HR業界TOPインタビュー「人・組織」ビジネスを牽引する希代の経営者

大学留年、異例の出世、会社上場を経て
“ワークハピネス”を追求
「働くことは楽しい」を世界中に広げる

株式会社ワークハピネス 代表取締役会長

吉村慎吾さん

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吉村慎吾さん(株式会社ワークハピネス 代表取締役会長)

新型コロナウイルスの影響が広がりを見せる2020年4月13日、株式会社ワークハピネス代表取締役会長の吉村慎吾さんは社員に100%テレワーク・オンラインデリバリー化を宣言しました。対面型の研修・組織コンサルティング事業を主体とする企業経営からの脱却を決断した背景には、「世界中の組織をワークハピネスあふれるチームに変える」という同社のミッションがあったといいます。吉村さんに、学生時代や公認会計士時代の経験、創業の経緯、100%テレワーク化に至るまでの歩み、日本企業やビジネスパーソンが直面する課題について、聞きました。

Profile
吉村慎吾さん
株式会社ワークハピネス 代表取締役会長 

よしむら・しんご/公認会計士として世界4大監査法人の一つであるプライスウォーターハウスクーパースにて上場のスペシャリストとして活躍。世界初の日米同時株式上場を手がける。企業変革支援アウトソーサーである株式会社エスプール(現東証1部上場)を創業し老舗ホテルのV字再生や水耕栽培農園を活用した障がい者雇用支援サービス『わーくはぴねす農園』を立ち上げるなど、数々のイノベーションを起こす。現在、ワークハピネスにおいて大企業のイノベーション創出で多くの実績を重ねると同時に、世界各国で暮らしながらワークハピネスを増やす新しいツールを開発するのがライフワーク。著書『イノベーターズ~革新的価値創造者たち~』『日本流イノベーション』『AI時代に輝く経営の教科書』は、多数の企業で「次世代幹部育成の課題図書」となっている。

「快楽」を求めた学生時代。直感を信じて公認会計士に

学生時代は、どのようなことに打ち込まれていたのでしょうか。

大学生の頃を振り返っても、何も思い浮かびません。ほとんど遊んでいましたからね(笑)。高校生の頃は「大蔵省の官僚になって総理大臣になる!」という目標をたてて、東京大学を目指していたのですが、一浪しても合格できませんでした。

早稲田大学の政治経済学部に入学したときには目標を見失っていて、いろいろと遊ぶようになりました。パチンコ店やディスコに通い、夏はテニス、冬はスキーという生活でしたね。遊ぶお金を稼ぐために、引っ越しや警備員など10種類以上のバイトもしていたので、授業に出られず1年生にして留年が決まりました。

そのような生活をしていたのは、当時読んだ、村上龍さんの『69 Sixty Nine』という小説の影響が大きかったと思います。この小説のあとがきに、「自分を否定してきた教師たちよりも自分は快楽を知っている。だから自分は勝者だ」という趣旨のことが書かれていたのです。

この言葉を見てから、人生の瞬間に感じる“快楽”だけが真実なのだと思い至りました。万里の長城がやがて砂に還るように、見る立場や時間軸によって評価は変わるわけですから、何か特別なことを成し遂げる必要はない、と思ったのです。

大学卒業後に、クーパース&ライブランド(現「プライスウォーターハウスクーパース」)に就職されていますが、どのような経緯があったのでしょうか。

当時は就職氷河期で、私は留年もしていたので、就職できるとは思えませんでした。そのため、企業を訪問したり面接を受けたりする気にもならず、何か難しい資格にチャレンジしようと考えました。東大を目指していた頃の自信を取り戻したい、という気持ちも影響したのだと思います。

大学に行って、生協に置かれている資格のパンフレットをいろいろと見たのですが、公認会計士のパンフレットに引き付けられました。スーツを着た若者がヘリコプターからアタッシェケースをもって降りてくる写真が表紙に掲載されていて、とてもかっこよく見えたのです。公認会計士が何かもよくわからないまま、「これだ!」と思って、資格学校に通って勉強を始めることにしました。

