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掲載日:2023/10/30

副業の実態・意識に関する定量調査

企業の副業容認率が60%を超える一方、正社員の副業実施率は7%で微減
地方出身の副業意向者は「ふるさと副業」への関心度が約7割。地方における人材確保の新たなヒントに


株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都港区、代表取締役社長:萱野博行)は、 「第三回 副業の実態・意識に関する定量調査」の結果を発表いたします。副業に関する調査は2018年、2021年の実施に続き今回が3回目となります。

「副業元年」と称された2018年から5年。コロナ禍を経て、急激な円高や物価の高騰、さらには人材不足が深刻化する中、副業は多様な働き方の実現や生活の質の向上だけではなく、リスキリングや人材不足対策としても注目されています。本調査では、企業と個人(正社員)における最新の副業の実態を解明するとともに、企業と個人の双方にとって実りある副業を実現するため、副業前~副業開始~副業中の各フェーズの課題や副業後の効果などを定量的に把握し、経営・人事に資する提言を行うことを目的に実施しました。

<主なトピックス>
副業の実態

  1. 企業の副業容認率は60.9%で、21年調査より5.9pt上昇。副業解禁の動きが拡大。
  2. 企業の副業受入れ率は24.4%で、21年調査から変動なし。副業容認率とのギャップが目立つ。
  3. 正社員の副業実施率は7.0%で、21年調査より2.1pt減少。
  4. 正社員の副業意向率は40.8%で、21年調査と同水準。副業実施率とのギャップは大きいまま。
  5. 地方企業の7割弱が人手不足な状況。他方、地方出身(副業意向)者の約7割が”ふるさと副業“に関心を抱いている。

副業におけるジャーニー分析(各フェーズの課題)

  1. 副業前~副業開始~副業中の課題(「求人への応募を控える意識の低減」「リアリティ・ショックの抑制」「パフォーマンスの発揮」)を解決するポイントは、個人に求められる意識・行動と、副業先企業における「求人募集」「採用」「オンボーディング」観点の総合的な施策の実施。
  2. 本業先からの【副業前】の働きかけは、「本業先への組織コミットメント」を高め、【副業中】の働きかけは、「(副業実施者の)副業からの学び」を高める。そして、【副業後】の働きかけは、 「(本業先メンバーの)副業者からの学び」を高める。
     

<調査結果からの提言>
副業の実施率と課題
2018年の副業元年から5年が経過し、企業の副業解禁の動きも加速している一方、正社員の副業実施率は微減トレンドを推移しており、副業実施率と意向率のギャップについてもほぼ横ばいの結果となった。2021年に実施した「第二回 副業の実態・意識に関する定量調査」に引き続き、副業者の増加には歯止めがかかっている状態である。

副業の「受け皿」問題と「アンマッチ」
要因の1つに考えられるのが「本業の多忙化」だ。これには、新型コロナウイルス感染症の収束に伴う、テレワーク実施率の低下も関係していると推察される。また、副業における「受け皿の少なさ」と「アンマッチの多さ」も、上記の傾向に関する主要因と言えよう。本調査において、副業者を受け入れている企業の割合は、副業を容認する企業の割合と比べてかなり少なく、また、自身の希望・スキルにマッチしていないが故に、求人への応募を躊躇う個人の意識もみられた。

企業の人材不足は年々悪化しており、特に地方企業にとっては、人材確保は大きな課題である。企業は、今回導出した課題を解決するためのポイントも参考にしながら、副業人材という外部リソースを積極的かつ円滑に活用していくことをお勧めしたい。

「パズルはめ込み型」の副業から「歯車連動型」の副業へ
従来の副業について、1回の面談だけで認識合わせを行うケースが多く、副業者へのオンボーディングに力を入れていないことなどから、「パズルはめ込み型」の様相が確認された。企業と個人の双方にとって実りある副業を実現するためには、副業先の企業と個人の二者に加えて、本業先の企業も巻き込んだ、三者による「歯車連動型」の形態が重要である。

本業先企業の副業者への働きかけは、副業者や周囲のメンバーへの学びを促すだけでなく、本業先への組織コミットメント、継続就業意向、上昇意向の高まりにも寄与する。本データが、副業者への積極的関与について、本業先企業が検討する上での判断材料になれば幸いである。
 

<調査概要>
調査名称パーソル総合研究所 「第三回 副業の実態・意識に関する定量調査」
調査内容企業と正社員個人における副業の実態を把握するとともに、企業と個人の双方にとって実りある副業を実現するためのポイントを明らかにする。
調査手法調査会社モニターを用いたインターネット定量調査
調査時期2023年7月26日 - 8月1日
調査対象者 
■企業調査
勤務先従業員人数10人以上、年齢70歳未満 男女 
経営層・人事(主任・リーダー以上)で人事管理(制度設計・運用等)について把握している者 n=1,500 
■個人調査
【スクリーニング調査対象者】
勤務先従業員人数10人以上 正社員20-59歳 男女 n=61,780
※調査結果の数値は令和2年国勢調査の正規の職員・従業員性年代の構成比に合わせてウェイトバック集計実施
【本調査対象者】 
上記スクリーニング対象者条件に加え、  
①  副業実施者 n=2,000 ※現金収入を伴う仕事を現在行っている & 資産運用でない & 直近1ヵ月間での稼働がある 
②  副業意向者 n=1,170 ※副業は現在行っていない & 副業への意向がある
③ (副業者と接する) 本業先メンバー n=1,000 ※副業は現在行っていない & 副業を行っている同勤務先の社員が身近にいる
④ (副業者と接する) 副業先メンバー n=1,000 ※副業は現在行っていない & 副業で来ている社員が身近にいる 
実施主体株式会社パーソル総合研究所

 

◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。

( 株式会社パーソル総合研究所/ 10月26日発表・同社プレスリリースより転載)