HRマーケティング講座 掲載日:2022/06/30

BtoBマーケティング概論

BtoBマーケティング概論

BtoBマーケティングは、企業に向けて行われるマーケティング活動を指します。
一般消費者の購買行動と比べて、企業の購買行動はより合理性が求められることから、BtoBビジネスにおいては顧客のニーズを正しく捉えたマーケティングを行うことが重要です。BtoBマーケティングの概論や代表的な手順、特にHRソリューション業界におけるマーケティングの必要性やトレンドの手法について解説します。

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1.マーケティングとは?

日本マーケティング協会の定義によると、マーケティングとは「企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動」のこと。マーケティングを一言で表すならば、「商品を売るための活動と仕組みづくり」と表現することができます。
売れる仕組みを作るための活動である商品開発、販売戦略、広告宣伝、効果検証といった一連のプロセスはすべてマーケティングに含まれます。

2.BtoBとBtoCの違い

マーケティングは「BtoB」と「BtoC」に分類できます。「BtoB」は「Business to Business」の略称で、以下のような法人向け商品・サービスを展開するビジネスモデルを指します。

  • 企業向けITシステムの構築
  • 経営コンサルティング
  • 工業機械の製造販売

対して「BtoC」は「Business to Customer」の略称で、企業が一般消費者の商品・サービスを展開する以下のようなビジネスモデルを指します。

  • スーパーマーケットなどの小売店
  • ファミレスなどの飲食店
  • 総合通販サイト

BtoBはBtoCと比べて、取引単価が高く、市場規模が大きくなります。また、BtoBは取引先の選定や条件の交渉、社内決裁などさまざまなフローを経て購買に至ります。

3.BtoBマーケティングが注目される背景

BtoBにおいて、以前は営業を主体とする顧客獲得・維持が主流でした。しかし、近年ITの進歩やグローバル化により、顧客とのコミュニケーション方法や、購買に至るプロセスが変化しつつあります。この流れはHR関連サービス市場においても同様であり、HRソリューション業界におけるマーケティング活動の重要度も増しています。近年のBtoBビジネスにおいてマーケティングが重要視される理由と背景について解説します。

マーケティングイメージ

3-1.ハードウェアからソフトウェアへの移行

これまでのBtoBでは法人用PC、ネットワーク機器のようなハードウェアをメイン商材とする企業が多数を占めていましたが、近年はクラウドストレージやSaaSといったソフトウェア市場が大きく成長しています。ソフトウェアサービスは、買い切り型よりもサブスクリプション型の課金形態が主流です。初期費用が発生し一度導入すると長く使うことが多いハードウェアサービスに比べると、サービスの乗り換えが容易になったため、長期的な信頼関係構築を見据えた新規顧客との接点を設計することが必要になりました。
こうした背景から、従来の営業のみならず、顧客との接点を増やし関係性を育てるためにBtoBマーケティングが重要視されるようになりました。

3-2.情報化社会による比較検討の容易化

近年はインターネットが発展し、検索エンジンのみならず口コミサイトやSNSなどによってサービスの比較検討が容易になりました。企業の担当者もオンライン上で能動的に情報を収集することが増えています。
こうした背景から、商品の露出量や露出先、露出内容をいかに充実させるかが重視されるようになりました。インターネット上で顧客にアプローチするため、デジタルマーケティングに力を入れる企業も増えています。

3-3.昨今のHRソリューション業界の傾向

HRソリューション業界においては、以下のような背景から、経営戦略において人・組織分野の重要性が増していることに伴い、サービスのニーズも増加しています。

  • 少子化による労働力不足
  • 人材の流動性増加
  • 投資家らによる人的資本開示への関心の高まり
  • 新型コロナウイルスの流行による就業形態の多様化

このような環境の変化に伴い、人・組織といったHR分野の課題も増えつつあります。
そうした課題解決のためにHRソリューションサービスへのニーズが高まり、サービスが多様化しています。競争が活発化していることにより、マーケティング活動の重要性が増しています。