それから1年後、一夜漬けで勉強した問題が運良く出題されたこともあり、公認会計士試験に合格することができました。一般的には公認会計士の試験を受けると、合格発表の前に国内の大手監査法人の面接を受けて仮内定をもらうものなのですが、私は受かるとは思っていなかったので、就職活動に出遅れてしまいました。

合格発表後に慌てて就職活動を始めたわけですが、すでに国内の大手監査法人の応募受付は締め切られていて、残っていたのは外資系だけ。面接を受けていく中で、クーパース&ライブランドの雰囲気が、フラットで私の性格に合っているように感じ、入社することにしました。

入社後に担当した仕事の内容についてお聞かせください。

入社初日のことは、よく覚えています。いきなり厚さ5センチくらいの英文の資料を渡されて、「明日までに読んでくるように」と指示されたんです。でも、読めるわけがありません。

吉村慎吾さん(株式会社ワークハピネス 代表取締役会長)

同期の様子を見てみると、別の外資系企業からの転職者や帰国子女ばかりで、ついていけないのは私だけだとわかりました。困って同期に相談したら、「だったらやめたほうがいいよ」と言われて、これは厳しいと思いましたね。

その後も、いきなり監査先の外国人に英語でインタビューをするよう命じられ、辞書を引いて準備していたら、上司から「辞書は家で引いてきてくれる?」と叱られたことがありました。そこで周りにたずねてみたのですが、今度は「君のためにならないから教えない」と言われる始末です。

自分で何とかしようと思い、サービス残業をして勉強していたのですが、入社から2ヵ月が経った頃、ついに仕事がゼロになってしまいました。社内で完全に仕事を干された状態です。

そうして年が明け、「そろそろクビになるのかな」と覚悟しはじめていた頃、事務所が繁忙期に入り、緊急の監査の仕事を任されることになりました。私にとってはラストチャンスです。ただ、期限が1週間しかない上に、それまで監査業務を一巡も経験していなかったので、どう考えても一人では無理だと思いました。

そこで、監査先の経理の社員の方々に「監査勉強会」という名目で、監査に必要な資料整理の手順を教えて、作業を手伝ってもらうことにしました。作業は2日間で終わり、私が監査調書として取りまとめてマネジャーに提出したところ、「君はすごく仕事が早いね、素晴らしい!」と評価されたのです(笑)。以来、私は急にさまざまな仕事を任されるようになって、1年後には同期が部下になり、最終的にはグローバルのマネジャーまで昇進することができました。

「明確な目標」「フィードバック」「協力し称え合うチーム」が楽しく働ける職場をつくる

クーパース&ライブランドを退職された後、1999年12月に株式会社エスプールを創業されています。創業の経緯を教えてください。

クーパース&ライブランドから、ジャスダックの上場審査官として出向したことがきっかけになりました。上場審査を100社以上担当しているうちに、「自分も会社を起業して上場させたい」と考えたのです。そこで、かねてから付き合いがあり、今はエスプールの社長をしている浦上壮平さんと一緒に、短期の人材派遣を事業領域として起業しました。

当時の人材派遣の業界では、「依頼を受けてから、派遣する人材を手配する」ことが常識でした。依頼どおりの人数を手配できれば評価され、できなければ信頼を失ってしまいます。そこで私たちが取り入れたのが、「先に人材の予定を確保しておく」というやり方です。具体的には、当時多くの人が使っていた携帯電話のiモードを使って、働ける日を事前申告してもらう仕組みを作りました。

すると、あらかじめ確保できる人材の見込みをもったうえで、人材派遣の依頼を受けることができます。「50人お願いしたい」と言われたときに、「100人でも大丈夫ですよ」と答えることができ、次第にエスプールの評価は高まっていきました。その後、年商が5億円、10億円、30億円と伸びていき、2006年に60億円になったタイミングで株式上場を達成することができました。

