月間分析レポート[2025年8月]
2025年7月と比べて検索数の上昇が顕著だったHRワードは「最低賃金」「懲戒処分」「セルフ・ハンディキャッピング」でした。上昇の要因と検索意図について考察します。
最低賃金
「最低賃金」とは、最低賃金法に基づき国が定める賃金の最低限度額のことです。企業は雇用する労働者に対し、最低賃金額以上の賃金を支払うことが義務付けられています。最低賃金には、すべての労働者に適用される「地域別最低賃金」と、特定の産業に従事する労働者に適用される「特定最低賃金」の2種類があります。
8月4日に検索数が増加しました。同日、厚生労働省の中央最低賃金審議会が2025年度の地域別最低賃金の引き上げ目安を答申し、全国加重平均で時給1118円(現行比+63円)とすることが報じられた影響だと考えられます。引き上げ幅は過去最大で、全都道府県で時給が1000円を超える見通しとなりました。
今回話題となった「地域別最低賃金」は、労働者の生計費、地域の賃金水準、企業の支払い能力などを総合的に考慮して、都道府県ごとに決定されます。産業や職種、雇用形態にかかわらず、各都道府県内の全ての労働者に適用されるものです。
サジェストワードでは、「最低賃金 2025 いつから」が検索されました。新しい最低賃金は、各都道府県での審議・決定を経て、10月1日から2026年3月末にかけて順次発効されます。東京都では10月3日に、秋田県では2026年3月31日に新しい最低賃金が適用される予定です。
このほかには、「最低賃金 東京」のように、特定の地域の最低賃金を調べる検索も見られました。東京都の最低賃金は時給1226円となり、全国で最も高くなる見込みです。
また、「最低賃金 ランキング」も検索されました。2025年度のランキングでは、1位東京都(1226円)、2位神奈川県(1225円)、3位大阪府(1177円)と都市部が高くなっています。一方、最も低いのは高知県、宮崎県、沖縄県で1023円となっています。
「最低賃金」についてもっと知る
懲戒処分
「懲戒処分」とは、企業が従業員の就業規則違反や企業秩序を乱す行為に対して科す制裁罰です。問題行動に企業が適切に対応することで企業秩序を維持する目的があり、処分の種類や事由をあらかじめ就業規則に明記し、周知しておく必要があります。処分を行う際は、客観的な事実に基づき、行為の重大性と処分の重さのバランスを考慮しなければ、無効と判断される可能性もあります。
8月22日に検索数が伸びました。同日、教員や地方公務員による不祥事に対する懲戒免職処分が相次いで報じられたことで、関心が高まったと考えられます。
サジェストワードでは、「懲戒処分 種類」が検索されました。懲戒処分には、軽い順に「戒告(口頭注意)」「譴責(けんせき/始末書の提出)」「減給」「出勤停止」「降格」「諭旨解雇(退職勧告)」「懲戒解雇」の7種類があります。「懲戒解雇」は労働者を一方的に解雇する非常に厳しい制裁です。
「懲戒処分 減給」「懲戒処分 出勤停止」も検索されました。例えば「減給」は、度重なる遅刻や業務命令違反などに対して科されることがあり、労働基準法で「1回の減給額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならない」といった上限が定められています。一方、「出勤停止」はより重い処分で、セクハラやパワハラなどが対象となり得ます。法律上の期間上限はありませんが、1週間から2週間程度が一般的で、その間の給与は支払われないのが通例です。
また、「懲戒処分 公務員」も多く検索されました。公務員の懲戒処分は国家公務員法などに基づいて行われ、民間企業とは根拠法や手続きが異なります。処分の種類も法律で「戒告」「減給」「停職」「免職」の四つに定められています。今回のニュースでは、民間企業の「懲戒解雇」に相当する最も重い「懲戒免職」処分が下されており、その厳格な適用に関心が集まったと推察できます。
「懲戒処分」についてもっと知る
セルフ・ハンディキャッピング
「セルフ・ハンディキャッピング」とは、試験やプレゼンテーションなど、自身の能力が評価される重要な場面の前に、あえて自分に不利な状況や言い訳を用意することで、自尊心を守ろうとする心理的な防衛機制のことです。
例えば、大事なプレゼンテーションの前に「昨日は体調が悪かったので、準備が不十分です」と予防線を張る行動がこれにあたります。失敗しても「準備不足だから仕方ない」と言い訳ができ、成功すれば「不利な状況でも成功できた自分はすごい」と能力を高く見せることができるため、つい行ってしまいがちです。しかし、こうした行動はプライドを守る一方で、他者から「言い訳がましい」といったネガティブな印象を持たれるデメリットもあります。
サジェストワードでは、「セルフ・ハンディキャッピング 例」「セルフ・ハンディキャッピング 掃除」が検索されました。「テスト前なのに掃除を始めてしまう」という行動は、勉強しないための言い訳を実際の行動で作る「獲得的ハンディキャッピング」の典型例として知られています。一方、「最近は遊んでばかりでプレゼンテーションの準備が全くできていない」といった言葉によるものが、「主張的ハンディキャッピング」です。
このほかには、「セルフ・ハンディキャッピング 自己呈示」が検索されました。自己呈示とは、他者からどう見られるかをコントロールしようとすること。セルフ・ハンディキャッピングは「失敗しても、自分の能力が低いとは思われたくない」という自己呈示の一つの戦略と捉えることができます。
「セルフ・ハンディキャッピング」についてもっと知る
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