3-4.HRソリューション業界市場の拡大

HRソリューションの市場規模が年々拡大してきていることも、BtoBマーケティングが重要視される理由の一つです。ミック経済研究所が実施した国内HRTechクラウド市場の推移・中期予測によると、2020年度は426.0億円(前年比124.6%)へ、2021年度は578.0億円(前年比130.2%)へと拡大しています。背景にはコロナ禍でのテレワークや非対面業務の推進、人材活用・定着促進などのニーズがあると説明しています。

また、矢野経済研究所が2022年に実施した人事・総務関連業務アウトソーシング市場に関する調査では、2020年度の人事・総務関連業務アウトソーシング市場は前年度比0.5%減のマイナス成長だった一方で、2021年度は前年度比5.2%増を予測しています。2020年度はコロナ禍での景気減退の影響によるものと推察しています。
市場規模の広がりからも、マーケティングの必要性の高さを読み解くことができます。

4.BtoBマーケティングの基本プロセス

ここでは、BtoBマーケティングの基本的なプロセスを8項目に分けて解説します。

BtoBマーケティングイメージ

4-1.市場調査

まずは顧客のニーズを知るために、市場調査を行います。調査会社や聞き込み調査、SNSなどを活用し、自社商材に合った調査を行います。以下は調査の手法の一例です。

  • 定量調査
    調査対象の量、割合など、数値化できる情報を調査します。
    例:アンケート調査、モニター調査
  • 定性調査
    商品の購入理由や買い替えた理由など、数値化できない意見・行動を調査します。
    例:インタビュー調査

顧客ニーズのほか競合他社の数や市場占有率など収集した情報を分析し、市場の細分化、ターゲットの選定、競合と比較した自社の強み(ポジショニング)などを検討します。

顧客のニーズを知るためのヒントとして、信頼できる企業による調査を参考にするのも選択肢の一つです。たとえば、『日本の人事部』会員に向けたアンケート調査『日本の人事部 人事白書』のHRテクノロジーをテーマにした章では、さまざまな業界や業種におけるHRテクノロジーの導入状況や活用状況のほか、人事担当者が活用にあたり留意している点などが分かります。

4-2.商品開発

市場調査で得た情報を基に、商品開発を行います。
商品開発は、市場調査で検討したターゲットやポジショニングを考慮し、自社の戦略に沿うことが重要です。「誰が、いつ、何のために買うか」のように、購入する顧客像を明確にして、競合商品との差別化も意識しつつ商品を考えます。また、開発した商品は何度も評価・検証を繰り返し、問題点を改善します。

4-3.見込み顧客の獲得(リードジェネレーション)

商品が開発できたら、見込み顧客を獲得する「リードジェネレーション」に取り組みます。リードジェネレーションには、展示会のようなイベントでの名刺交換や、セミナーの開催や広告の掲載など、さまざまな手法があります。市場調査で分析したデータも活用しながら、有効な見込み顧客に対してアプローチします。

4-4.見込み顧客の育成(リードナーチャリング)

見込み顧客を獲得できたら、顧客と継続的なコミュニケーションを取り、信頼関係を構築して購買意欲を高める「リードナーチャリング」が必要です。リードナーチャリングにはメールマガジンの発行やオウンドメディアの運営、リターゲティング広告などの手法があります。リードジェネレーションばかりに注力すると、他社と差別化できず商談に結びつかないケースも多くあります。大切なのは、自社のミッションや信念、価値観などを発信し、自社についての理解や共感を育むことです。万人受けする必要はありません。

4-5.見込み顧客の選別(リードクオリフィケーション)

リードナーチャリングで顧客の購買意欲を高めることができたら、より購買に至る可能性の高い顧客を選別する「リードクオリフィケーション」に取り組みます。まず、顧客を属性や関心度合などで区分する「セグメンテーション」を行い、受注に至るまでの顧客の行動を可視化する「カスタマージャーニーマップ」を作ります。マップを基に、顧客の行動に点数をつけ、購買意欲の高まりを可視化する「スコアリング」を行い、営業活動に入れる段階の顧客を抽出します。

顧客にとってメリットが少ないタイミングで商談をすると、信頼関係に傷がつきかねません。リードクオリフィケーションは営業活動の効率化につながるほか、顧客と良好な関係を保つためにも大切な活動です。また近年は、こうしたマーケティング過程の一部をマーケティングオートメーション(MA)ツールによって、自動化する企業も増えています。

