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掲載日:2024/05/22

育休に対する男女の意識差と実態調査(2024)

「育児退職」を経験したワーキングマザーは5人に1人。育休取得のハードルは「収入減少」がトップ。世帯年収800万円以上から育休取得率は7割超えに

株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)が運営する総合転職情報サイト『マイナビ転職』は、正社員800名を対象に行った「育休に対する男女の意識差と実態調査(2024)」の結果を発表しました。本調査では、育休の取得日数の実態、育休への満足度、育児と退職検討の関連性などが明らかになりました。

<TOPICS>
◆「育児退職」を経験した子どもがいる女性は5人に1人、男性でも4割弱が退職を経験・検討
◆男性の育休取得日数は「1カ月未満」が半数で、「2週間未満」は約3割。一方で、女性は「半年以上」が8割以上となり、取得日数に大きな差
◆育休のハードルとして最も多いのは「収入減少」。世帯年収800万以上からの育休取得率は7割超えに
◆パートナーの育休満足度は、男性からみた妻は平均82.7点、女性からみた夫は平均58.4点。満足度の高い人の理由は「二人で協力して育児ができたこと」や「取得期間の長さ」

【調査概要】
◆「育児退職」を経験した子どもがいる女性は5人に1人、男性も4割弱が退職を経験・検討

子どもがいる女性のうち、育児との兼ね合いで退職する「育児退職」を経験した人は19.3%となり、5人に1人の割合だった。また、「育児退職」を検討したことがある人は24.3%となり、合わせて約4割強が育児を理由に退職を経験・検討したことがあるとわかった。育休経験のある男性でも39.5%と4割弱の人が退職を経験・検討しており、男女問わず、育児と仕事の両立の難しさがうかがえる結果となった。今後、企業は離職防止という観点で、育児をしながら働きやすい職場環境を整えることが求められている。

◆男性の育休取得日数は「1カ月未満」が半数、「2週間未満」は約3割。一方、女性は「半年以上」が8割強となり、取得日数に大きな差
男性の育休取得日数は、「1カ月未満」の人が半数。内訳をみると、「5日以内」は18.5%、「6日~2週間未満」は14.5%で、取得日数が2週間未満の人が33.0%となった。一方、女性の取得日数は「半年以上」が85.0%にのぼり、男女の取得期間には大きな差が生じた。

◆育休のハードルとして最も回答が多かったのは「収入減少」。世帯年収「800万以上」から育休取得率は7割を超える
育休取得のハードルとして最も回答が多かったのは「収入減少」(19.4%)だった。世帯年収別に育休取得率をみると、「800万円以上」から取得率は7割を超え、世帯年収が高いほど育休取得のハードルが下がりやすいことが考えられる。

一方で、育休取得者のうち、26.3%が「育休中も給付金があり、収入がゼロになるわけではない」と知ったことが、育休取得のきっかけになっていることがわかった。給付金や助成制度の周知は、収入面がハードルになっている人にとって、育休の取得がしやすい社会の醸成へ一定の効果があることがうかがえる。

◆パートナーの育休満足度、男性からみた妻は平均82.7点、女性からみた夫は平均58.4点。満足度の高い人の理由は「二人で協力して育児ができたこと」や「取得期間の長さ」
パートナーの育休への満足度を100点満点で表すと、男性からみた妻の点数は平均82.7点、女性からみた夫の点数は平均58.4点で、男性からみた妻の点数が大きく上回った。

女性からみた夫の点数が高い人の理由は「率先して育児・家事をやってくれている」「役所の手続きをやってくれた」、男性からみた妻の点数が高い理由は「しっかり育休をとれて子どもの面倒をみてくれたから」など、二人で協力して育児をできたことや育休取得期間の長さに関することがあげられた。一方で、点数が低い理由として、女性は「夫の食事まで作らねばならずかえって負担だった」「育休取得期間の短さ」などがあげられ、男性では「自分がやることが多い」や、女性と同じく「取得期間が短い」といった回答があった。

育休期間の長さやその過ごし方、家事分担については事前に話し合うなど、協力して育児を行うことが、お互いの満足度につながると考えられる。

【総評】
大手企業で男性育休の取得率公表が義務化されてから1年が経ち、厚生労働省によると男性育休取得率は13.97%(令和3年)から17.1%(令和4年)に上昇するなど、浸透が徐々に進んでいます。しかし、取得日数の実態を見ると、2週間未満の人が3割を超えており、「妻の負担軽減や仕事復帰の後押し」という育休本来の意義を果たせているか疑問の残る結果になりました。

また本調査では、男女ともに育児退職者・検討者が少なくないことも明らかになり、育児と仕事の両立に不安を抱える社員は一定数いることがわかりました。人手不足感が高まるなか、企業にとって既存社員の離職防止は重要な課題になりますが、育児退職者は悩みを抱えていても子どもの体調による突発的な休みや早退への負い目、人間関係悪化への懸念から相談しづらく、上司や同僚、会社側が事前に不安や悩みを把握するのが難しい面もあります。

企業は当事者が抱いている不安とサポートする側が抱いている不安、双方を早めに把握し、適切な人員配置、属人化している業務の見直し、DXによる業務効率化など、負担軽減に向けて働きかけていくことが必要です。


【調査概要】「育休に対する男女の意識差と実態調査(2024)」
○調査期間/2024年3月1日(金)~3月3日(日)
○調査方法/WEB調査を実施
○調査対象/20~59歳の会社員(正社員)
○有効回答数/800名(内訳:育休経験者、育休未経験者で各400名)
※調査結果は、端数四捨五入の都合により合計が100%にならない場合があります。

 

◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。

(株式会社マイナビ / 5月17日発表・同社プレスリリースより転載)