月間分析レポート[2024年6月]
2024年5月と比べて検索数の上昇が顕著だったHRワードは「住民税」「ジェンダーギャップ指数」「ユニコーン企業」でした。上昇の要因と検索意図について考察します。
住民税
6月中、コンスタントに検索された「住民税」。給与明細が配られたタイミングと思われる6月25日に特に検索回数が伸びました。サジェストワードで「住民税 定額減税」が検索されことからも、6月に始まった「定額減税」によって高い注目を集めたと考えられます。
定額減税とは、2024年6月から実施された、所得税と個人住民税の特別控除のことです。納税者本人および同一生計配偶者や扶養親族が対象であり、所得税3万円、住民税1万円の合計4万円が2024年の税金から控除されます。控除は2024年6月1日以降の給与支払いから順次発生します。企業は給与支払いに際しての月次減税事務と、年末の年調減税事務で定額減税に対応する必要があります。今回の定額減税は、近年の急激な物価高を背景に実施されるもので、2024年6月から1年限りの施策とされています。
サジェストワードでは「住民税 いつから」が検索されました。今春から働き出した新入社員らが住民税の納付開始時期を検索した可能性もあるでしょう。住民税は前年の1月~12月の所得に基づいて課税されます。そのため、前年の所得がない新入社員は住民税を徴収されません。
人事担当者は、新入社員における入社1年目の4月から12月までの所得について、入社1年目の1月末日までに「給与支払報告書」を市区町村に提出する必要があります。提出後、入社2年目の5月末日までに「特別徴収税額通知書」が送付され、入社2年目の6月から翌年5月まで毎月、入社1年目の所得に対する課税額を給与から差し引きます。
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ジェンダーギャップ指数
ジェンダーギャップ指数は、社会進出における各国の男女格差の現状を評価する指数です。世界経済フォーラム(WEF)が2005年から毎年、「世界男女格差報告書」で発表しています。「経済」「教育」「健康」「政治」の4分野で評価し、国ごとのジェンダー平等の達成度を指数にしています。「0」が完全不平等、「1」が完全平等を示し、数値が小さいほどジェンダーギャップが大きいことを意味します。
6月12日に2024年版の報告書が発表され、注目が集まりました。2024年版の日本のスコアは0.663で、順位は146ヵ国中118位。前年の125位からやや改善はしたものの、依然として低迷が続いており、主要7ヵ国(G7)の中では最下位でした。
サジェストワードでは「ジェンダーギャップ指数 日本 低い理由」が検索されました。日本のジェンダーギャップ指数を押し下げている要因は、政治と経済の分野のスコアの低さにあります。政治分野は113位で、衆議院の女性議員比率が約1割にとどまっていることや、女性の首相が誕生していないことが要因と考えられます。経済分野は120位で、特に女性管理職比率の低さが影響しました。
このほかには「ジェンダーギャップ指数 ランキング」「ジェンダーギャップ指数 最下位」が検索されました。各国の状況を把握・比較したい人が検索したと考えられます。2024年版の1位は15年連続でアイスランドでした。スコアは0.935で、ジェンダーギャップが93.5%解消されている状態です。2位はフィンランド、3位はノルウェーと上位3国を北欧諸国が占めています。一方の最下位はスーダン(0.568)でした。
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ユニコーン企業
「ユニコーン企業」とは、創業から10年以内、企業評価額が10億ドル以上の未上場のベンチャー企業のことを指します。ベンチャーキャピタルにとってハイリターンを期待できるほど成長するベンチャー企業は一握り。その希少性になぞらえて、幻の生き物「ユニコーン(一角獣)」に例えられています。
6月17日に検索回数が増加。6月14日夜に、日本のAI開発スタートアップ「Sakana AI(サカナAI)」が大型の資金調達に成功し、ユニコーン企業になる見込みであると報じられたことで関心が高まったと推測されます。Sakana AIは、元GoogleのAI研究者らが2023年7月に東京で創業しました。創業からわずか1年以内でのユニコーン達成は、国内企業として最速です。
サジェストワードでは「ユニコーン企業 日本 一覧」が検索されました。国内から新たなユニコーン企業が誕生したことを受け、他のユニコーン企業やその数について知りたい人が検索したと考えられます。米国の調査会社「CB Insights」によれば、2024 年7月の時点でユニコーン企業は世界中に 1200 社以上ありますが、日本企業は8社のみです。日本のトップ3社は、AI開発やディープラーニングの研究を行うPreferred Networks、ニュースアプリを運営するスマートニュース、クラウド人事労務ソフトを提供するSmartHRです。その他に、Spiber、Sakana AI、Go、Playco、Opnが認定されています。
このほかには「ユニコーン企業 ランキング」が検索されました。1200社を超えるユニコーン企業のうち、米国と中国の企業が大部分を占めています。企業評価額が最も高いユニコーン企業第1位は、動画共有アプリTikTokを運営する中国のBytedanceです。