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掲載日:2023/07/31

「給与デジタルマネー払い」に関するアンケート

12.8%の企業が「給与デジタルマネー払い」早期検討開始の意向

三菱総研DCS株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:松下 岳彦、以下DCS)は、DCSが提供するクラウド型人事給与システム「PROSRV on Cloud(プロサーブオンクラウド)」利用企業の人事給与担当者を中心に「給与デジタルマネー払い」に関する独自アンケートを実施しました。その結果、12.8%の企業が、給与デジタルマネー払い導入にむけ早期に検討を開始する考えを持っていることがわかりました。

■調査目的
2023年4月1日から賃金のデジタル払いを可能とする厚生労働省令の施行に伴い、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者(いわゆる〇〇Pay等のサービス)の口座への給与支給が可能となりました(※1)。しかしながら現段階では、各資金移動業者はサービスの開始時期・手数料・内容等を発表していないため、人事の現場では具体的な検討が難しい状況にあります。
※1 厚生労働省「資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について」

このような状況のなか、人事の「現場」ではどう考えているのか。当社サービスをご利用いただいている企業を対象に、企業の給与制度・給与業務の最前線にいる人事給与担当者の生の声を調査いたしました。いずれ幕開けとなる給与デジタルマネー払いに向けて、企業でのご検討・ご準備の一助となれば幸いです。

■調査結果
Q1.賃金のデジタルマネー払いについて、現状どのようにお考えですか?
以下の選択肢から、もっとも近いものを1つ選択してください。

給与デジタルマネー払いを検討するか、現段階での考えについての調査です。
「すでに検討している。もしくは、積極的に検討しようと考えている」が全体の1.6%。
「資金移動業者のサービス内容が具体的になったら、自社や自社の社員にメリットがあるか、総合的に検討しようと考えている」が11.2%。計12.8%が各資金移動業者のサービス内容が明らかになれば、比較的早い時期の検討を考えていることが分かりました。

最も多かったのは、「いまのところ検討するつもりはないが、他社や社員の声などの状況によっては、検討するかもしれない」の57.4%。半数以上の企業は、今後の普及状況・社員ニーズを見極めたいとする「様子見」として、状況に応じて、必要ならば検討しようと考えていることがわかりました。なお、29.8%は、「検討するつもりはまったくない」を選択しています。

Q2.賃金のデジタルマネー払いのメリットは、どのような点だとお考えですか?
以下の選択肢から、あてはまるものをすべて選択してください。(複数回答可能)

給与デジタルマネー払いのメリットについて、実際の人事の現場ではどう考えるかの調査です。

「銀行への給与振込手数料が削減できる」が50%と最も多く、「社員がポイント還元を受けられる」28.8%、「社員がチャージを行う手間がなくなる」26.9%と続きます。自社もしくは従業員にもたらされる具体的な経済的効果が、多くの企業でメリットと考えられています。
また「採用の際にアピールできる」20.5%、「先端的な取り組みを行うことで、企業イメージが向上する」25.6%とアピール・イメージ面でのメリットが、ほぼ同数で続きました。
「週払い、日払いなど、多様な賃金支払い方法に対応しやすい」は5.1%と圧倒的に少なく、人事の現場では、相対的にメリットとは感じられていませんでした。

また、自由記述による回答で、「特にメリットを感じない」、「メリットがあるとは思えない。」といった回答も12名からいただきました。他、銀行口座を持たなくても給与デジタルマネー払いが可能(※)となるのであれば、口座開設の敷居が高い、外国籍の従業員への支払方法としてメリットがある。とする回答も5名からいただきました。

※厚生労働省令では、給与デジタルマネー払いでは、資金移動業者の口座残高に100万円の上限金額が設けられた。超過した際には、社員が登録した銀行口座へ超過額を入金する義務を資金移動業者が負わされたため、銀行口座も必須となる。

Q3.給与デジタルマネー払いのデメリットは、どのような点だとお考えですか?
以下の選択肢から、あてはまるものをすべて選択してください。(複数回答可能)

Q2とは逆にデメリットについての調査です。
デメリットについては、Q2のメリットよりも、全般的に高い値となりました。最も多かったのは、「制度や資金移動業者のサービスを理解しなければならない」65.1%、続いて「賃金支払いの事務が増える」60.6%、「従業員からの問い合わせが増える」50.6%。給与デジタルマネー払いは、人事の現場では新たな運用・事務となるため、負担が増すことについてデメリットと考える企業が多くありました。
「資金移動業者が破綻するリスク」も48.4%の企業が選択しており、破綻した場合に実際どう保証されるかが明示されていないなか、デメリットと考える企業が半数にのぼりました。また、「資金移動業者への手数料」も43.3%と半数弱の企業が選択しました。
「従業員の金銭感覚がなくなる」は、15.7%と相対的に少ない結果となりました。

また、自由記述による回答で、「生活に必要な支払が全てがデジタル払いできるわけではない」「給与2口座制の会社なら理解できるが、1口座制の会社だと、ローン・家賃や公共料金の引落もあり現実的ではない」といった社員が銀行口座へ振り替える手間が発生する、とする回答も4社からありました。

Q4.賃金のデジタル払いを貴社で行うとしたら、どの職種の方を対象にしようと考えますか?以下の選択肢から、あてはまるものをすべて選択してください。(複数選択可)
給与デジタルマネー払いの対象者についての調査です。なお、Q1で「検討するつもりはまったくない。」を選択した場合でも、自社でデジタルマネー払いを行うとしたら、という前提で回答いただきました。

94.6%の企業が、実施するのであれば「正社員」を対象とすると考えています。「パート社員」や「アルバイト」のみを対象に考えている企業は2.56%にとどまり、非正規雇用社員向けの施策ではなく、実施するのであれば正社員を対象と考えている企業が圧倒的に多い結果となりました。

■まとめ
給与デジタルマネー払いへの検討は、12.8%の企業が比較的早い段階で検討に着手しようと考えていますが、一方で57.4%は様子見、29.8%は「検討するつもりはまったくない」と考えています。

「銀行振込手数料の削減」、「社員へのポイント還元」といった経済的な効果にメリットを感じる一方で、人事の現場では、運用や事務の負担が増すデメリットが感じられていました。

  今後、資金移動業者から具体的なサービス内容が順次発表されていくと考えられますが、サービスの手数料水準、従業員への還元が魅力的なものか、運用・事務が行いやすいかが、企業の検討において大きなポイントとなります。先行して開始した企業がメリットを感じ、運用・事務を円滑に行うことができれば、多くの企業に広がっていく可能性があります。

  国内234兆円(令和3年国税庁 民間給与実態統計調査)の給与資金の流れが変わる可能性があり、資金移動業者によるキャンペーン等の普及施策も想定され、企業においても適切なタイミングで検討に入れるよう、動向を注視する必要があります。
 

【調査概要】
・調査対象    当社の人事給与システム「PROSRV」利用企業の、人事給与業務ご担当者様
・有効回答数 312名
・調査期間    2023年5月22日 - 2023年6月12日
・地域             日本国内
・調査方法    PROSRVお客様向けポータルサイトでのアンケート

 

◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。

(三菱総研DCS株式会社 / 7月25日発表・同社プレスリリースより転載)