ニュース
社会 教育・オピニオン
掲載日:2023/02/08

企業の「リスキリング」実態調査
リスキリングが必要な企業は84.9% 一方で実施企業は23.3%のみ 

総合転職エージェントの株式会社ワークポート(所在地:東京都品川区、代表取締役社長 CEO:田村高広)は全国の企業の人事担当者133人(従業員数100名以下~5000名以上の企業)を対象に企業におけるリスキリングの必要度や実施率など、「リスキリング」に関するアンケート調査を実施しました。
 

■【リスキリングの必要度】リスキリングが必要と感じる企業は84.9%

ここ最近世間の注目を集めている「リスキリング」。岸田文雄首相は2022年10月、「リスキリングの支援に、5年間で1兆円を投じる」と表明し、リスキリング施策を実施する企業の助成拡大などを積極的に進めていく姿勢を見せています。そのような動きの中で、企業はリスキリングをどのように捉えているのか、また、どれくらいの企業がリスキリング施策を推進しているのか、企業のリスキリングの実態について調査しました。
 はじめに、対象者全員に企業として、従業員のリスキリング施策実施の必要性を感じているか聞いたところ、「必要」と回答した企業が84.9%と大半を占め、中でも「今すぐにでも必要」と回答した企業は29.3%に上りました。

「必要」と回答した企業に理由を聞いたところ、「デジタル人材の不足のため」(WEBサービス・広告)など、DX化推進によるデジタル人材不足の課題解決のためという意見が挙がりました。 当社が2022年9月に全国の人事担当者に実施した調査でも、「デジタル人材が不足している」と回答した企業が82.1%を占めました。また、「デジタル人材の育成に取り組んでいる」と回答した企業も35.9%で、デジタル人材確保のために、リスキリング教育含め、育成に着手する企業は少なくないようです。

ほかには、「業務効率を向上するための、ITリテラシーの向上が必要な従業員が多いから」(金融・保険)、「今後限られた従業員の中でより効率的に業務をこなす必要があると考えているため」(人材サービス)など、業務の効率化アップ、採用難の中で既存社員のスキルの底上げが必要だとする意見も散見されました。


■【リスキリング施策の実施率】実施率は23.3%に留まる 時間・費用がネックでやりたくてもできない

次に、対象者全員に企業として、従業員のリスキリング施策を現在実施しているか聞いたところ、「実施している」と回答した企業は23.3%に留まりました。「今後実施する予定」と回答した企業も7.5%のみで、実施予定もない企業が69.2%を占めました。リスキリングを喫緊の問題と捉えているにも関わらず、実施に踏み出せていない企業の多さが目立ちました。

さらに、リスキリング施策の実施が「必要」と回答したが、リスキリング施策を「実施していない」と回答した企業に、その理由を聞いたところ、「時間がなく手が回らないから」(システム開発・情報通信)、「時間、コスト、計画、策定人員などが障壁だから」(システム開発・情報通信)など、時間や費用の捻出に負担を感じるという意見が挙がりました。ほかには、「新しいことを始めることに抵抗がある管理職が多いから」(建築・土木・設計)など社内理解に課題を感じる企業もありました。


■【リスキリング施策実施企業の現状】自社独自のカリキュラムで実施が61.0%
社内説明会の実施・人事評価制度の見直しなど社内理解の浸透に注力 一方で従業員の主体性に悩む声も

続いて、リスキリング施策を「実施している」と回答した企業を対象に、施策の現状を調査しました。
まず、リスキリング施策をどのように実施しているか聞いたところ、「自社独自のカリキュラム」が61.0%と「外部機関に委託」の48.8%を上回りました。

次に、リスキリング施策で習得可能なスキル・知識を調査したところ、DX推進のためのデジタル知識などの意見が挙がりました。

さらに、リスキリング施策実施までのプロセスで工夫したことを調査したところ、プロジェクトの立ち上げや遂行、社内説明会の実施、人事評価制度の見直しなど、社内の理解を得た上で効率よく施策を遂行するための取り組みが挙げられました。

最後に、リスキリング施策実施までのプロセスで苦労したことを聞いたところ、時間不足、人手不足だけではなく、学ぶ側の主体性に悩んだという意見も挙げられました。

政府が企業のリスキリング施策を支援すると表明したものの、リスキリングの必要性を感じつつ、時間、費用の捻出といった負担から実施には踏み出せていない企業が少なくないことがわかりました。
一方で、実施企業は人材不足を理由に個々のスキルを伸ばし、より効率よく業務を進めるためにリスキリング施策を行っていました。社内説明会の実施や人事制度の見直しなど、未実施の企業が抱えていた不安を解消するような取り組みに注力しているようです。
岸田文雄首相の「育休中のリスキリング」発言が世間を賑わしていますが、リスキリングへの世間の関心は依然として高いようすがうかがえます。今後、政府からの企業の現状に即した支援が進めば、企業が抱える課題が解決され、リスキリング施策の実施が促進されるかもしれません。

 

◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。

(株式会社ワークポート / 2月8日発表・同社プレスリリースより転載)