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掲載日:2024/11/01

TOPIX100・日経225企業CEOの報酬水準等に係る開示状況の調査結果

組織・人事、福利厚生・ウェルビーイング、年金・資産運用のグローバルリーダー、マーサーの日本法人であるマーサージャパン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 草鹿 泰士)は、TOPIX100・日経225企業合計228社におけるCEOの報酬水準・構成比率、及び標準額・支給実額の決定方法・計算式に係る開示状況の調査結果を発表した。

調査結果1. CEO報酬の標準額・支給実額・構成比率
標準額※1(CEO※2報酬の標準額中央値)は、2022年度の191百万円から2023年度で200百万円へと増加。特に90%ileでは、2022年度の489百万円から2023年の590百万円へと増加し、一部の企業ではグローバル水準(概ね5億円以上)に伍してきている。支給実額※3(役員報酬の支給実額中央値)は、2022年度の128百万円から2023年度は141百万円へと増加。上記標準額の増加を受け、2024年度の支給実額は各社の業績次第ではあるもののさらに増加する可能性がある。標準額の構成比率(標準額の構成比率を開示している企業)は、2022年度では228社中158社(69%)、2023年度では165社(72%)だった。

日本企業のCEO報酬は概してグローバル市場に比して低水準であるものの、昨今はグローバル市場を意識した報酬制度設計や、経営人材の流動性の高まり等により水準が高額化しつつあることを裏付ける結果となった。

組織・人事変革コンサルティング部門 役員報酬・コーポレートガバナンス プラクティスのマネージャー枝侑加は、今回の報酬水準に係る調査結果について、次のように述べている。
「欧米企業と比較して相対的に低いと言われ続けてきた日本のCEO報酬も、2023年度は標準額の中央値で200百万円、90%ileでは500百万円を超えるなど増加してきています。CEO報酬水準の上昇は、配下のCXOや執行役員、そして従業員報酬の上昇余地を生み、日本全体の報酬水準上昇にもなり得るため、今後も動向を注視していきたいと考えています」

※1  業績を100%達成した際の総報酬額(基本報酬+短期インセンティブ+長期インセンティブ)。CEOの支給実額及びCEOの標準報酬構成比率が開示されている企業(2022年度101社、2023年度108社)を母数として算出
※2  名称としてCEOが設定されていない場合は業務執行のトップである社長の報酬を参照
※3  中央値はTOPIX100と日経225企業の全228社を母数として算出。ただし支給実額が1億円に満たさず開示を行っていない企業も含まれるため、25%ile及び10%ileの具体的な金額は算出不可

調査結果2. CEO報酬標準額決定方法や支給実額計算式に係る開示
本調査によると、CEOの報酬を決定する際に使用したベンチマークを開示している企業はわずか25%、業績目標と結果の詳細を開示している企業は3分の1以下(32%)にとどまった。CEOを中心とする役員の報酬体系の発展が見られる中、標準額決定方法や支給実額計算式、算出方法についてより透明性を求める投資家の声が高まっている。

同部門のアソシエイトコンサルタント豊田健人は、CEOを中心とする役員の報酬開示状況に関して以下のように述べる。

「日本企業、特にTOPIX 100および日経225に含まれる企業においては、情報開示の更なる透明性の向上が求められ、改善に向けた一歩を踏み出すことを期待しています。報酬開示における透明性は、従業員や投資家を含む企業とそのステクホルダー間の信頼と信用を促進する上で極めて重要です。その報酬額を支給する妥当性を示すことで、有能な人材の獲得と維持に役立つとともに、企業が業績に見合った報酬を支払う責任を明確にすることができます」

調査結果3. 企業業績と報酬額との連動性の高まりを示唆
標準額の構成比率中央値は、2022年度ではおよそ基本報酬:短期インセンティブ:長期インセンティブ=50:30:20、2023年度では同45:32:23。短期インセンティブと株式報酬を中心とした長期インセンティブを合わせた業績連動報酬比率が上昇して基本報酬比率を超える結果となっており、各社が企業業績と報酬支給額の連動性を高めてきていることが読み取れる。

2023年度のCEO報酬水準は2022年度対比で増加し、今後日本全体で報酬水準が上昇する可能性も垣間見える。その一方、標準額・支給実額の決定方法・計算式の開示は十分とは言えず、さらなる深化が望まれるだろう。
 

◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。

(マーサージャパン株式会社 /10月24日発表・同社プレスリリースより転載)