エスプールを上場した2006年に、ワークハピネスを創業されますが、その経緯や動機をお教えください。

株式上場というひとつのキリがついたタイミングで「自分がやりたいことは何だろう」と、あらためて考えるようになりました。昔の友人を訪ねたり、故郷を歩いたりして原体験を振り返る中で、「ワイワイとみんなと楽しく何かを創造するのが好き」という結論に至ったんです。エスプールが上場してから2週間ほど経った後、私はエスプールの社長を退き、ワークハピネスを立ち上げました。

ワークハピネスは、当時エスプールにあった「エスプール総合研究所」という部署を母体としています。エスプール総合研究所は、人材派遣業の経験から重要性を認識していたリーダーシップ開発のために立ち上げていた部署で、これを会社化し、人材や組織開発の事業に特化することにしたのです。

貴社は「世界中の組織をワークハピネスあふれるチームに変える」をミッションに掲げていらっしゃいますが、この言葉に込めた思いについてお教えください。

ワークハピネスの社名は、2002年にエスプールの社長をやりながら、ある老舗ホテルの社長として事業再生をしていたときの経験にルーツがあります。当時、私はホテルの従業員に、「クライアントの期待を超えましょう」「失敗を恐れずにチャレンジしましょう」「仕事を楽しみましょう」と繰り返し伝えていました。

仕事は、人生の多くの時間を費やすものですから、働くのなら楽しいほうがいいですよね。仕事は、ゲームのように考えると楽しくなるものです。クリア可能な目標を掲げ、目標に向かってチームで協力して、クリアしたら称え合う。そういう考え方が社員に浸透すると、自然と積極的なチャレンジができるようになります。

私がお手伝いしたホテルでも、日次決算や顧客アンケートなどで成果を可視化し、目標を達成したら称え合うことを徹底したところ、ブライダルフェアなどそれまでにない新しいチャレンジが生まれました。

ときには、チャレンジがうまくいかないこともあります。でも、それは「失敗」ではなく「学習」です。思うような成果が得られなかったときには「学んだね」と言って、次のチャレンジに生かせばいい。このような考え方でマネジメントした結果、そのホテルの売上は1.5倍まで成長しました。

その後、2006年にエスプールが上場するにあたって、社長を兼務することができなくなり、私はホテルを辞めることになります。そのとき、従業員から「吉村さんから『働くことは楽しい』と教わった」と言われ、ハッとしました。

私にとって働くことは楽しいことですが、そうではない職場もあります。たとえば目標やフィードバックがなかったり、称え合うチームになっていなかったり。そこで私は、「ワークハピネス」という社名を考え、「世界中の組織をワークハピネスあふれるチームに変える」というミッションに向かっていくことにしたのです。

貴社のサービスの特徴をお聞かせください。

ワークハピネスは「人の意識を変え、行動を変え、組織を変える」ために、人材育成、組織開発、事業創造、ダイバーシティ推進の四つをメインサービスとして提供しています。

吉村慎吾さん(株式会社ワークハピネス 代表取締役会長)

ワークハピネスのほとんどの社員は、入社してすぐに、神経言語プログラミングの認定資格として知られるマスタープラクティショナーを取得しています。また、世界中の人材開発トレーニングを実体験していて、知識や経験に基づいたプログラムを独自に作成しています。

たとえば、マサチューセッツ工科大学元教授のダニエル・キム氏が提唱している「関係の質」「思考の質」「行動の質」「結果の質」のサイクルを回す組織開発プログラムや、原体験に基づいて自分の言葉でミッション・ビジョンを語り、自己理解を育むプログラムなどがあります。

このようなプログラムを用いることで、企業は経営理念を“発見”できるようになります。経営理念とは、本来は作り出すものではなく、発見すべきもの。コアメンバーの原体験や生来の資質、価値観をあぶり出すことが極めて重要です。こうした要素の重なりから組織のコアバリューを見出し、さらに社会ニーズとの接点のなかからミッションを発見するのです。

また、個人にアプローチするときは、「無意識」に注目しています。人の行動の多くは「無意識」に支配されていて、幼児体験や子供時代の親などとの関係性の影響を強く受けています。たとえば子供の頃にいじめを受けた人が、大人になっても人から攻撃されることを恐れて部下に指示を出せないことがある。そのような問題をひもとき、「無意識」にアプローチすることで、行動を変えることができるのです。

