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掲載日:2023/12/11

海外から日本への仕事検索の動向を調査

パンデミック緩和後、米国からの日本の求人に対する関心が低下する中で
日本は国際的な人材獲得競争に課題
一方、日本への求人検索はベトナムからは71.5%、中国からは81.9%増加。
国際人材の労働供給にプラスの影響を見込む


世界No.1求人検索エンジン* 「Indeed (インディード)」の、日本法人であるIndeed Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:大八木 紘之、以下Indeed)は、国際的な調査・研究機関であるIndeed Hiring Labのエコノミスト 青木 雄介によるレポート「日本の外国人労働者は今後どの国から来るか?」(11月22日公開)の主要ポイントについてまとめました。

*出典:Comscore 2023年6月総訪問数

<調査実施の背景>
少子高齢化と生産年齢人口の減少に伴い、人手不足が深刻化してきている日本において、外国人労働者の受け入れが労働供給を拡大するためのひとつの手段として注目されています。国際的な人材獲得競争の中で、外国人労働者の獲得戦略を検討するにあたっては、海外から日本の仕事に対してどのくらい関心が寄せられているかを把握することが重要であるといえます。そこでこのたび、Indeed Hiring Labでは、Indeedの求人検索データおよび求人クリックデータを活用して、海外から日本国内の仕事への関心状況について調査・分析しました。

【レポート「日本の外国人労働者は今後どの国から来るか?」の主要ポイント】

  • パンデミック緩和後、海外からの日本の求人検索割合は、パンデミック前(2017年から2020年)の水準である0.6%を下回り停滞している。
  • 海外から日本の仕事への関心が停滞している主な原因は米国からの関心の伸び悩み。一方で、海外からの求人検索はベトナムからは71.5%増加、中国からは81.9%増加と着実に伸びており、日本における外国人の労働供給にプラスの影響が見込まれる。
  • 海外からの人気職種は国や地域によって異なるが、その国の経済状況などにより今後変化する可能性がある。特にベトナムからの関心が、日本の強みである製造・建設から、新たに事務・ITへ変化してきていることを見据え、人材獲得に向け国際的な競争力を高めることが重要。
  • 日本が国際人材を獲得しようとした場合、国際人材にとっての日本での仕事の魅力をよりアピールする必要がある。求職者の検索キーワード等から関心の所在を読み取り求人に反映することが効果的だと考えられる。


 

■レポート結果抜粋
1. 外国人労働者による労働供給の増加見込み
厚生労働省による「外国人雇用状況の届出状況まとめ」によると、2022年時点で外国人労働者数は総計で180万人に上り、増加してきています。内訳を見ると、最も多いのはベトナム出身者で25.4%を占め、急速に増加していることがわかります。2番目に多い中国出身者(21.2%)は2020年から微減の傾向にあります。米国出身者は2022年時点で全体の1.9%を占めており、パンデミック前の2019年までは増加していましたが、パンデミック以降は横ばいまたは微減しています。
日本において外国人労働者が最も多い産業は製造業ですが、この分野ではベトナム、インドネシア、ブラジルなどからの労働者の割合が高い傾向です。一方で、米国など経済が発展してきた国々の出身者は情報通信業、卸売小売業、教育学習支援業などで働くことがより一般的です。外国人の労働供給を見込む上では、このように出身国によって選択する産業が異なる傾向を理解する必要があります。同時に、労働者の出身国の今後の経済規模や経済成長によって関心をもつ仕事が将来的に変化する可能性も考慮することが重要です。

2. パンデミック緩和後、日本は国際的な人材獲得競争に課題がある
パンデミック緩和後、国際的な人材獲得競争が激化する中で、求職者の海外への求人の関心は回復していますが、日本への関心は限定的であることがわかりました。日本は国際的な人材獲得競争に課題があると言えます。
日本のIndeedサイトにおける海外からの求人検索の割合の推移を、他の環太平洋経済圏主要国のIndeedサイトと比較して調査しました。その結果、ほぼすべての国でパンデミックの規制が撤廃されてから検索割合が伸びているのに対し、日本はわずかな増加に留まり、パンデミック前の水準である0.6%には達していません。

3. 米国からの関心に大きく左右されるが、ベトナムや中国からの関心の着実な伸びがむしろ鍵
海外から日本の仕事を検索する外国人求職者を国別で見ると、米国の比率が大きい(24%)ため、海外から日本への求人検索数は米国からの関心に大きく左右されます。米国から日本への求人検索割合は2019年と2023年を比較すると56.5%も下がりました。これは、円安や全体的な賃金上昇率の鈍化などによって、求人検索先として日本の人気が相対的に落ち込んだためと考えられますが、米国国内の労働市場自体の規模やトレンドの影響も大きいと考えられます。一方で、外国人労働者の出身国で上位のベトナムと中国からの日本への関心は伸びていることがわかります。2019年と2023年を比較すると、検索割合は、ベトナムで71.5%、中国で81.9%上昇しました。

4. 海外からの関心が高い職種は多様であるが、職種選好の変化に留意する必要がある
米国・ベトナム・中国それぞれの求職者からの、日本の求人への職種カテゴリ別の関心を分析すると、特にベトナム出身者の関心のある仕事が年々変化してきていることが注目されます。パンデミック前には関心の強かった「製造」「建設」への関心は年々減少傾向であるのに対して、2019年時点では関心がそれほど高くなかった「事務」「小売り」「ソフトウェア開発」への関心が最近では高まっています。「製造」への関心は2023年時点でも根強いものの、ベトナムの求職者が関心をもつ仕事は、ベトナムの経済成長等により、ナレッジワーカーの仕事に徐々にシフトしており、米国や中国出身者が関心をもつ仕事と似通ってきていることを示唆しています。

■結論:国際人材を獲得したい場合は、日本の仕事の魅力をより打ち出す必要あり
ベトナムや中国など日本の仕事に対する関心が少しずつ高まっている国もあり、人材獲得に向けては期待が高まります。一方で、ベトナム出身者が関心を寄せる職種が日本の強みである製造業からITなどに変化していることによって、製造業の採用企業などにとっては、従来よりも採用のマッチングが難しくなる可能性もあります。

多くの国が人材不足に直面していることで、国際的な人材獲得競争が高まってきている昨今、企業が国際人材の獲得を目指す場合には、日本での仕事の魅力をより高めていく必要があるでしょう。

IT人材獲得に向けては、米国のソフトウェアエンジニアを他国が積極的に招致している取り組みのように、他国の事例を学び、海外からの人材獲得戦略に活かしていくことも重要と言えます。

また、外国人が海外から日本の求人を探す際の求人検索ワードを分析すると、外国語やITスキル等の検索ワードが多く、スキルに重きをおいて仕事を探す傾向にあることが確認されます。このように、企業は検索ワードの情報を求人に活用することで、国際人材を惹きつけるチャンスに繋がるかもしれません。

 

◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。

(Indeed Japan株式会社 / 12月6日発表・同社プレスリリースより転載)