月間分析レポート[2023年12月]

2023年11月と比べて検索数の上昇が顕著だったHRワードは「電子帳簿保存法」「ユニコーン企業」「税制改正」でした。上昇の要因と検索意図について考察します。

電子帳簿保存法

「電子帳簿保存法」は、情報化社会に対応し、帳簿書類の保存にかかる負担を軽減するため、その保存方法について特例を定める法律です。これまで帳簿は、原則として紙での保存が義務付けられていましたが、2022年1月の改正電子帳簿保存法の施行により、領収書や請求書などを電子保存する際の手続きが大きく変更されました。

改正による大きな変更点の一つが、電子取引における電子データの保存義務化です。「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3種類のデータ保存のうち、「電子取引データ保存」が義務付けられました。電子取引で扱った電子データは紙に出力して保存ができなくなり、電子データのまま保存しなければなりません。

2023年12月31日までの宥恕期間(猶予期間)が設けられていましたが、2024年1月1日から完全義務化。2023年末まで、検索回数が継続的に増加しました。サジェストワードでは「電子帳簿保存法 対象書類」や「電子帳簿保存法 いつから」が検索され、本格的な運用に向けて基本を確認しようとする動きがみられました。

「電子帳簿保存法」についてもっと知る

ユニコーン企業

「ユニコーン企業」とは、創業から10年以内、企業評価額が10億ドル以上の未上場のベンチャー企業のことをいいます。ベンチャーキャピタルにとって、ハイリターンを期待できるほど成長をするベンチャー企業は一握り。その希少性になぞらえて、ユニコーン企業と呼ばれるようになったと言われています。今や世界的大企業になったMetaやUberも、創業当時はユニコーン企業とされていました。世界には現在、数百社のユニコーン企業がありますが、米国と中国の企業が大部分を占めているといいます。

12月15日に、米国のユニコーン企業が2023年10月以降3社事業停止したと日本国内で報道されたことから、検索回数が増加したと考えられます。また、日本経済新聞が2023年の「NEXTユニコーン調査」を発表した12月6日前後も、ゆるやかに検索回数が増加しました。同調査によると、数年以内にユニコーン企業になる可能性がある未上場のスタートアップは13社で、調査開始以来で最多。HR企業ではSaaS形式の人事労務ソフトを提供するSmartHRが選出されています。

サジェストワードでは「ユニコーン企業 日本」「ユニコーン企業 ランキング」が検索されました。日本国内のユニコーン企業やランキングについて知りたい人が検索したと考えられます。米国の調査会社「CB Insights」によれば、2023 年 12 月の時点でユニコーン企業は世界中に 1200 社以上ありますが、日本企業は7社のみです。日本のトップ2社は、AI開発やディープラーニングに関する研究を行うPreferred Networksと、ニュースアプリの提供するSmartNewsです。

評価額が最も高いユニコーン企業は中国のByteDance社、2位は米国のSpaceX社、3位はシンガポールのSHEIN社です。

「ユニコーン企業」についてもっと知る

税制改正

令和6年度(2024年度)税制改正大綱が12月14日の自民党総務会で了承され、12月22日に閣議決定されました。特に自民党総務会で了承された12月14日に検索回数が増加しました。

令和6年度税制改正大綱には、積極的に賃上げをした企業の法人税を軽減する「賃上げ促進税制」の強化のほか、賃金上昇が物価高に追い付いていない国民の負担を緩和する観点から、所得税および個人住民税の定額減税を行うとしています。給与所得者の場合、所得税減税分は2024年6月源泉徴収税額から控除されるため、源泉徴収を行う事業者は対応が必要です。さらに、子育て世帯や若い夫婦に対する住宅ローン控除も拡充されます。

税制改正によって、人事に求められる税金関係の手続きは毎年変わります。その中で人事担当者にとって最も重要といえるのが、年末調整や源泉徴収です。人事担当者は、いつごろ年末調整や源泉徴収に関連した情報を入手できるのかを把握する必要があります。

サジェストワードでは「税制改正 スケジュール」「税制改正 要望」が検索されました。毎年行われる改正について、いち早く情報を得るために検索したと考えられます。

例年8月末ごろ、各省庁は税制改正の要望を提出します。これを与党税制調査会が審議し、税制の方向性を検討する政府税制調査会の考え方を踏まえて「与党税制改正大綱」をまとめます。これをもとに12月ごろ、政府が「税制改正大綱」を閣議決定し、公表します。税制改正大綱をもとに、所得税法・地方税法の改正法案が1月下旬までにまとめられ、国会に提出されます。両議院で可決されれば、改正法に定められた日から施行されます。

「税制改正」についてもっと知る

月間分析レポート

カテゴリ別トレンドワード [会員限定] 無料会員登録