月間分析レポート[2025年6月]
2025年5月と比べて検索数の上昇が顕著だったHRワードは「なぜなぜ分析」「ジェンダーギャップ指数」「サンクコスト効果」でした。上昇の要因と検索意図について考察します。
なぜなぜ分析
「なぜなぜ分析」とは、「なぜ?」という問いを論理的に積み重ねることによって、問題やトラブルが発生した原因を掘り下げ、有効な対策を導き出す分析スキルのことです。もともとは組織における商品の品質向上を目指す経営管理手法「TQM(総合的品質管理)」の一環として、自動車産業などの生産現場で実践されていましたが、近年は製造部門以外の分野や業種にも急速に浸透しています。
「なぜなぜ分析」のメリットは、表面的な事象だけでなく、その背後にある仕組みやシステム上の問題点を明らかにできる点にあります。担当者個人の責任追及で終わらせることなく、本質的な業務改善につなげることが可能です。
サジェストワードでは、「なぜなぜ分析 例」「なぜなぜ分析 やり方」が検索されました。トヨタ生産方式で知られるように「なぜ」を5回繰り返すことで、問題の表面的な原因ではなく、その奥にある根本的な原因を突き止め、効果的な再発防止策につなげることができます。
「新入社員の早期離職」をテーマに考えてみましょう。
・なぜ1: なぜ新入社員の離職率が高いのか?
→ 「仕事内容が想像と違った」というミスマッチを理由に辞める社員が多いため。
・なぜ2: なぜ入社後にミスマッチが起きるのか?
→ 採用活動時に仕事の良い面ばかりを伝え、大変な面や地道な業務内容を十分に説明しなかったため。
・なぜ3: なぜ採用時に仕事の良い面ばかりを伝えていたのか?
→ 採用担当者が、ネガティブな情報を伝えると応募者が減ってしまうのではないかと懸念したため。
・なぜ4: なぜ採用担当者は応募者の減少を過度に懸念したのか?
→ 採用部門の評価指標(KPI)が「採用人数」に偏り、「入社後の定着率」が重視されなかったため。
・なぜ5: なぜ採用KPIが「人数」に偏っていたのか?
→ 経営層が短期的な人員補充を最優先課題とし、採用の質や長期的な人材育成まで含めた方針を明確に示さなかったため。
このように「なぜ」を繰り返すことで、「早期離職は、新入社員の意欲の問題」という表面的な解釈にとどまらず、「採用広報のあり方」「採用部門のKPI設定」「経営層の採用方針」といった、より構造的・組織的な真因にたどり着くことができます。これにより、「RJP(現実的な職務情報の事前提供)の徹底」や「採用KPIの見直し」といった、より本質的な打ち手を導き出すことが可能になります。
また、「なぜなぜ分析 ヒューマンエラー」も検索されました。人為的なミスが発生した際に、それを個人の資質の問題とせず、「なぜそのミスが起きたのか」をシステムや環境の面から掘り下げるために、この分析手法は非常に有効です。たとえば「作業手順を間違えた」というミスに対し、「なぜ?」と問うことで、「マニュアルが分かりにくかった」「作業環境の照明が暗かった」など、仕組みそのものの問題点を発見し、改善につなげることができます。
「なぜなぜ分析」についてもっと知る
ジェンダーギャップ指数
「ジェンダーギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)」とは、世界経済フォーラム(World Economic Forum)が『世界男女格差報告書』において2005年から毎年発表している、社会進出における各国の男女格差の度合いを示す指標です。0を完全不平等、1を完全平等とし、「経済活動の参加と機会」「教育の到達度」「健康と寿命」「政治」への関与の4分野における男女格差を数値化・ランク付けしたものです。
世界経済フォーラムが2025年版の「世界男女格差報告書」を発表した6月12日に検索数が増え、その後もコンスタントに検索されました。2025年版の日本の総合スコアは0.666で、順位は148ヵ国中118位で前年と同順位。G7(主要7ヵ国)では最下位と、依然として低い水準にあります。
日本のジェンダーギャップ指数が低い主な要因は、「政治」と「経済」分野の著しい遅れです。政治面では、国会議員や閣僚に占める女性の割合が国際的に見て極めて低いことが、全体の順位を押し下げる大きな要因となっています。経済分野においても、女性管理職比率の低さや男女間の賃金格差が依然として大きな課題です。
企業におけるジェンダーギャップを解消するためには、地道な取り組みが不可欠です。女性管理職の育成・登用に関する具体的な数値目標の設定、性別にとらわれない公正な評価・昇進制度の構築、育児や介護と両立できるような柔軟な働き方を支援する制度(フレックスタイム、テレワークなど)の導入・拡充などが重要となっています。
サジェストワードでは、「ジェンダーギャップ指数 ランキング」「ジェンダーギャップ指数 1位」が検索されました。2025年のランキングは、1位アイスランド(16年連続で首位)、2位フィンランド、3位ノルウェーと、北欧諸国が上位を独占する結果となりました。特に1位のアイスランドはスコア0.926と、唯一90%を超える高評価。要因としては、政治分野における女性比率の高さや、充実した育児休業制度などが挙げられます。
このほかには、「ジェンダーギャップ指数 都道府県」が検索されました。上智大学の三浦まり教授らの研究グループが2025年3月に公表した「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」によると、政治分野では東京都、行政分野では鳥取県、教育分野では徳島県、経済分野では高知県がそれぞれ1位となりました。
「ジェンダーギャップ指数」についてもっと知る
サンクコスト効果
「サンクコスト効果」とは、すでに発生していて取り消すことができない事柄のコストに気を取られ、合理的な判断ができなくなる心理傾向のことを指します。
例えば、「レンタルした映画が面白くなくても、支払った料金がもったいないと感じて最後まで見てしまう」「効果の出ていない広告に多額の費用を投じてしまったため、中止できずに続けてしまう」といったケースが挙げられます。投資を継続することが損失をさらに拡大することになっても、費やした労力やお金、時間などを惜しんで引き返せなくなる。いわば「もったいない」という感情に縛られて、合理的な判断ができなくなってしまうのです。
サジェストワードでは、「サンクコスト効果 コンコルド効果」が検索されました。ほぼ同義語として使われる両者の関係性を知りたい人が検索したと考えられます。「コンコルド効果」という名称は、採算が取れないと分かりながら巨額の投資を理由に開発が続けられ、結果的に大赤字となった超音速旅客機「コンコルド」の事例に由来します。
また、「サンクコスト効果 対策」が検索されました。心理的な罠を避けるには、まず「サンクコストは戻ってこない」と認識することが重要です。その上で、「もし今からゼロから始めるとしたらどうするか?」と自問したり、プロジェクト開始前に撤退ルールを明確に決めておいたり、事業に直接関わっていない第三者の客観的な意見を聞いたりすることが有効とされています。
「サンクコスト効果」についてもっと知る
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