月間分析レポート[2024年7月]

2024年6月と比べて検索数の上昇が顕著だったHRワードは「最低賃金」「2025年問題」「ストライキ」でした。上昇の要因と検索意図について考察します。

最低賃金

「最低賃金」は7月24日に検索回数が増加しました。同日、厚生労働省の中央最低賃金審議会・小委員会が開かれ、2024年度の最低賃金(時給)を全国加重平均で50円(5.0%)引き上げて1054円とする目安をまとめたことで、関心を集めたようです。なお、引き上げ額は昨年度の43円を上回り、過去最大となりました。

地域別の引き上げ額は、東京など6都府県のAランク、北海道など28道府県のBランク、沖縄など13県のCランクの三つに分けて目安額を提示していますが、今回はいずれのグループも50円としました。実際の引き上げ額は各都道府県の地方審議会が目安額をもとに決定し、10月1日以降に適用される見通しです。

サジェストワードでは「最低賃金 2024」「最低賃金 推移」が検索されました。今年の春闘では大手企業を中心に高い水準の賃上げが広がった中、近年の最低賃金の推移について知りたい人が検索したと考えられます。2021年度の最低賃金は930円、2022年度は961円、2023年度は初の1000円を超えて1004円と、近年は大幅な引き上げが続いています。政府は2030年代半ばまでに1500円に引き上げることを目標に掲げています。

このほかには「最低賃金 東京」が検索されました。全国で最も高い東京都の最低賃金について知りたいと考えた人が検索したと推測されます。東京労働局の審議会は8月、東京都の最低賃金を50円引き上げて1163円とする答申を行いました。

「最低賃金」についてもっと知る

2025年問題

2025年頃、日本の人口のボリュームゾーンを形成する“団塊の世代”の人々が75歳以上の後期高齢者になることにより、社会にさまざまな問題が生じると予測されています。「2025年問題」とは、そうした諸問題を指す言葉です。統計上、生涯医療費が75~79歳にピークを迎え、要介護(要支援)になる可能性も75歳を境に上昇することなどから、25年頃には医療・介護などの負担と給付のバランスが大きく変わり、持続可能な社会保障財政の運営にも影響がおよぶと懸念されています。

7月中は継続的に検索されましたが、特に7月9日に検索回数が増加しました。7日の東京都知事選の投開票の結果、小池百合子都政の継続が決まり、報道などで次の4年間に直面する課題として「2025年問題」が取り上げられたことが影響したと考えられます。2025年まで半年を切ったことで、今後も2025年問題が取り上げられることが増えると推測されます。

サジェストワードでは「2025年問題 何が起こる」が検索されました。高齢者人口の増加に伴う医療費や介護費用の急増によって社会保障費が増大し、現役世代の経済的負担がより重くなることが懸念されています。また、医療機関や介護施設の需要が急増する一方で、労働力不足の深刻化も予想されています。

そのほかには「2025年問題 IT」が検索されました。同じ2025年でも、ITの文脈では「2025年の崖」という言葉があります。「2025年の崖」とは、企業が使用している既存のITシステムが抱える課題を克服できずにデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しなかった場合、2025年以降に生じてくるさまざまなリスクのことです。経済産業省が2018年に公表した「DXレポート」では、最大で年間12兆円もの経済損失が発生すると試算されています。

「2025年問題」についてもっと知る

ストライキ

「ストライキ」とは、労働条件の維持、向上などのために労働者が集団的に業務を停止することを指す言葉です。ストライキ権は団結権、団体交渉権とともに労働者の基本的権利に属します。労働組合法では、正当な争議行為については犯罪として処罰しない、損害賠償の義務を負わない、不利益取扱いを受けないと三つの保護を与えています。

7月19日に検索回数が増加しました。前日の18日から、北海道で「業務スーパー」7店舗を運営するケヒコ(横浜市)の従業員が加入する労働組合がストライキに踏み切ったことが報じられ、検索回数が増加したと予想されます。

サジェストワードでは、「ストライキ 日本 事例」が検索されました。近年日本で実施された事例としては、2023年8月31日に実施されたセブン&アイ・ホールディングス傘下の百貨店「そごう・西武」の例が挙げられます。同日、旗艦店である西武池袋本店は全館臨時閉館となり、小売業では近年ほとんど例がないストライキに大きな話題を呼びました。

また、「ストライキ やり方」が検索されました。ストライキは労働の拒否や集団での示威行為を伴います。憲法や労働組合法の要件を満たし、正当性を有する行為でなければ違法となります。実際にストライキを行う場合は、適切な手順を踏んで実施することが重要です。

「ストライキ」についてもっと知る

月間分析レポート

カテゴリ別トレンドワード [会員限定] 無料会員登録