ニュース 掲載日:2018/08/02

『中国・東南アジア・インドの求人・求職者動向レポート 2018年4‐6月期』:リクルート

株式会社リクルート(本社:東京都千代田区 代表取締役社長 北村吉弘)は、アジアを中心に人材紹介事業を展開するRGF International Recruitment Holdings Limited(本社:香港、Chairman:葛原孝司)を通じて、このたび、2018年4‐6月期の中国・東南アジア・インドにおける日系企業を中心とした求人・求職者の動向をまとめました。

 

中国大陸
工場自動化や半導体需要増を背景に「製造」「商社/貿易」が堅調

・当社で取り扱う日系企業を中心とした4-6月の求人数は2,571件で、前年同期比7%増加。日系企業においてはIT/通信(41%増)、製造(10%増)、商社/貿易(6%増)、サービス(6%増)の求人が増加した。
・業界別に見ると、中国政府の方針で推進される工場自動化や、世界的な半導体需要増を背景に、製造、商社/貿易関連企業の好調なトレンドが1-3月期から続いている。
・現状の求人トレンドに影響は出ていないものの、米中貿易摩擦の深刻化は今後の懸念材料。製造、商社/貿易を中心に、企業の採用意欲に影響が出る可能性はあり、動きを注視したい。

○転職事例:生産・品質管理部長(日本人材)/現地・電機/50歳代/約48万中国人民元(年収)

 

香港
景気回復の影響で転職市場が活発に。
大手からベンチャーまで幅広い職種での求人が増加

・景気回復に伴い多くの企業が採用活動に積極的。
・日系企業においては製造・商社の大手企業を中心に経営企画やグローバルマーケティング職などの戦略系職種や内部監査・内部統制、リーガル・コンプライアンス等の管理系職種の採用など、管理部門を中心に募集が増えている傾向。
・日本人求職者のトレンドとして、日本から香港に転職を希望する人の数に大きな変動はないものの、企業側はビジネスレベルの語学力を求めることが多く、結果として香港在住・勤務経験のある人材を積極的に採用する傾向が目立つ。
・現地の求職者は毎年、正月明け3-4月の転職活動が活発になるが、今年は香港全体の景気回復もあり、例年以上に転職活動が大きく増加した。

○転職事例:経営企画室マネージャー(中国人材)/日系・総合商社/30歳代/約950万円(年収)

 

インド共和国
新規進出した日系自動車関連部品メーカーの採用活動が堅調。短期間での採用確定も

・在インド日系企業では毎年4月前後に昇給・賞与の査定を行うことが多く、その後転職活動が増える傾向にある。今年もその傾向がみられ、5月以降の求人数が急増し、インド人採用、日本人採用ともに増加した。
・アーメダバード近郊で日系企業の新自動車工場が設立されたのをきっかけに、日系自動車部品メーカーが同地域に新規で進出。また他の地域(デリー、バンガロール、チェンナイ)でも自動車関連部品の製造企業が新規で進出しており、拠点立ち上げに伴う求人の問い合わせが多い。
・新規進出企業の「立ち上げ期」人材ニーズが高いなか、短期間で採用したいという企業が増えている。また、特定の業務だけでなく、幅広い経験を保有している人材を募集する傾向もある。4-6月期においては、建設関連企業の総務管理全般を担当するポジションで、現地人材を募集。弊社への委託から2週間程度で採用確定に至った。

〇転職事例:購買(日本人材)/日系・自動車部品メーカー/50歳代後半/約800万円(年収)

 

インドネシア共和国
自動車・インフラ関連求人の増加。政府による外国人労働者受け入れ体制改善に期待が高まり、日本人採用の気運が高い

・インドネシアにおける弊社の求人数は、ラマダンの影響もあり1-3月比では求人数が減少。特に休暇の多い6月は採用活動が鈍化したものの、前年同期比では求人は増加。
・増加要因として、自動車販売台数が前年を上回る水準で推移している点やインフラ関係を含む大規模工事を請け負う建設関連企業の採用ニーズが高まっていることが挙げられる。また政府による外国人労働者の受け入れ体制改善(手続きの簡素化)が期待されている点も、日本人を対象とした求人増加に影響している。
・例年4-6月、帰任する駐在員の枠を補充する求人が増加する。また新年度に就任した経営陣によって組織の見直しが発生するため、組織全体の採用需要が増加。
・インドネシア在住で営業経験がある人材やインドネシア語が話せる若手からミドルレベルの日本人人材が求められている。また建設関連企業の採用においては、プラント、土木、ビルの施工管理等、建設業での経験を有するミドルから管理職レベルの日本人人材が求められている。

