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掲載日:2016/10/04

誰もが活躍できる社会の実現と労働生産性の向上に向けた課題~『平成28年版労働経済の分析』(厚生労働省)

厚生労働省は、「平成28年版労働経済の分析」(通称「労働経済白書」)を発表しました。

 

【平成28年版 労働経済の分析 〔骨子〕】

少子高齢化による供給制約の克服に向け、労働生産性の向上や希望する方が就労などによ
り活躍できる環境整備が必要であるとの認識のもと、「誰もが活躍できる社会の実現と労働生産
性の向上に向けた課題」と題し、労働生産性の向上に向けた課題、誰もが活躍できる働き方に
向けた方策について分析を行った。

 

第1章:労働経済の推移と特徴
◆2015年度平均で完全失業率は3.3%と19年ぶりの低水準、有効求人倍率は1.23倍と24年ぶりの高水準となったほか、正社員の有効求人倍率が2016年3月に0.82倍と過去最高の水準となるなど、雇用情勢は着実に改善した。また、非正規雇用から正規雇用への転換は2013年以降3年連続で増加しており、不本意非正規についても、前年同期比で9四半期連続で減少している。

 

第2章:労働生産性の向上に向けた我が国の現状と課題
◆我が国における付加価値の状況をみると、(1)1990年代後半以降IT投資を始めとする資本投入の寄与が減少していること、(2)1970年代、80年代と比較してTFPの寄与が減少していることが主な要因で付加価値が1990年代後半以降上昇していない。
◆我が国にとっては、少子高齢化による供給制約を克服していくことが大きな課題であり、そのためには資本投入の増加に加え、一人ひとりが生み出す付加価値を向上させること、すなわち労働生産性の向上が必要不可欠である。
◆我が国のTFPの寄与について確認すると、国際比較ではTFP上昇率は無形資産投資の上昇率と相関があるが、我が国は無形資産投資の上昇率が弱いため、TFP上昇率が弱い。
◆特に、我が国は、主要国と比較し、無形資産投資のうち
(1)ソフトウェア等のIT関連である情報化資産への投資が弱いこと
(2)OFF-JTを始めとする人的資本への投資が弱いこと
が、無形資産投資の上昇率が弱い主な要因と考えられ、情報化資産、人的資本への投資を増加させることが我が国の課題である。
◆なお、労働生産性の上昇が労働者に与える影響についてみると、労働生産性の上昇は賃金の上昇に結びつくなど労働者にとってプラスとなる効果も大きく、また雇用面でみても就業者の減少や失業者数の増加につながっていない。

 

第3章:人口減少下の中で誰もが活躍できる社会に向けて
【高年齢者の働き方と活躍のための環境整備】
◆我が国では今後、人口の減少が見込まれるが、高年齢者をみると増加が見込まれる。高年齢者には、就業している方々も増加しているが、一方で就業に至っていないものの就業意欲のある方々が多くいる。このため、それらの方々が活躍できるよう、多様な働き方が可能な環境整備が必要である。
◆働く選択肢としては、雇用に加え、「起業」も考えられる。60歳以上の起業希望者は増加しており、高年齢者がこれまで培ってきた経験をいかし、年齢にかかわりなく活躍できる場として、起業の支援も必要である。

【限られた人材の活躍に向けた企業・労働者の課題】
◆雇用情勢が改善する一方で少子高齢化の進展もみられ、人手不足が生じている。人手不足の中では限られた人材がその経験によって得た能力を発揮し、誰もが活躍できる社会を構築することが重要である。
◆企業は人材確保のために求人を出すものの、応募がない、応募があるものの採用に至らないという状況に直面している。求職者の資質の向上に向けた支援の強化、賃金水準、処遇・労働条件を見直し、より良い求人を提示等し、人材の確保に努めることが重要である。

 

【平成28年版労働経済の分析〔平成28年9月30日閣議配布〕】
本文
要約版

 

<問い合わせ先>
政策統括官付労働政策担当参事官室 分析第一係、分析第二係
(代)03-5253-1111 (内線7730、7732)

 

◆ 詳しくはこちらをご覧ください。

(厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp// 9月30日発表・報道発表より転載)