外的なリクエストに関しても、トップの経営者による承認が必要であるとすべきだ。

11.通貨の変動やインフレに関する最新の情報を把握する
世界的な経済危機(そして、国によっては依然として続くインフレ)により、本国と赴任国間での為替レートおよび購買力は急激に変動している。そのような変動に対して、組織は規程を再考し、適応すべきである。組織は、為替変動による差損を駐在員に負担させることを望んでおらず、一方で差益を与える事も望んでいない。

12.「帰任者」を暖かく迎える
成熟し十分に発達した海外駐在プログラムを有する企業であっても、駐在員が長年にわたる海外勤務から戻ってきた時には、対応に考慮する必要がある。本国へ戻ることは、赴任先で新生活を築くのと同様、ストレスの多いものである。帰国後の変化を緩和するには、どのようなコミュニケーションプログラムが適しているだろう?現行の任務を終えた後、各々の「帰任者」が就く職務について具体的な考えがあるだろうか?

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※ 本資料は米国マーサーが発表したプレスリリースを日本語に翻訳・編集したものです。内容とその解釈については原文である英文が優先します。
Mercer issues checklist of 12 action items
 

◆ 本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。

(マーサージャパン株式会社 http://www.mercer.co.jp /4月3日発表・同社プレスリリースより転載)