月間分析レポート[2023年6月]

2023年5月と比べて検索数の上昇が顕著だったHRワードは「賞与」「ジェンダーギャップ指数」「内定取り消し」でした。上昇の要因と検索意図について考察します。

賞与

6月30日に検索回数が増加した「賞与」。前日の6月29日には、経団連が大手企業の2023年夏季賞与(ボーナス)の1次集計結果を発表していました。16業種121社の平均妥結額は95万6027円で、前年比3.91%の増加。前年を上回るのは2年連続で、比較可能な1981年以降では3番目に高い水準でした。一方で業種による増減の差は大きく、業績が好調な業種と、原材料やエネルギーの高騰によって業績が悪化した業種とでばらつきが見られました。経団連は8月上旬に夏季賞与の最終集計をまとめる予定です。

サジェストワードでは「賞与 社会保険料 計算」「賞与 所得税 計算」「賞与 源泉所得税」が検索されました。賞与から控除されている項目やその計算式について知りたい人が検索したと考えられます。6月は賞与の計算業務に取り掛かる人事が少なくありません。賞与支給日から5日以内に、管轄の年金事務所または事務センターに「賞与支払届」を提出する必要があります。

所得税の税率は、ボーナス支給月の前月の給与から社会保険料を控除した金額を、国税庁が発表する「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめて決定します。税率は、扶養親族が多いほど低くなります。

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ジェンダーギャップ指数

ジェンダーギャップ指数は、世界経済フォーラム(WEF)が「世界男女格差報告書」において2005年から毎年発表している、社会進出における各国の男女格差の現状を評価する指数です。「経済」「教育」「健康」「政治」の4分野で評価し、国ごとのジェンダー平等の達成度を指数にしています。「0」が完全不平等、「1」が完全平等を示し、数値が小さいほどジェンダーギャップが大きいことを意味します。

6月21日に2023年版の報告書が発表されたことから、注目が集まりました。2023年版では、日本のジェンダーギャップ指数の総合スコアは0.647で、146ヵ国中125位。前年から9ランクダウンし、主要7ヵ国(G7)の中では最下位でした。

サジェストワードは「ジェンダーギャップ指数 日本 推移」「ジェンダーギャップ指数 日本 低い理由」が検索されました。日本の順位の推移や、指数が低い要因を知りたい人が検索したと考えられます。2006年の第1回は115ヵ国中80位で、以降スコアはほぼ横ばい。今年の125位は過去最低でした。

日本のジェンダーギャップ指数が低い理由としては、経済と政治の分野のスコアが著しく低いことが挙げられます。政治分野は138位と最下位クラスで、衆議院の女性議員比率は約1割にとどまり、女性の首相が誕生していないことが要因と考えられます。経済分野は123位で、女性管理職比率の低さや、同一労働における男女の賃金格差などが影響しました。

このほかには「ジェンダーギャップ指数 都道府県」が検索されました。3月8日の国際女性デーに合わせ、上智大学の三浦まり教授らでつくる研究会が「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」を公表しています。男女平等の度合いを「政治」「行政」「教育」「経済」の4分野で都道府県別に分析。2回目の公表となった2023年は、政治は東京都、行政は鳥取県、教育は高知県、経済は沖縄県がそれぞれ1位でした。

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内定取り消し

6月21日に、学生と見られるユーザーが企業からのメールとみられる画像とともに「内定を取り消された」とTwitterに投稿。ネット上で波紋を呼び、関心が高まったと考えられます。

サジェストワードでは「内定取り消し 違法」「内定取り消し 条件」が検索されました。どのような場合に内定取り消しが認められるのかが気になった人が検索したと推測されます。企業側が一方的に採用内定を取り消すことは原則としてできません。内定とは、勤務が開始される前から入社契約を結ぶことを指し、法律上、雇用契約が成立したのとほぼ同じ意味を持ちます。つまり、内定取り消しは解雇に相当するため、適切な理由がなければ基本的に違法となるのです。ただし、内定者が経歴を詐称していた、入社前に刑事事件を起こしたなど内定者側に重大な問題があった場合、また会社が経営困難に陥ったなど合理的な理由がある場合は内定取り消しが認められるケースがあります。

不当に内定を取り消すと、内定者が訴訟を起こしたりSNSで不満や訴えを発信したりする可能性があります。やむを得ず内定を取り消す場合は、その理由を対象者に十分に説明し、就職先の確保を支援するなどアフターフォローを行うことが重要です。

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