月間分析レポート[2024年3月]

2024年2月と比べて検索数の上昇が顕著だったHRワードは「春闘」「健康経営優良法人」「合理的配慮」でした。上昇の要因と検索意図について考察します。

春闘

春闘とは、春季生活闘争の略称であり、労働組合が行う賃上げ要求を中心とした交渉をいいます。新年度の労働者の賃金を中心とした労働条件の改善を求めて、毎年2月から3月の春ごろに行われるため、春闘という呼び名が付きました。春闘では、全国中央組織の労働団体や産業別組織の指導・調整のもと、各企業の労働組合が要求を企業に提出して団体交渉を行います。

サジェストワードで「春闘 集中回答日」が検索されたことからもうかがえるように、3月13日の集中回答日に検索回数が増えました。また、2月に引き続き「ベースアップ」の検索回数も増加しました。

持続的な賃上げの実現が焦点となった2024年春闘。自動車業界や流通業界、外食業界などの大手企業の間では、集中回答日を待たずに満額回答や早期決着する動きが相次ぎました。自動車や電機、鉄鋼などは満額を含む近年にない高水準の回答が相次ぎ、中には労働組合の要求額を上回る回答もありました。

サジェストワードでは、「春闘 2024」「春闘 賃上げ率」が検索されました。連合が4月18日に発表した春闘の第4回回答集計では、回答があった3,283組合の平均賃上げ率(定期昇給分含む)は5.20%と、1991年以来、33年ぶりの5%超えの水準を維持しています。このうち、300人未満の中小組合2123組合の平均賃上げ率は4.75%でした。

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健康経営優良法人

健康経営優良法人認定制度とは、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実行する「健康経営」について、特に優良な企業などを顕彰する制度です。2015年から始まった「健康経営銘柄」に続き、2017年から始まりました。

規模の大きい企業を対象とする「大規模法人部門」と、中小規模の企業を対象とする「中小規模法人部門」の二つがあります。大規模法人部門の上位500法人には「ホワイト500」、中小規模法人部門の上位500法人は「ブライト500」の呼称が与えられます。

この認定制度は、健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」することにより、従業員や求職者、関係企業、金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的評価を受けることが可能になることを目標としています。

3月11日に経産省が「健康経営優良法人2024」を発表したことから、検索回数が増加したと考えられます。8回目となった今回は、大規模法人部門で2,988法人、中小規模法人部門で16,733法人が認定されました。

サジェストワードでは「健康経営優良法人 認定基準」が検索されました。認定制度への応募を検討している人が検索したと推測されます。

健康経営優良法人の認定基準は、「1. 経営理念・方針」「2.組織体制」「3.制度・施策実行」「4.評価・改善」「5.法令遵守・リスクマネジメント」の五つの大項目で構成されています。認定要件は、大規模法人部門と中小規模法人で異なります。

このほかには、「健康経営優良法人 メリット」が検索されました。健康経営優良法人に認定されると、以下のようなインセンティブが提供されます。

・公共調達加点評価…自治体が行う公共工事、入札審査での加点評価
・金融機関・民間保険などが提供するインセンティブ …融資の優遇、保証料の減額や免除
・自治体が提供するインセンティブ…融資の優遇、保証料の減額、奨励金や補助金
・自治体などによる認定表彰制度…自治体などによる独自の健康経営企業認定や県知事による表彰
・求人票への記入…ハローワークなどの求人資料にロゴやステッカーが使用される

また、企業のブランドイメージの向上も、健康経営優良法人に認定されることによるメリットの一つです。

「健康経営優良法人」についてもっと知る

合理的配慮

「合理的配慮」とは、障害のある人たちの人権が障害のない人たちと同じように保障され、教育、就業、その他社会生活において平等に機会を得て参加できるよう、社会的障壁を取り除くための配慮のことです。2016年4月に施行された「障害者差別解消法」により、過度な負担になりすぎない範囲で合理的配慮を行うことが、行政・学校・起業などの事業者に求められるようになりました。障害の程度や内容によっても必要なサポートは異なるため、当事者を交えて話し合い、共に認識を深めることが大切です。

3月中旬から検索が増加し、3月19日が最も多く検索されました。2021年に障害者差別解消法が改正され、2024年4月1日から事業者による障害のある人への合理的配慮の提供が義務化されることを受け、関心が高まったと考えられます。

対象の「事業者」とは、企業や団体、店舗のことであり、目的の営利・非営利、個人・法人を問わず、同じサービスなどを反復継続する意思をもって行う者をいいます。個人事業主やボランティア活動をするグループも「事業者」に含まれます。

サジェストワードでは「合理的配慮 例」が検索されました。内閣府の「合理的配慮等具体例データ集」には、不当な差別的取扱いの例と合理的配慮の提供の例が示されています。

【不当な差別的取扱いの例】
・障害を理由に、窓口での対応を拒んだり、順序を後回しにしたりする
・障害を理由に、資料やパンフレットなどの提供、説明会やシンポジウムなどへの出席を拒む
・障害を理由に、必要がないにもかかわらず介助者の同行を求めるなどの条件を付けたり、支障がないにもかかわらず介助者の同行を拒んだりする
・本人を無視して介助者だけに話しかける
・合理的配慮の提供を受けたことを理由に、試験などにおいて評価対象から除外したり評価に差をつけたりする

【合理的配慮の提供の例】
・車いす利用者のために段差に携帯スロープを渡す、高い所に陳列された商品を取って渡すなどの物理的環境への配慮を行う
・筆談、読み上げ、手話などによるコミュニケーション、分かりやすい表現を使って説明をするなどの意思疎通の配慮を行う
・障害の特性に応じて、休憩時間の調整など、ルール・慣行の柔軟な変更を行う

合理的配慮の内容は、障害の特性や場面・状況に応じて異なります。障害のある人への対応が「不当な差別的取扱い」に該当するかどうかも、状況に合わせて判断する必要があります。事業者は円滑な対応ができるように、主な障害特性や合理的配慮の具体例についてあらかじめ確認した上で、柔軟に対応を検討することが求められます。

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