〇転職事例:セールマーケティングマネージャー(日本人材)/日系・工業団地経営会社/60歳代前半/約8億9,000万インドネシアルピア(年収)

 

シンガポール共和国
労働ビザ発行数の減少に伴い外国人採用ニーズが減少傾向。現地人材の採用ニーズが高い

・2017年1月に労働ビザ発給が厳格化されてから約1年半が経過し、それまで右肩上がりで推移していた労働ビザ発行数が前年比4,500人減少と発表された。日本人を含む外国人を採用したいという企業ニーズは減少傾向にある。
・全体として現地人材の採用ニーズが高まるなか、日系企業においては日本語を話せるシンガポール人および日系企業での勤務経験のあるシンガポール人の採用ニーズが高い。募集職種は経理、人事などのバックオフィス系の業務が多い傾向にある。
・欧米系企業での日本人採用求人は、1-3月期に引き続きIT・フィンテック関連企業で日本市場向け組織づくりを目的とした人材ニーズがある。特にデジタルマーケティング含むマーケティング職種やカスタマーサポートといった経験を求めるケースが多い。

〇転職事例:ディレクター(日本人材)/日系・経営コンサルティング/30歳代前半/約1,000万円(年収)

 

タイ王国
好景気に伴い転職市場は活況。日系企業は飲食や小売に加えエンターテイメント関連企業が進出

・タイの転職市場は好景気に伴い、4-6月も活況。
・日系企業の動きとしては、2018年に入り、タイの国内需要獲得を目的とした小売企業の事業拡大や、タイ企業・欧米企業開拓のための営業人材の募集を拡充、製造業においてタイ国内向け製品開発のためのR&D人材の募集が増えている。一方、日本人およびタイ人求職者側にそうした人材は少なく、採用の難易度は高い。
・当社に依頼のある企業からの求人数および求職者登録数ともに、前年同期比で増加。求人増加の背景の一つとして、サービス業の進出増加が挙げられる。これまではタイを生産国として捉える企業が多かったが、タイ全体の所得向上に伴い、市場としての魅力が増している。飲食店や小売店に加えて、エンターテイメント関連企業などのサービス企業の進出が増えており、今後も増加が見込まれる。募集人材としては、日本語が話せる、話せないに関わらず店舗管理経験のある人材へのニーズが増加している。

〇転職事例:営業(日本人材)/日系・商社/20歳代前半/約78万タイバーツ(年収)

 

ベトナム社会主義共和国
日系企業の事業拡大に伴い求人増。IT人材を求める企業が増加

・ベトナム経済が好調で人材需要が高いため引き続き転職市場は活発。弊社における日系企業からの求人募集も高い水準で推移(1-3月期比15%増加)。
・業界別では、引き続き製造業およびサービス業界からの人材ニーズが高い。日系企業の新規進出や事業拡大に伴い、ベトナムにおける日本人駐在員が増加。日本人駐在員やその家族を対象としたサービス業や、日系企業のサポート業務が増加しており、関連求人が増えている。このためベトナム語を話せる日本人だけでなく、日本語が話せるベトナム人人材を求める求人も多い 。
・業種別では、製造業からの人材需要が高いことに比例し、エンジニアの求人数が全体の26%を占めた。なかでも日本人IT人材を求める企業が増加している。現地に対する教育人材としての位置づけだが、企業の求める要件にマッチしないケースも多く、採用の難易度が高い。

〇転職事例:弁護士(日本人材)/日系・法律事務所/30歳代前半/約900万円(年収)

 

◆ 本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。

(株式会社リクルート http://www.recruit.jp/ /8月1日発表・同社プレスリリースより転載)