4-6.商談化

次に、選別された顧客を商談化していきます。一般的には顧客に対してメールや電話などでアポイントメントを設定し、ヒアリングを通じて商談につなげていきます。新規リードのフォローを漏れなく行うため、マーケティングと営業の連携を密に行うことが重要です。

4-7.受注・案件管理

商談を進めて合意が取れたら、契約書を交わして契約・受注となります。受注した後もただ案件数を管理するだけではなく、顧客の要望や抱えている課題などの情報も管理することで、今後の業務改善・効率化にもつながります。

4-8.顧客との関係維持、契約継続

受注後は定期的なヒアリングや情報提供などのサポートを充実させ、顧客との関係維持に努めす。BtoBビジネスにおいて新規獲得の重要性が増しているとはいえ、顧客との契約を継続させることは、継続的な収益を生み出すために欠かせません。特にサブスクリプションモデルが主なSaaSなどクラウド型のサービスでは、いかに継続利用してもらえるかが大切です。カスタマーサクセスに注力したり、顧客の声を反映させた商品開発を行ったりすることで、顧客の外部流出を防止します。

5.BtoBでリードを獲得する代表的な手法(リードジェネレーション)

BtoBマーケティングにおいて、見込み顧客の獲得を意味する「リードジェネレーション」を正しく理解することは欠かせません。以下では、リードジェネレーションの定義と具体的な手法について、解説します。

5-1.リードジェネレーションとは?

リードジェネレーションとは見込み顧客を獲得する活動のことで、展示会出展やセミナーの開催などさまざまな手法があります。現在はインターネットの発展・普及により、オンラインでの見込み顧客の獲得が主流になりつつあります。リードジェネレーションでは、以下を実施した上で適切な施策を行うことが重要です。

1)市場調査、過去の振り返りによる現状把握
2)ターゲットペルソナの設定
3)KPIの設定

5-2.リードジェネレーションの具体的な手法

リードジェネレーションには、以下のような手法があります。それぞれの特徴を踏まえた上で、自社に最適な施策を選択することが重要です。

施策種類 アプローチ範囲 実施費用例 準備期間の目安
展示会出展 イベント来場者 50万円~ 3~5ヵ月
セミナー開催 既存クライアントおよび
自社で保有しているアプローチ対象者
15万円~
※自社リソースで完結する場合、対外的な費用は0円。
1~3ヵ月
広告出稿 媒体訪問者 10万円~ 1~3ヵ月
オウンドメディア サイト訪問者 20万円~
※自社リソースで完結する場合、対外的な費用は0円。
3~5ヵ月
ダイレクトメール 既存クライアントおよび
自社で保有しているアプローチ対象者
1万円~
(配送数、種類により大きく変動)
2週間~2ヵ月

展示会への出展が決まったら、出展ブースはどのようなレイアウトにするのか、どんなノベルティを配布するのか、当日の運営方法はどうするのか、どのくらいの人員が必要なのかなどを考えなければなりません。いずれも外注先に依頼した上で、打ち合わせや交渉が必要になるでしょう。詳細が決まったら、スタッフなど関係者へ事前に説明しておくことも重要です。出展料や施工業者への依頼料は、合計50万円以上をイメージすると良いでしょう。

セミナーを開催する際は、コンテンツの内容や訴求ポイントを考え、登壇者を選定し依頼します。会場やオンライン配信手段を検討し、当日の受付業務など運営方法を整理します。社内スタッフで運営する場合も、初期は事前に運営フローを説明する必要があります。会場使用料や配信手段にかかる費用のほか、登壇者への謝金も含めて15万円からの予算が想定されます。自社のリソースで企画から運営まで完結する場合、対外的な費用はかかりません。

広告を出稿する場合は、出稿媒体を選び広告枠の利用条件や空き状況、これまでどのようなターゲット層に効果があったかなどを確認。自社の課題を解決できるかどうかを見極めます。出稿する広告枠が決まったら、デザインや原稿を作成し、入稿します。広告の種類や出稿媒体によって費用の幅は大きく変わりますが、10万円程度から実施できます。

