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掲載日:2015/12/11

労務行政研究所、『緊急調査 企業のマイナンバー対応状況アンケート』
~マイナンバーの収集に向けた事務の対応状況は、11月時点で39.6%の企業で対応完了、59.2%で対応中。未対応はわずか1.2%~

マイナンバー制度に際して企業は、マイナンバーの収集、法定調書への記入に加えて、厳重な情報管理が求められており、担当者の適切な対応と管理が求められる。今回、民間調査機関の一般財団法人 労務行政研究所(理事長:猪股宏 東京都品川区西五反田3-6-21 住友不動産西五反田ビル3階)では、人事労務の専門情報誌『労政時報』のWEBサイト登録者を対象に、マイナンバーへの実務対応について調査した。

 

<調査結果のポイント>
(1)マイナンバーの収集に向けた事務の対応状況は、11月時点で39.6%の企業で対応完了、59.2%で対応中。未対応はわずか1.2%
(2)実務面での課題(複数回答)は、「マイナンバー収集・保管・廃棄」50.4%、「安全管理措置」41.2%、「業務量の増大」40.0%
(3)マイナンバーの適正な取り扱いのために事務取扱担当者に教育・研修を「実施した」企業は50.6%、「実施する予定」は38.6%
(4)副業禁止規定がある企業は83.5%で、規定がある企業のうち、副業発覚時に「極端な事案にだけ」「厳格に」対処するのは合わせて67.5%

 

すでに対応を完了した企業は40%、対応中は59%。
副業禁止規定のある企業では、副業発覚時に懲戒等の対処がなされるのは68%

1. 2015年11月時点におけるマイナンバーの収集に向けた事務の対応状況
2015年11月11~18日の調査時点での企業のマイナンバー収集事務の対応状況を見ると、「対応中で、収集に向けた各種整備を進めている」が59.2%で最も多く、「対応はほぼ完了しており、後はマイナンバーを収集するだけ」が39.6%と約4割を占めた。
「まだ対応していない」のはわずか1.2%にとどまっており、各社とも2016年1月の本格運用開始に向けて準備を進めていることが分かる。

 

2. 実務面の課題
実務面ではどのようなことが課題になっているのか聞いたところ(複数回答)、「従業員やその家族のマイナンバー収集・保管・廃棄」が50.4%で、半数以上の企業が課題と回答した。以下、「組織的・人的・物理的・技術的などの安全管理措置」41.2%、「事務手続きの変更に伴う業務量の増大」40.0%と続く。

 

3. 事務取扱担当者の人数
事業者は、マイナンバーを取り扱う事務の範囲および特定個人情報等の範囲を明確にした上で、マイナンバーを取り扱う事務に従事する担当者(事務取扱担当者)を明確にしておく必要がある。

事務取扱担当者の特定状況では、「特定している」が92.8%と、ほとんどの企業で対応している。さらに、具体的な人数の回答があった173社における人数と分布を見ると、1社当たりの事務取扱担当者は規模計で平均8人、中位数は4人であった。規模別の傾向を見ると、当然ながら、規模が大きくなるほど担当者の人数が多くなることが分かる。最頻値は1000人以上で「5~6人」21.1%、同300~999人が「3~4人」39.3%、同300人未満は「1~2人」55.0%となっている。

 

4. 教育・研修実施状況
マイナンバーの適正な取り扱いのために、事業者は、(1)事務取扱担当者の監督、(2)事務取扱担当者の教育の措置を講じなければならない。教育・研修状況について見ると、事務取扱担当者に教育・研修を「実施した」企業は50.6%、「実施する予定」は38.6%となっている。この両者を合計すると89.2%に上り、9割弱の企業で教育を“実施する”としている。また、マイナンバーの取り扱いに際しては、事務取扱担当者だけでなく、従業員の正確な理解とルールの遵守が重要となる。従業員に教育・研修を「実施した」企業は35.9%、「実施する予定」の企業は26.0%で、両者を合計すると61.9%となる。6割超の企業が従業員への教育を行うことが分かった。

 

5. 制度対応に要した初期費用
マイナンバー制度への対応に要した初期費用の総額(新たに人材を採用したなどの人員面の費用は除く)を尋ねたところ、「10万円未満」が25.0%と最も割合が高く、以下、「10万~50万円未満」20.2%、「50万~100万円未満」16.6%と続く。全体の61.8%が100万円未満となっている。

 

6. 副業発覚時の対応
マイナンバー導入により各人の所得が捕捉しやすくなり、「副業」の発覚も増えるといわれている(副業が発覚するのは、マイナンバー制度が直接の原因ではなく、本業と副業の給与から算出された住民税額が自治体から勤務先に通知され、住民税額が同じ給料を支払っている他の社員より高い場合、勤務先はその社員に副収入があると気づくことによる。ただし、どこでどのように収入を得たのか所得増の原因まで知らされるわけではないので、勤務先は、あくまで副収入がある事実を知るにとどまる)。

そこで就業規則に「副業禁止」の規定を設けているかを尋ねたところ、「副業禁止規定がある」企業は83.5%に達した[図表6]。申告すれば認める企業もみられたが、少なくとも“会社に無断で”副業を行うことは8割超の会社が禁止している。

 

<調査要領>
1.調査対象および集計対象
『労政時報』定期購読者向けサイト「WEB労政時報」の登録者から抽出した本社に勤務する人事労務・総務担当者の計2万3177人 を対象に、WEBによるアンケートを行った。 集計対象は417社(1社1人)。産業別、規模別に見た集計対象会社の内訳は図表参照。
2.調査時期:2015年11月11~18日
3.回答者のマイナンバーの取り扱いにおける職務・役割(図表参照)

※本調査の詳細は弊所編集『労政時報』第3901号(15.12.25)で紹介しています。

 

【本件に関するお問い合わせ先】
企業名:一般財団法人労務行政研究所
担当者名:五林麻美
TEL:03-3491-1242
Email:editor@rosei.or.jp

 

◆本調査の詳細は、こちら(PDF)をご覧ください。

(一般財団法人労務行政研究所 http://www.rosei.or.jp/ /12月9日発表・同社プレスリリースより転載)