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掲載日:2006/06/23

中小企業・経営者シリーズ・2006年夏季号
「成果主義の“落し穴”とスキルセット人事」

川勝研究所(東京都世田谷区、川勝民雄・代表取締役)はこの度、「成果主義の“落し穴”とスキルセット人事」2006年夏季号(P.60・小冊子)をアップデートしました。今回この小冊子を進呈いたします。詳しくは、同社ホームページまで。

【 「プロローグ」より 】
■ 世界的資源高騰、米中への輸出活況、リストラ改革の三点セットの完了によって、ほぼ全業種に亘り、2005年9月期に引き続き、06年3月期も大変な好調な決算が続出した。政府もデフレからの脱却が射程内に入ったとし、日米の金利動向とドル・円相場に不安があるものの、久しぶりのボーナス増額、乗り遅れまいとする個人ネット投資家(執筆時点の6月上旬の日経平均は4月のピーク時から17%も下げ、相当な含み損を抱えているが)、設備年令の若返りにつながる企業投資など、まるで1年前が嘘のようなはしゃぎ様だ。日銀も、念願の資金量調節封印の解除権を手に入れ、長期金利もソロリ・ジワリと上昇し始めた。

■ でも、でもだ。「分かっちゃいるけど、止められない」のが、一方に振れはじめた振り子は、必ず逆の方向に変わるのが分かっているのに、体は、今の揺れ方向への移動を止めることができないことだ。楽観は楽観を呼び、悲観は悲観を呼ぶ。楽観の中で、悲観に対する準備を、そして、悲観の中で、楽観に対する準備をすることが如何に難しいことか。楽観と悲観への対応の失敗の都度、多くの中小企業にとっての生存分岐点、ハ一ドルは、ジワジワと高まりつづける。楽観の中では、このハードルは育ち、悲観に中で牙を剥いて襲いかかってくるものだ。

■ バブル期に振り子は大きくプラスに振れた。成長率は高く、日本的な経済社会への自信が強まった。誰もが、東京が世界の金融の中心になるだろうと考えた。明らかな自信過剰の時代であった。90年代に入り、振り子はマイナス方向に振れる。成長率低下、失業率上昇、雇用・負債・設備の過剰3兄弟、IT革命の遅れ、リード役産業の不在、アジアへの生産拠点移動、低廉品による国内市場の席巻、経済空洞化懸念など、一気に自信喪失の時代に陥ってしまった。

■ 昨年は、こうした振り子の振れのちょうど節目に当っていたようだ。第一に、バブルの後遺症が消え始めた。不良債権処理の進行、銀行貸出の増加、最終局面のデフレ、雇用・賃金の増勢兆候などだ。第二に、企業経営の自信回復だ。リストラをほぼ終え、収益率の回復、株価の大幅回復、デジタル家電など日本らしいリード役産業も出現してきた。第三に、経済論議から悲観的風潮がなくなり、楽観的なムードが目立ってきたことだ。これは、劇薬にもなるが、振り子の節目では良薬だ。

■ 大きな節目を越したことは間違いないが、財政再建、公的部門の改革、人口減少によるボディブローへの対応など、継続的楽観ムードに浸って将来への備えを怠れば、やがて、振り子は再び大きくマイナス方向に振れるだろう。楽観の中での悲観対応に、頭だけではなく、どれだけ行動で示せるかが、今の経営者に問われているのだ。

■ 雨雲が現れた途端に悲観主義が支配し、晴れ間が広がると過剰な楽観主義が蔓延するのが「日本病」だ。いま振り子は悲観から楽観へ降り始めたように見える。だが、座して配当を受け取る時代ではない。次の悲観の悪魔が、すぐそばで、鋭く爪を研ぎ澄ましている匂いを嗅ぎ取り、今から対応できる経営者が最後の勝利者になるのだ。以下、中小企業の人材の切り口から、何をすべきか、密度高く考えてみよう。


(川勝研究所 http://kawakatsu.com//同社プレスリリースより抜粋・6月23日)