新時代のワークハピネスを見据え、100%テレワークカンパニーへ移行

現在の日本企業の「人・組織」「人事」に関する課題をどのように捉えていらっしゃいますか。

日本企業では、いまだに終身雇用が前提となっています。そのため、ビジネスパーソンは会社に甘え、自己責任の感覚がなく、学習もおろそかになっているケースが多い。経営者に目を向けても、アカウンタビリティーや明確な理念の欠如が見られることが少なくありません。ただ、このような状況は、解雇規制の強い日本では、ある程度しかたがないことと考えています。

本来、企業は機能体であり、企業が目指すミッションに適した必要な人材を雇用すべきです。ところが、日本企業は雇った人の能力を前提に、その人ができそうな仕事を割り振る傾向があります。そして一度雇った人材は、解雇することが難しい。こうした状況は、会社のトランスフォーメーションの妨げになっており、変化に必要な人材が育たずグローバルで戦えない企業を増やしてしまいます。

私が勤めていたクーパース&ライブランドでは、自己責任が当然のものとして根付いていました。入社してすぐの頃は、その厳しさにつらい思いもしましたが、正論が100%通る職場で年齢も性別も関係なかったので、振り返るととてもいい職場だったと思います。

「小善は大悪に似たり、大善は非情に似たり」という言葉があるように、社員に甘い会社は、一見いい会社のように見えますが、これは小善であり、大悪になりえます。会社が成長できなければ、リストラが行われたり、倒産したりする可能性もあるわけですから。一方、社員に自己責任を求める経営は、非情に見えるかもしれませんが、社員や会社の成長につながるのであれば結果は大善ではないでしょうか。

現在の日本における人材育成、組織開発、コンサルティング関連の市場や業界をどのように捉え、どうあるべきだとお考えでしょうか。最近のコロナ禍をきっかけとした、日本のビジネスパーソンの働き方や、日本企業の人事のあり方の変化についてもお聞かせください。

日本のHR業界は、これからも有望だと考えています。ただ、これまで主力になっていたBtoBのマーケットはシュリンクし、個人が能力開発をするためのサービスがマーケットとして盛り上がっていくでしょう。

日本企業は、もはや未熟な人材に投資して、教育を施す余裕がありません。すでに自己投資をして準備ができている人を雇うことになりますから、個人の実力を伸ばすサービスに対するニーズは高まっていくと見ています。また、時代の変化が激しくなれば、企業のトランスフォーメーションのニーズが高まるので、経営人材のチームビルディングや戦略立案の仕事も増えるでしょう。

こうした変化に、企業はもちろん、個人も備える必要があります。人が40~50年働くことが当然の世の中になって、企業の寿命のほうが短くなるわけですから。このときに大切なのが、複数のスペシャリティーを持つことです。とりわけ、ホスピタリティーとクリエイティビティーは、AIには代替できない人間の能力として重要性が高まると考えています。

貴社がこれまで使用していたオフィスやセミナールームを解約し、100%テレワークカンパニーに移行すると宣言された背景をお聞かせください。

吉村慎吾さん(株式会社ワークハピネス 代表取締役会長)

テレワークや業務のリモート化については、新型コロナウイルスの問題が起きた3月上旬頃から進めていました。退路を断つために、これをさらに推し進めることを決断し、社員にも覚悟を決めてもらうために宣言を出しました。

この決断には三つの理由があります。一つは、新型コロナウイルスの問題は、少なくとも数年は終わらない、と予想したからです。緊急事態宣言が明けたとはいえ、集合研修でクラスターが発生した場合のリスクは大きく、再び集合研修ができなくなる事態も起こりえます。そのようなコントロールできない状況に会社経営を左右されたくないと考えました。

たとえワクチンの開発などで感染の広がりが収まったとしても、高齢化社会にある日本社会がビフォア・コロナの状態に戻れるとは思えません。100%テレワークに切り替えて、新たな時代に合わせた事業経験を蓄積するべきと考えたのです。

