月間分析レポート［2023年1月］
2022年12月と比べて検索数の上昇が顕著だったHRワードは「リスキリング」「レイオフ」「チャットボット」でした。上昇の要因と検索意図について考察します。
リスキリング
「リスキリング（Reskilling）」とは、職業能力の再開発・再教育のことです。2022年6月度、9月度、10月度でもトレンドワードとして取り上げましたが、岸田首相の国会での発言をきっかけに、2023年1月30日に再び検索数が増えています。
2023年1月27日の参議院本会議で岸田総理大臣は「育児中など、さまざまな状況にあっても主体的に学び直しに取り組む方々を後押ししていく」と答弁。それに対し、SNS上などで「育児をしていない人の発想だ」などの批判がありました。そうした批判に対して、1月30日に松野官房長官が「産休・育休中にリスキリングを強いるような趣旨ではない」「誰もが主体的にスキルアップできる環境整備に引き続き取り組んでいく」と説明しています。こうした発言に対し、「育児で忙しい中でリスキリングを行う余裕はない」と感じた人や、育児経験のある人たちなどが検索したと推測されます。
サジェストワードでは「リスキリング 補助金」が検索されていました。リスキリングに対する金銭的な公的支援を知るために検索されたと考えられます。リスキリングに使える補助金や助成金には、東京都の「DXリスキリング助成金」や厚生労働省の「人材開発支援助成金」「教育訓練給付制度」などがあります。
また、「リスキリング 経済産業省」も検索されています。経済産業省では、DX人材育成をはじめとして、さまざまなリスキリング支援を行っており、そうした支援策が検索されたと想像されます。
他では「リスキリング リカレント 違い」が検索されています。「リカレント（recurrent）」は反復・循環・回帰の意味であり、「リカレント教育」は生涯教育の一形態で、フォーマルな学校教育を終えて社会の諸活動に従事してからも、個人の必要に応じて教育機関に戻り、繰り返し再教育を受けられる、循環・反復型の教育システムを指します。リカレント教育は日本で以前から施策として行われており、リスキリングとの違いについて知りたい人が検索したと考えられます。
「リスキリング」についてもっと知る
レイオフ
「レイオフ」とは、業績が悪化した際に一時的に従業員を解雇し、その後、業績が回復した時に再雇用する「一時解雇」を指します。「レイオフ」は2022年11月にもトレンドワードとして取り上げましたが、1月に大型レイオフのニュースが続いたことから、検索数が増えています。
例を挙げると、2023年1月4日、2022年11月に1万人の解雇計画を示していたアマゾン・ドット・コムがレイオフの対象を1万8000人超に拡大したことを発表。1月18日、マイクロソフトが全従業員の5％に当たる1万人の解雇計画を発表。1月20日、グーグルがグループ人員の約6％に当たる1万2000人の人員削減を発表。1月31日、米国電子決済大手のペイパルが全従業員の約7％に当たる約2000人をレイオフすると発表しています。
サジェストワードでは「レイオフ とは」「レイオフ 意味」のほか、「Google レイオフ」「Microsoft レイオフ」も検索されています。大型レイオフのニュースを聞いた人がその詳細を知るために検索したと推測されます。
他には「レイオフ 日本 法律」が検索されました。レイオフが日本の法律でどのような扱いになるのかを知りたい人が検索したと考えられます。日本ではレイオフについて直接的に規定した法律はなく、解雇に関する法律や退職勧奨に関する判例をもとに判断されています。
「レイオフ」についてもっと知る
チャットボット
「チャットボット」とは、会話のシミュレーションを行うコンピュータプログラムのことをいいます。「おしゃべり（chat）」と「ロボット（bot）」を掛け合わせてできた言葉で、企業とユーザーのコミュニケーションを自動化するツールとして注目されています。
「チャットボット」は2023年1月に入ってから、検索数が上昇傾向にあります。OpenAIが開発したAIチャットサービス「ChatGPT」が急速に注目を集めたことから、その関連語である「チャットボット」についても関心が高まっていると考えられます。
「チャットボット」は人事領域で問い合わせへの自動回答に活用されるなど、HRテクノロジーでも活用されています。チャットサービスである「ChatGPT」も既存のHRサービスに組み込めるかどうか、人事関連のソリューション企業でも活用が検討されています。求人に対する応募者からの問い合わせへの対応や、人事施策に関する従業員からの問い合わせへの対応、会議での議事録の整理など、さまざまな場面で活用されることが考えられます。
サジェストワードでは、「チャットボット とは」のほか、「チャットボット 無料」が検索されています。チャットボットが無料で使えるのかを調べたい人が検索したと推定されます。チャットボットには「ChatGPT」やGoogleの「Dialogflow」など、無料で使えるものがいくつかあります。
他には「チャットボット 作り方」が検索されており、これから「チャットボット」を作りたい人が検索したと考えられます。「チャットボット」の作り方は主に自社開発とチャットボットツールを使うケースの2種類があります。自社開発では専門知識が必要ですが、チャットボットツールを使うと専門知識がなくても作成が可能です。