オウンドメディアを立ち上げる際には、メディアのコンセプトを定めた上で、コンテンツの内容や更新頻度、制作体制などを決めます。幅広い層にアプローチできるのが魅力ですが、コンテンツの量や質がある程度充実し、サイト訪問者数が期待値に達するまでは、一定の時間と運用コストがかかります。運用の一部を外部に委託する場合は、コンテンツの企画・制作、ページデザインやSEO対策など、どこから業務を切り出すかによって費用は大きく変わります。たとえばページデザインを依頼した場合、20万円程度から実施できます。自社リソースで企画から運営まで完結する場合、対外的な費用はかかりません。

ダイレクトメールを郵送する際は、配送先の絞り込みや、発送業者の選定が必要です。ダイレクトメールに掲載する内容やデザインを決め、入稿します。内容にもよりますが、比較的短い準備期間でも実行可能です。費用は、配送数や種類により大きく変動しますが、1万円から実施できます。

6.BtoBでリードを育成する代表的な手法(リードナーチャリング)

リードジェネレーションと混同されやすい用語の一つとして、「リードナーチャリング」があります。リードナーチャリングの具体的な手法について解説します。

より確度の高い顧客を効率的に営業部門に引き継ぐためにも、リードクオリフィケーションは重要な施策の一つです。具体的な手法を説明します。

6-1.リードナーチャリングとは?

リードナーチャリングとは、獲得した見込み顧客(リード)と定期的かつ継続的にコミュニケーションを取り、信頼関係を構築することで購買意欲を高める活動を指します。BtoB商材は検討期間も長期にわたるため、顧客と定期的に接点を持ち、休眠顧客化を避けるためにもナーチャリングは大切です。また、顧客の欲している情報を届けるなど工夫し、信頼関係が構築できれば、継続的な売上向上の仕組み作りに寄与してくれます。

6-2.リードナーチャリングの具体的な手法

リードナーチャリングでは、顧客が求める情報を見極めながら、検討フェーズに応じた施策を実施していきます。代表的な手法は以下の通りです。

  • ホワイトペーパー
    メリット:製品やサービスの説明だけでなく、統計データなどの専門性も示すことができ、市場動向も含めた深い理解を訴求できる。
    デメリット:作成に工数がかかる。
  • オウンドメディア
    メリット:時間や場所にとらわれず、サービスの魅力を伝えられる。
    デメリット:コンテンツの拡充までに時間的・人的コストが発生する。集客にはSEO対策など専門知識が必要。
  • SNS運用
    メリット:顧客への継続的な情報提供、ファンの育成が可能。
    デメリット:情報発信の際の炎上リスクが他施策と比較して大きい。
  • メール
    メリット:低コストで始められる。開封率など効果測定がしやすい。
    デメリット:メールアドレスの獲得・管理・更新が必要。ターゲットに合わせて配信コンテンツを作り続ける手間がある。

特にリードナーチャリングにおけるメールマーケティングについては、連絡先が分かる全員に情報を送るダイレクトメールとは異なり、アポイントの日程調整や資料請求など、顧客の行動変容を促していくものです。メールマーケティングについては以下のような種類があります。

1)ステップメール
見込み顧客の検討状況に合わせて、段階的にメールを送信します。商品の無料試用期間後や資料のダウンロード後に、商品に関する案内やキャンペーン情報を送ります。

2)メールマガジン
自社に関する情報を、メールマガジンへの登録者や見込み顧客に送付します。業界動向や新商品のリリース情報など、多くの人が興味を持ちやすい情報発信に適しています。

3)セグメントメール
条件を絞った見込み顧客に対し、興味がありそうな内容を送るメールです。「HR業界×課長以上×過去に問合せをした人」といった形で条件を絞り込むことで、より確度が高い情報発信が可能です。

7.BtoBでリードを選別する代表的な手法(リードクオリフィケーション)

より確度の高い顧客を効率的に営業部門に引き継ぐためにも、リードクオリフィケーションは重要な施策の一つです。具体的な手法を説明します。

7-1.リードクオリフィケーションとは?

