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掲載日:2014/02/07

マーサー 中高年人材の活性化、「リ・スキル(Reskilling」に関する報告書を発表
(2014年世界経済フォーラム年次総会 (通称ダボス会議) 報告内容の詳細版)

報告書:リ・スキル~中高年人材の生産性と競争力向上のために~

●30を超える日本企業・団体の調査を通じて見出したキーワードは「リ・スキル」
●中高年社員の活性化の5つの成功要因を特定
●「成長」「仕事の要件と人材の能力の客観的な評価」「育成のための投資」の3つの基本的方向性に基づく提言


世界最大級の人事・組織コンサルティング会社マーサーの日本法人であるマーサージャパン株式会社は、報告書「リ・スキル~中高年人材の生産性と競争力向上のために~」を発表した。本報告書は、2014年1月下旬に世界経済フォーラム (WEF) 年次総会 (通称ダボス会議) で報告されたレポート「 Education & Skills 2.0: New Targets and Innovative Approaches 」のうち、日本における中高年人材活用の課題と解決のための提言の元となった調査・分析の結果をマーサージャパンとしてまとめたものである。


キーワードは「リ・スキル(Reskilling)」

本報告書は、30を超える日本企業・団体のヒアリングを含む調査より見出した「リ・スキル」をキーワードとして、中高年人材の活性化の成功要因を抽出し、企業・個人・政府への提言を行っている。「リ・スキル」とは、個人が、年齢にかかわらず成長することを志向し、新たなスキルを身につけたり、経験領域を含むより広い領域で保有するスキルを活用したりすることによって、個人としての生産性や競争力を高め、より大きな価値を生み出すことができるようにすることである。

中高年人材の活性化は、多くの日本企業で重要な経営課題として認識されているが、未だ有効な解決策が見出されているとは言えない。解決に向けた具体的な取り組みが進まない根本原因は、年齢による個人の能力の衰えにあるのではなく、高度経済成長期に労働力確保の観点から整備された日本企業の人材マネジメントと雇用慣行、労働市場の流動性を低位安定させた社会・労働政策、そして会社の提示するキャリア・シナリオを甘受する個人の「一所懸命」の就社観の3つが強固に噛み合って容易にほどけないことにある。


中高年人材活性化の成功要因

マーサーによる調査を通じて、まだスケールこそ小さいものの、目的を明確に意識したユニークな取り組みによって中高年がスキルの転換や高度化を果たし、新たな価値を生み出しているケースが見出された。それらの分析から導き出された「中高年社員の活性化」の成功要因は以下の5つである。


1.個人に「成長」を求める場づくり
2.経験領域を含む、より広域で活用可能な個人のスキル・適性の特定
3.個人の志・動機の振り返り・再確認と成果に対する評価・認知
4.人と事業の要件を見極めた上での柔軟なマッチングと成長の支援
5.組織を超えたオープン化、これによる上記(1)~(4)の強化


これらの成功要因を個別ばらばらに施策に落とし込み、実施しても十分な成果は期待できない。これらの成功要因を複数組み合わせ、かつ、企業・個人・政府が連携して包括的に取り組むことが重要である。


企業・個人・政府への提言

企業・個人・政府はそれぞれ、「成長」「仕事の要件と人材の能力の客観的な評価」「育成のための投資」の3つの基本的方向性で一貫した、以下の意識・行動・施策の変革を一体的に進めるべきである。


<企業>
1.成長戦略を実現するための人材戦略を具体的に示す
2.年功ではなく、仕事の要件と人の能力を客観的に評価して配置・登用する
3.中高年社員こそローテーションして育成する

<個人>

1.「志」を再確認し、年齢に関係なく成長を目指す
2.肩書や年次で仕事をしない
3.市場価値を意識し、35歳から毎年キャリアを見直す

<政府>
1.「日本再興戦略」に中高年人材をマッチングするオープンプラットフォームを作る
2.リ・スキルのロールモデルを表彰し、特定分野を超えて活用できる能力の評価基準を作る
3.職業訓練を見直し、中高年人材へのリ・スキル促進投資を増やす


本報告書発表に当たり、マーサーのリーダーシップ・組織戦略コンサルティング部門アジア・中東・アフリカ・ラテンアメリカ地域代表であり、調査を統括した中島正樹は、次のように述べている。


「『リ・スキル』には、中高年個人の意識の転換と行動変革が必要なのは大前提だが、企業による伝統的な人材マネジメントからの転換と、政府による新たな視点からの労働政策が、それと一体となって実施されることで、今後、高齢化と人口減が進む中でも日本が経済成長を持続するための大きな力になると期待できる。」

なお、この調査・分析は、世界経済フォーラム:Global Agenda Council on Education & Skillsの委員で、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の石倉洋子教授と共同で実施したものである。石倉教授は、次のように述べている。

「世界経済フォーラムのGlobal Agenda Council on Education & Skillsでは、2014年1月のダボス会議の場で、変化の加速する世界における競争力の原動力である『教育―スキル開発―雇用』の連鎖について、最新の考え方や事例を集めた『Education & Skills 2.0: New Target & Innovative Approaches』を発表した。第10章の日本の事例「女性と中高年人材を活用して日本経済を再生する」では、最近安倍内閣が成長戦略の核として提唱している女性活用とともに、急速な高齢化において世界の先頭に立つ日本の取組に焦点をあてている。日本経済、日本企業が競争力を取り戻す上で鍵となる中高年齢人材の戦力化は、今後同様の道をたどる諸外国にも示唆を与えるものとなろう。」


本件に関するお問い合わせ
マーサー ジャパン株式会社
広報
小原 香恋 Karen Ohara
Tel: 03-5354-1674 pr.japan@mercer.com

組織・人事変革コンサルティング部門
Tel: 03 5354 1540 hcas.japan@mercer.com
http://www.mercer.co.jp/humancapital


◆ 本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。

(マーサー ジャパン株式会社 http://www.mercer.co.jp/home /2月4日発表・同社プレスリリースより転載)