ニュース 掲載日:2022/03/18

世界の人材に関する調査結果を発表 現在の勤務先にとどまる意向が高いITワーカーはわずか29%

IT人材の定着がCIOにとっての新たな課題であることが明らかに

米国コネチカット州スタンフォード発、2022年3月9日 — Gartner, Inc. (以下Gartner) は、世界の従業員を対象に実施した調査の結果を発表しました。ITワーカーは他の従業員よりも離職する傾向が強く、IT以外の従業員と比べて現在の勤務先にとどまる意向の割合が10.2%低いことが明らかになりました。これはすべての職種の中で最も低い割合でした。

本調査は、2021年第4四半期に、ITに関わる従業員1,755人を含む、世界の従業員1万8,000人を対象に実施し、世界15の言語、40カ国の従業員から、毎月回答を得ました。
アナリストでディスティングイッシュト バイス プレジデントのグラハム・ウォーラー (Graham Waller) は次のように述べています。「人材の定着はCレベルの経営幹部に共通する懸案事項ですが、CIOはこの問題の中心におり、ITに関わる多くの従業員を失うリスクを背負っています。オフィスでの勤務再開に向けたポリシーを導入したIT部門が、大量の離職に直面し、方針転換を余儀なくされたというケースも耳にします。ITワーカーは他の大半の従業員と比べて、離職率が高く、需要があり、かつリモートワークに長けていることから、CIOは、他の職種の従業員よりも柔軟な働き方を推奨する必要があるでしょう」

現在の企業にとどまる意向が高いITワーカーは、世界ではわずか29.1%ですが、この割合はアジア(19.6%)、オーストラリアおよびニュージーランド (23.6%)、中南米 (26.9%) ではさらに低くなっています。ITワーカーが企業にとどまる割合が最も高い欧州であっても、10人中4人 (38.8%) の割合でした。
IT人材の定着の課題は、年齢層や地域によって異なります。例えば、30歳未満のITワーカーは、50歳以上のITワーカーと比べて、企業にとどまる可能性が2.5倍も低いことが明らかになっています。企業にとどまる可能性が高いと回答した割合は50~70歳のITワーカーでは48.1%であるのに対し、18~29歳のITワーカーではわずか19.9%でした。
データからは、働く人を中心に据えた柔軟な勤務形態によって、離職率を減少させ、パフォーマンスを向上できることが示されています。2021年にGartnerが幅広い業種、部門、地域における従業員3,000人を対象に実施した調査では、ITワーカーの65%が、「柔軟に働けるかどうかが、組織にとどまるかどうかの判断に影響する」と回答しています。

CIOは、データ・ドリブンなアプローチを用いて、最も離職の可能性が高く、かつ最も価値の高い従業員を特定するとともに、彼らの意欲と高いパフォーマンスを維持するためにハイブリッド・ワークのポリシーを見直すべきです。
働く人を中心に据えたワーク・モデルは、人材とビジネスの両面でメリットを得ることができます。このためにCIOは、以下のような不必要な制限の多い時代遅れの働き方の前提を見直す必要があります。

  • 勤務時間:先進的な企業は、従業員やチームに自身が最も成果を出せる勤務時間を自ら決められる裁量労働制を提供し、週4日勤務などの新しい勤務形態を他に先駆けて採用しています。
  • オフィス中心:「従業員は、管理者の目が届くオフィスでのみ本来の仕事を遂行できる」という迷信は、パンデミックによって打ち砕かれました。今ではほとんどの企業が、集中して行う業務に関しては、従業員はリモートで十分に生産性を発揮でき、人とのつながりやコラボレーションなど特定の業務には、オフィスが最適であるという認識に基づいて、ハイブリッドな未来の働き方を計画しています。
  • 会議:会議の文化は、意思決定を下す際に人々が物理的に集まる必要があった1950年代に始まりました。今では同期/非同期の両方のコラボレーション・ツールによって、分散型の意思決定、コラボレーション、創造性の発揮が可能になっています。

前出のウォーラーは次のように述べています。「働く人を中心とした勤務形態を採用するCIOは、工業化時代の仕事のパラダイムに逆戻りするCIOよりも、人材の雇用、定着、およびパフォーマンスの面で、上回ることができるでしょう」

Gartner Global Labor Market Surveyは、ITに関わる従業員1,755人を含む世界40カ国の従業員1万8,000人以上を対象に、2021年第4四半期に実施しました。上記のデータは四半期中の市況を反映しています。2022年のCIOの最優先課題については「2022年のリーダーシップ・ビジョン:CIO」でも紹介しています。


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(ガートナージャパン株式会社/ 3月11日発表・同社プレスリリースより転載)