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人事サービス 人材育成・研修
掲載日:2022/10/19

2022年度 教育研修費用の実態調査

2021年度教育研修費は1人あたり2万9,904円
前年比5,063円増も、コロナ禍以前には戻らず

 

人事労務分野の情報機関である産労総合研究所(代表・平盛之)は、このたび「2022年度(第46回)教育研修費用の実態調査」を実施しました。本調査は1976(昭和51)年より実施しており、今回で46回目となります。

本調査は、企業の教育研修費総額と正社員1人あたりの教育研修費用を調査している。2022年度調査では、2021年度の予算と実績額、および2022年度の予算額、それを従業員数で除した1人あたりの教育研修費用額を回答してもらった。それによると、2021年度の1人あたりの教育研修費用実績額は29,904円で、前回調査に比べて5,063円、率にして20.4%増加したが、コロナ禍以前の水準には戻っていない。
なお、本調査の詳細データは、『企業と人材』2022年10月号(No.1116)に掲載している。


主なポイント

(1)教育研修費用総額と従業員1人あたりの教育研修費用

  • 教育研修費用総額の2021年度実績額は5,221万円、前回調査と比較すると、596万円の増加。
  • 従業員1人あたりの教育研修費用の2021年度実績額は29,904円で、前回調査より5,063円の増加。


(2)外部講師・教育機関への支払総額

  • 2021年度の外部講師・研修機関への支払総額は平均で2,644 万円、前回調査とほぼ同額。
  • 研修費用総額に占める支払い割合の平均は60.9%


(3)予算を策定する際の優先基準

  • 教育予算を策定する際に最も優先する基準は 「前年度の実績額」が4割、「ゼロベース」が2割。
  • 「毎年の必要額をゼロベースで積み上げる」は大企業で31.6%と他の規模より高かった。


(4)教育予算の増減状況と今後1~3年の方向性

  • 2021年度と2022年度で予算額を比較すると、「増加」49.3%、「減少」35.3%で、4年ぶりに増加が減少を上回る。
  • 教育研修費用総額の今後1~3年の見通しは、「増加」とする企業(かなり増加+やや増加)が55.8%と半数を上回る。


(5)選抜型リーダー育成の取組み状況

  • 選抜型リーダー育成制度を導入している企業は30.4%。
  • 選抜型リーダー育成制度の選抜対象者を3年前と比較すると、選抜対象者の年齢層・対象者・育成期間どれも「変わらない」とする企業が多かった。

 
教育研修費用の実態調査 結果概要

[1]教育研修費用総額と従業員1人あたりの教育研修費用

(1)1社あたりの教育研修費用総額
1社あたりの教育研修費用総額は、2021年度は予算額6,821万円(前回調査6,934万円)、同実績額5,221万円(同4,625万円)であり、2022年度は予算額7,083万円(同6,603万円)である

(2)従業員1人あたりの教育研修費用
従業員1人あたりの教育研修費用は、2021年度の予算額40,896円(前回調査42,446円)、同実績額29,904円(同24,841円)、2022年度予算額43,261円(同39,682円)だった。2021年度実績額でみると、前回調査から5,063円、率にして20.4%増加しているものの、コロナ禍以前の水準には戻っていない。
2021年度実績額を規模別にみると、大企業(1,000人以上)29,629円(同24,329円)、中堅企業(300~999人)31,323円(同24,790円)、中小企業(299人以下)28,682円(同26,583円)となり、いずれも増加している。また、製造・非製造業別にみると、製造業は27,886円(同22,933円)、非製造業31,155円(同26,585円)となった
 

[2]外部講師・教育機関への支払総額・割合
教育研修費用総額(実績額)のうち、2021年度の外部講師・教育機関への支払総額は平均で2,644万円と、前回調査(2,439万円)とほぼ同額だった。支払い割合の平均は60.9%で、近年は6割前後で推移しており、企業規模別にみても大きな差はない
 

[3]予算を策定する際の優先基準
教育予算を策定する際に最も優先する基準としては、「前年度の実績額」が43.0%(前回調査44.1%)で最も多かった。次いで、「毎年の必要額をゼロベースで積み上げる」が23.8%(同25.1%)、「前年度の予算額」15.7%(同17.1%)など。規模別でみると、大企業で「毎年の必要額をゼロベースで積み上げる」が31.6%と他の規模より高く、業種別では非製造業が29.0%と製造業より高くなっている
 

[4]教育予算の増減状況と今後1~3年の方向性

(1)2021年度/2022年度予算額の増減状況
回答企業の2021年度と2022年度の予算額を比較してみると、予算が増加した企業は49.3%(前回調査35.4%)、減少した企業は35.3%(同50.3%)、増減なしの企業は15.4%(14.4%)と、4年ぶりに「増加」企業が「減少」企業を上回った。企業別規模でみると、大企業では6割以上が「増加」となっている

(2)教育研修費用の今後の方向性
教育研修費用総額の今後1~3年の見通しについては、「かなり増加」が9.3%(前回調査6.6%)、「やや増加」が46.5%(同36.5%)に対し、「現状維持」が40.1%(同39.3%)、「やや減少」4.1%(同12.8%)となっている。
これを「増加計」(「かなり増加」+「やや増加」)、「減少計」(「かなり減少」+「やや減少」)で前回調査と比較すると、増加計55.8%(同43.1%)、減少計4.1%(同17.5%)となり、「増加」とする企業が半数を上回った
 

[5]選抜型リーダー育成の取組み状況
今回の調査では、選抜型リーダー育成の取組み状況についても聞いている。選抜型リーダー育成制度(研修)を「導入している」企業は30.4%、「導入を予定、または検討中である」企業は21.6%だった。「導入しておらず、今後導入の予定もない」とする企業は4割だった。
3年前と比較した選抜型リーダー育成制度の選抜対象者の年齢層、対象層、育成期間はどれも「変わらない」とする企業が多かったが、大企業では年齢層が「下がった」、対象層を「広げた」割合が他の規模より多くなっていた

 

本リリースに関する取材などのお問い合わせ
株式会社産労総合研究所「企業と人材」編集部 担当:片上、原、片岡
TEL 03(5860)9795 MAIL edt-e@sanro.co.jp

 

◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社 産労総合研究所/10月7日発表・同社プレスリリースより転載)