月間分析レポート[2023年3月]

2023年2月と比べて検索数の上昇が顕著だったHRワードは「ストライキ」「健康経営優良法人」「給与デジタル払い」でした。上昇の要因と検索意図について考察します。

ストライキ

ストライキとは、労働者が雇用主に対して労働条件の改善・向上などを要求する手段として、集団的に業務を放棄することです。

2023年春闘で多くの大企業が労働組合に回答を示す「集中回答日」を迎えた3月15日から、検索回数が増加。3月17日には日本中央競馬会(JRA)の厩務員 (きゅうむいん)、調教助手らが加盟する4労組によるストライキが報道され、話題になりました。4労組が、雇用主である日本調教師会に対して現行の賃金体系の廃止を求める団体交渉を実施。ストライキ権行使によって3月18日、19日のレースの開催中止が懸念されました。同時期には、郵政ユニオンなどの他団体や、フランスやドイツのストライキなども注目されました。

サジェストワードでは「ストライキ ボイコット」が検索されました。 意味が似ている「ボイコット」との違いを知りたい人が検索したと推測されます。ボイコットは、社員が会社に対して行う争議行為に限らず、一般市民が特定の国や企業・団体への不買運動によって売上に損害を与える行為を意味します。

また、「ストライキ 日本 事例」が検索されました。厚生労働省の労働争議統計調査によると、労働争議の件数は1974年の約1万件をピークに減少傾向にあり、近年は300件前後を推移。2021年は過去2番目に低い297件で、このうちストライキやロックアウトなどを伴う「争議件数」は55件にとどまっています。ストライキが身近な事象ではなくなっているため、過去の事例への関心が高まったと考えられます。

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健康経営優良法人

健康経営優良法人の認定制度は、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実行する「健康経営」において、特に優良な企業を顕彰する制度です。経済産業省が創設しました。規模の大きい企業を対象とする「大規模法人部門」と、中小規模の企業を対象とする「中小規模法人部門」の二つがあります。

健康経営に取り組む優良な法人を可視化することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから社会的に評価される環境の整備を目標としています。

3月8日に経産省が2023年の健康経営優良法人を発表したことから、3月8日・9日に検索数が増えました。2023年は大規模法人部門で2676法人、中小規模法人部門で1万4012法人が認定。どちらも2022年から1割強増加しています。

サジェストワードでは、「健康経営優良法人 認定基準」のほか、「健康経営優良法人 メリット」が検索されました。認定制度への応募を検討している人が検索したと推測されます。

健康経営優良法人の認定基準は、「1.経営理念・方針」「2.組織体制」「3.制度・施策実行」「4.評価・改善」「5.法令遵守・リスクマネジメント」の五つの項目で構成され、部門によってクリアすべき必須の項目が異なります。 健康経営優良法人に認定されることで、自治体や金融機関から金利などの優遇を受けられるというメリットがあります。

このほかには、「健康経営優良法人 ホワイト500」が検索されました。ホワイト500は、健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定法人のうち、上位500法人のみに贈られる呼称です。中小規模法人部門の上位500法人は「ブライト500」の呼称が与えられます。

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給与デジタル払い

給与デジタル払いとは、「PayPay」「d払い」「au PAY」といったスマホ決済サービスを提供する資金移動業者の口座を通じて、従業員に賃金を支払う仕組みのことです。現金、銀行口座、証券口座に次ぐ第4の選択肢が生まれ、従業員はスマホ決済サービスの残高として給与を受け取れるようになります。2023年4月1日から資金移動業者の申請が始まることから、検索数が増えたと推測できます。

サジェストワードでは「給与デジタル払い メリット」「給与デジタル払い デメリット」が検索されました。働き手、企業ともに新しく始まる制度への関心が高まっていることが読み取れます。企業側のメリットとしては、給与の振込手数料軽減が期待されています 。また、週1回など柔軟な支払いが実現しやすくなるため、働き手に給与の受け取り方の多様化をアピールすることも可能です。一方で、資産保全のリスクや、振込手法の多様化で労力がかかるというデメリットも考えられます。

そのほかに印象的な検索として「給与デジタル払い 銀行 影響」がありました。給与デジタル払いが普及することで、銀行や金融業界のビジネスにどのような影響があるのか気になる人がいたと考えられます。若者を中心にキャッシュレス決済を頻繁に使用する人もいることから、デジタル給与払いに対するニーズは一定程度存在するでしょう。しかし、デジタル給与払いの普及には課題も多いことから、当面は銀行にとって大きな影響はない と考えられています。

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