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掲載日:2016/08/24

社内ビーコン活用成功のカギとは? 3ヵ月間の検証結果発表~ファーストコンタクトを想定した活用で見えた、課題と可能性:リクルートテクノロジーズ

株式会社リクルートテクノロジーズ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:北村吉弘、以下:リクルートテクノロジーズ)は、社内コミュニケーションの活性化を目的として、独自開発したビーコン(※1)を従業員539名に配布、実証実験を行いました。2016年4月から6月にかけて行われた実証実験の振り返りとして、効果検証の結果を発表します。

※1: ビーコン(Beacon)…Bluetoothと呼ばれる信号の発信機であり、位置と情報を伴った伝達手段です。店舗据え置き型のビーコンなどでは0.1秒.1秒に1回、10m程度の設定が一般的です。今回の仕様では、3秒に一回、3-5m程度に届く目安となっています。Bluetooth Low Energy(BLE)という極力電力を使わない規格を使用しています。

 

(1)独自開発のビーコンを従業員539名へ配布 ~プロフィール情報をアプリで共有、社内コミュニケーション活性化へ~
リクルートテクノロジーズの従業員数は、2012年10月のリクルートグループ分社化当時の150名に対し、現在は539名(2016年4月1日現在)と3年間で約3.6倍に増加しています。急速に従業員数が増えた背景から、人事部ではメンバー同士のコミュニケーション活性化のために様々な施策を行ってきました。その取り組みの一環として、この度、リクルートテクノロジーズ内の研究開発機関アドバンスドテクノロジーラボ(以下、ATL)にて、Eddystone(※2)技術を活用したビーコンおよびスマートフォン用アプリを独自に開発し、従業員539名へ配布しました。これは主に初対面のメンバー、もしくは接点が薄いメンバー同士のコミュニケーションを想定しており、スマートフォンアプリを通じて、会議やオフィスで近くにいるメンバーのプロフィールや連絡先を手軽に閲覧したり、他のメンバーを紹介したりできる機能を開発しました。

※2 Eddystone…
2015年7月にGoogleが発表したビーコンの規格(ビーコンデバイスの振る舞いや発信するパケットのフォーマット)であり、オープンスタンダードを提唱しています。Bluetooth Low Energy(BLE)のアドバタイジングパケットを利用(iBeaconなどと同じ)しています。

 

(2)初対面を想定した活用方法だけでは、社内コミュニケーション活性化に不十分 ~継続利用には期待の声も~

ビーコンの活用が、今回の目的「社内コミュニケーション活性化」に実際に寄与したかを検証するため、2016年6月の実証実験終了後、実験対象者である従業員に対して、事後アンケートを実施しました。(全従業員539名のうち、有効回答者数118名)

初めに、「Q1. 実際に社内コミュニケーションが円滑になったと感じたか?」と質問したところ、「円滑になった」と回答したのは全体の7%にとどまり、「円滑にならなかった」と回答した54%を下回る結果となりました。今回用意した機能だけでは、「社内コミュニケーションの活性化」を達成するためには不十分だったことがうかがえます。その理由として、「そもそも利用用途が限定的であり、知らないメンバーと会議すること自体が少なかった」・「利用したとしても最初の1回のみとなってしまった」など、利用シーンの少なさに対する声が挙がりました。また、「知らない人がいても、勝手にスマートフォンで従業員情報を見るという行為が何となく後ろめたい」・「あまり認識されたくない場面でビーコンの電源を切るなどしていると、通常時に電源を入れ忘れてしまった」など、社内といえども、個人情報を共有することに対する心理的な抵抗感をうかがわせるコメントも見られました。

なお、「Q2. 継続利用したいと思ったか?」を聞いたところ、21%が「利用したい」、32%が「利用したいとは思わない」と回答する結果となりました。

継続利用したいと思わない理由としては、「利用が必要となるシーンがなかった」など、Q.1と同じく利用シーンの少なさに関して改善が必要というコメントが見られました。一方、継続利用希望者の理由としては、「ぱっと名前が出てこない、組織が分からない時のお役立ちツールとして有効と感じた」・「ひとつの会社に閉じたサービスよりは、オープンなプラットフォームとして利用したい」などがあり、機能拡張を含め、サービスの活用や応用に期待する声が一定数あることが分かりました。