リードクオリフィケーションとは、リードナーチャリングで育成した購買意欲が高い顧客を、さらに選別・分類していくマーケティング手法のことです。顧客の属性や行動履歴から選別した見込み顧客は、自社サービスに対する関心度が高い状態にあるため、その後の商談へ移行しやすくなります。効率的な営業活動につながるほか、不必要な商談を避けることで顧客との信頼関係維持にも役立ちます。

7-2.リードクオリフィケーションの具体的な手法

リードクオリフィケーションで見込み顧客を選別していく具体的な手法を紹介します。リードクオリフィケーションでは主に「スコアリング」という手法を用いて選別を行います。スコアリングとは、「ダイレクトメールを開いたら1点」「人事担当者の人は2点」といったように、見込み顧客の行動や属性に点数を付与し、高い点数がつけば購入可能性が高い顧客であると判断していく手法です。スコアリングで付与した点数が基準値に到達した場合に営業へ引継ぎ、商談化するのが一般的な流れです。

スコアリングを用いたリードクオリフィケーションの具体的な流れは以下の通りです。

  1. 見込み顧客を業種や業態、興味関心などに応じてグループ分けを行う。
  2. カスタマージャーニー(※)を設定する。
    ※カスタマージャーニー:見込み顧客が自社と接触してから購買に至るまでの流れを可視化した資料。
  3. 過去のデータをもとに仮説を立て、スコアリングの基準値を決定する。
  4. スコアリングを実施し、基準値以上のリードを営業部門へ引き渡す。
  5. 定期的にスコアリングの成果を測定し、都度スコアリングの見直しを行う。

リードクオリフィケーションは、BtoBマーケティングの節目となる重要な施策です。
スコアリングの改善を繰り返していくことで、リードの取りこぼしを防ぎましょう。

8.HRソリューション業界でのBtoBマーケティングのトレンド

さまざまなBtoBマーケティングの手法がありますが、近年ではどのような手法が注目されているのでしょうか。特にHRソリューション業界におけるBtoBマーケティングのトレンドについて説明します。

BtoBマーケティングのトレンドイメージ

8-1 セミナー、ウェビナー、カンファレンス

リード獲得手法の一つであるセミナーやカンファレンスを開催し、自社の思いやサービスのメリットを発信する企業が増えています。さらに、コロナ禍をきっかけに、対面型のセミナーからオンライン形式の「ウェビナー」が主流になりました。特にHRソリューション業界では、経営学や心理学、脳科学など幅広い学問の観点から、課題の背景や解決手法の効果について知見を深めるセミナーも多く開催されています。

8-2 ホワイトペーパー

代表的なリード育成手法の一つであるホワイトペーパーを作成する企業が増えています。市場調査や業務にまつわるノウハウなど顧客のためになる情報を提供しつつ、自社のサービスがどのように役立つのかをアピールします。ホワイトペーパー自体をweb広告で配信するなど工夫次第でリード獲得にも効果があります。コロナ禍で顧客の在宅勤務が増え、会社への電話や資料郵送などのアプローチがより難しくなったため、ホワイトペーパーのダウンロードを促すことで、顧客への情報提供と連絡先獲得を見込んだ施策として増えました。

8-3 オウンドメディア

自社でオウンドメディアを運営し、潜在的な顧客にアプローチしようとコンテンツマーケティングに注力する企業が増えています。コンテンツは、自社サービスの概要や活用事例などを紹介する記事など従来のパターンに加えて、近年はHR関連の用語やトレンドの人事施策について知見を深められる記事を発信する企業も増えています。また、自社と競合するサービスも含めて比較検討する記事を掲載する企業もあります。

9.まとめ

今後はさらにデジタル化が進み、顧客行動の舞台はオフラインからオンラインに変化しつつあります。そうした中で、BtoBマーケティングの重要性はますます増し、デジタル情報を活かせるマーケターが活躍できるようになっていきます。

何から始めていいか分からない場合は、まず市場調査を行い、顧客のニーズを捉えることから始めまると良いでしょう。顧客のニーズを捉え、必要な情報を正しいタイミングで提供することが、信頼の獲得-ひいては継続的な売上増加のための仕組みづくりにつながっていきます。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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