月間分析レポート[2024年2月]

2024年1月と比べて検索数の上昇が顕著だったHRワードは「カスハラ」「春闘」「ノマドワーカー」でした。上昇の要因と検索意図について考察します。

カスハラ

「カスハラ(カスタマーハラスメント)」とは、客から従業員への過剰な要求や悪質なクレームのことを指すハラスメントの一種です。商品やサービスに関係ない要求や嫌がらせ、過度な値引き要請、どう喝や暴言、インターネット上の誹謗(ひぼう)・中傷などの行為が当てはまります。

2月20日に検索回数が増加。「カスタマーハラスメント」の検索回数も同様に伸びました。同日、東京都が「カスハラ防止条例」を制定する方針を固めたニュースが報じられたことから、両キーワードに注目が集まったと推測されます。条例では、カスハラが許されないことを周知するほか、具体的な禁止行為についてガイドラインを策定することが検討されています。2024年3月時点では罰則は設けない方針です。都によると、カスハラ防止に特化した条例は全国初とのことです。

サジェストワードでは「カスハラ 労災」が検索されました。2023年9月1日に厚生労働省は「心理的負荷による精神障害の認定基準」を改正。労災認定基準に「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(いわゆるカスハラ)を加えました。

このほかには、「カスハラ 法律」が検索されました。カスハラが違法行為にあたるかどうか、法律はどう規定しているのかなどを知りたい人が検索したと考えられます。危害を与えると脅迫したり、謝罪や土下座を執拗に要求したりといった悪質な行為は、刑事罰の対象となることがあります。


企業には安全配慮義務があるため、カスハラへの対応が不十分であれば、従業員から訴えられることがあります。企業はカスハラ行為について、厳正に対処する必要があります。

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春闘

2月21日に検索回数が増えた「春闘」。同日、ホンダとマツダが労働組合からの月例賃金と一時金の要求に対して、異例の早期満額回答をしたことが報じられました。春闘交渉が本格化する中、23年を上回る賃上げに向けた機運が高まっていると感じられるニュースを受けて、「春闘」に注目が集まったと考えられます。また、2月は「ベースアップ」の検索回数も伸びました。

サジェストワードでは「春闘 2024 いつ」が検索されました。春闘は例年1月にスタートし、3月中旬に主要企業の集中回答日を迎えます。中小企業の労使交渉は大手企業の労組の妥結状況を受けて動き出し、3月末までに回答を終えます。24年春闘の回答結果は、24年4月の給与から反映されるのが一般的です。

このほかには、「春闘 2023」「春闘 賃上げ率」が検索されました。厚生労働省が8月に発表した23年春闘の妥結状況(資本金10億円以上で従業員1000人以上の労働組合がある364社が対象)によると、定期昇給相当分を含む賃上げ率は3.60%となり、1993年の3.89%以来、30年ぶりの3%台を記録しました。前年の2022年比では1.40ポイントの上昇。コロナ禍前の2019年比では1.42ポイントの上昇でした。24年春闘で連合は、ベースアップ相当分として「3%以上」、定期昇給分を含めて「5%以上」の賃上げを要求する方針です。

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ノマドワーカー

「ノマド」(nomad)とは、英語で“遊牧民”を指す言葉です。定住地を持たない遊牧民のように、オフィスに縛られることなく、喫茶店などを活用して、働く場所を自由に選択しながら仕事をする働き方を「ノマドワーキング」といいます。このような働き方を選択する人々を「ノマドワーカー」、IT技術を活用して場所に縛られずに世界中で仕事をする人を「デジタルノマド」などと呼びます。

検索回数が増加した2月2日、出入国在留管理庁は海外のITエンジニアや高度人材などのデジタルノマドを対象にした、新しい在留資格を創設すると発表しました。要件である「年収1000万円以上」「日本にビザ(査証)なしなどで入れるおよそ50の国・地域の国籍を持つ」「民間医療保険への加入」を満たせば、6ヵ月間の滞在が可能になる在留資格を付与するとしています。

デジタルノマドは世界で3500万人以上存在し、市場規模は7870億ドル(約110兆円)にのぼるとする推計もあります。優秀な外国人材の受け入れ体制を整備することで、イノベーションを創出し、地域の消費拡大につなげる目的があると考えられています。3月末までに関係する省令・告示を改正し、申請の受け付けを始める予定です。

サジェストワードでは「ノマドワーカー 場所」が検索されました。ノマドワーカーは、ノートPCやスマートフォン、クラウドサービスなどを駆使し、カフェや公園、乗り物の中、クライアントのオフィスなどで働いています。一方で、会社の管理が行き届きにくいオフィスの外での作業には、セキュリティ面でリスクを伴います。情報流出やPC・携帯端末の盗難、紛失といった事態を防ぐためのルール作りが必要でしょう。

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