上述の社内アンケートや、従業員によるサービス利用データを踏まえ、今後、もし実サービスとしてビーコンを運用していくとした場合に考えられる改善点について、以下にまとめました。

 

(3)ビーコンの社内活用を成功させるカギ ~実サービス化を目指す場合に求められる、改善点とは~

■スマートフォンアプリの機能拡充
[1] プロフィール内容の拡充 今回のアプリでは、「氏名」「所属」「連絡先」といった最低限の情報を登録する仕様となっていました。しかし、「さらに詳細な自己紹介が載っていると話のネタになりそう」などの意見があり、「仕事内容・技術領域」や「趣味」などに関する情報を多くの従業員が公開する状況をつくることができれば、その後連絡を取り合う等、コミュニケーション活性化のきっかけにつながる可能性があります。

[2] 通知機能の追加 ビーコンからの情報を受信/閲覧するためには、その度にスマートフォンアプリを開く必要があることが、利用機会が増えにくい要因の一つと考えられます。例えば、「アプリをバックグラウンドで動作させる機能が必要」などの意見もあり、プッシュ通知機能と組み合わせることによって改善できる可能性があります。今まで話したことのない人が近くに来た際、アプリを開かなくても情報が得られる仕組みを作ることで、利用頻度の拡大が見込まれます。

[3] コミュニケーションツールとしての守備領域を拡張 今回の実証実験では、複数のメンバーが一時的に一同に会する、「ロビー型」とも言うべきコミュニケーションを想定し、ビーコンの技術を活用しました。しかし、「Facebook連動やLINEでインスタントメッセンジャー機能を使えばより良い」「Outlookと連携してほしい」といった意見もあり、継続利用を促し、中長期的な社内コミュニケーション活性化を目指すのであれば、公開されたタイムラインによって構成される「グラフ型」のコミュニケーションツール(Facebook等)や、特定メンバーがチャットを楽しむ「ルーム型」のコミュニケーションツール(LINE等)といった要素を加えることが有効と考えられます。

■利用シーンの工夫
[4] 特別な利用シーンの設定 従業員が一同に会するキックオフイベントや、セミナーなど、初対面のメンバーと接触する可能性が高い場面での使用を推進することによって、「名刺代わりとして使用できる」といったメリットを感じやすくなる可能性があります。 ※また、従業員からは、コミュニケーション活性化とは異なる観点から、以下のようなビーコン活用アイディアも寄せられました。
●「トイレ」「エレベーター」「従業員食堂」などの混雑状況の把握。
●会議室予約システムと連携して予約済・未使用の会議室の把握。

 

◇ アンケート概要
■アンケート回答者: リクルートテクノロジーズ従業員(539名のうち、有効回答者数118名)
■アンケート期間: 2016年7月7日~15日
■アンケート方法: 社内アンケート
■アンケート設問:
Q1. 実際に社内コミュニケーションが円滑になったと感じましたか?(円滑になった/どちらともいえない/ならなかった)
Q1’. 上記の理由を教えてください(自由回答)
Q2. 継続利用したいと思いましたか?(利用したい/どちらともいえない/利用したいとは思わない)
Q2’. 上記の理由を教えてください(自由回答)

◇ ビーコン/スマートフォンアプリ利用状況
■ビーコン利用日数:(平均:2.9日)
11日以上 23人
06-10日 88人
01-05日 226人
00日 202人

■被参照回数:(1日以上使用したことがある従業員のうち、ビーコンがアプリを通じてスキャンされた回数)(平均:16.4回)
31回以上 38人
21-30回 53人
11-20回 92人
01-10回 131人
00回 3人

■ブックマークを一度でもしたことがあるユーザー数:
129人 (1日以上使用したことがあるユーザーのうち、38%)

■ブックマークを一度でもされたことがあるユーザー:
220人 (1日以上使用したことがあるユーザーのうち、65%)

■誰かに誰かを紹介したことがあるユーザー数:
30人 (1日以上使用したことがあるユーザーのうち、9%)

 

<本件に関する報道関係様からのお問合せ先>
株式会社リクルートテクノロジーズ PR事務局 アウル株式会社
TEL: 03-5545-3888 FAX: 03-5545-3887 MAIL: rtc-ml@aur.co.jp

 

◆ 本リリースの詳細は、こちら(PDF)をご覧ください。

(株式会社リクルートテクノロジーズ http://recruit-tech.co.jp/ /8月23日発表・同社プレスリリースより転載)