二つめの理由は、もともと私が「100%テレワークのほうが素晴らしい」と思っていたことにあります。これまでは、場所を問わずに仕事をすることを社会常識が許しませんでしたが、今は最先端の働き方として受け入れられるようになっています。私としては、前からやりたかったことが「やっとできる」という感覚です。

もともと、都市に集まって働くのは産業革命以降の話で、それまでの歴史では各地に分散して生活していたわけですから、むしろ自然な形に戻るのではないでしょうか。それが可能になるだけのテクノロジーも存在するので、今は惰性から脱却するいいチャンスと捉えています。

そして三つめの理由は、当社の社員なら変化に対応できると考えたからです。100%テレワーク化は、ワークハピネスのミッションにつながると確信したので、新たな時代のワークハピネスを目指そうと考えました。

安全な道を選ばないから、災いを転じて福となす

吉村さんのお話をうかがっていると、危機が訪れるたびに、大胆に乗り越えられているように感じます。

「災いを転じて福をなす」という言葉がありますが、過去を振り返ると、そういうことが何度かありました。東大に落ちてから公認会計士になったり、仕事を干されてから昇進のチャンスをつかんだりしたことも、そうですね。

私が考えるに、そのような逆転が起きたのは、災いが起きる状況に自らを置いてきたからです。私の場合、やりたいと思ったら、後のことやネガティブなことを考えずに、まずは飛び込んできました。後からネガティブな情報が耳に入ることもありますが、「そんなこともあるんだ」と思うだけです。

このように後先考えずに飛び込むと、災いが起きることもしばしばです。私はこれを“ツケ”と呼んでいるのですが、好き勝手にやっていると思っていたら、突然、厳しい状況に追い込まれることがある。でも、それでもいいと思うのです。ツケが来たら、頑張って乗り越えればいいだけですから。

これまでずっとそんなふうに考えてきたので、私には「やり残した」と思うことがありません。以前勧められて、「死ぬまでにやりたいことリスト」を考えてみたのですが、一つも思い浮かびませんでした。全部すでにやっていましたから。

一方、災いを避けて安全な道を追い求めていると、災いは起きない代わりに福も来ないでしょう。死ぬ前に、「あれをやりたかった」と思うことがたくさん残ってしまう人は、安全な道ばかりたどってきた人なのかもしれません。

そういえば、最近私は、直感にしたがって行動してもツケが来なくなってきました。これは、私がやりたいと感じることのレベルが上がり、社会に喜ばれることになってきたのかもしれません。

貴社ならびに吉村さんの今後の展望をお聞かせください。

ワークハピネスの体制は大きく変わろうとしていますが、これからも私たちは、今やるべきことをやるだけです。冒頭でお話ししたように、学生時代から「いつまでに何を成し遂げたい」といった展望は持たないようにしてきましたから。

強いて挙げるならば、“世界平和”を目指したいですね。今も世の中で争いが絶えませんが、人々の考え方が変われば、平和な世の中になると信じています。争いが起きる背景には、何かを失うことに対する恐怖心があります。でも、狩猟採集生活を送っていた昔と違い、今はエネルギーも食料も世界中に行き渡るくらい十分にあります。

そのことに気がつけば、怒りはなくなり、争いも起きません。物事をありのままにとらえ、恐怖心から解放されれば、平和に近づきますよね。だから、ごく小さなレベルから、私の考え方を伝えたいと思い、最近はブログやYouTubeでも発信をしています。「怒るのはかっこ悪い」というカルチャーが広がり、少しでも平和な世の中に近づいてほしいと思っています。

最後に、人材サービスや法人向けサービス業界に携わっている若い皆さんに、メッセージをお願いします。

物事を「緊急なこと」と「重要なこと」の2軸で考えたとき、多くの人は「緊急なこと」に時間を奪われ、「重要なこと」を後回しにしてしまいます。「緊急で重要なこと」を優先するのは当然ですが、「緊急だが重要ではないこと」にも時間を使っていると、人生が消耗戦になりかねません。

私の場合、「緊急ではないけれど、重要なこと」のために優先的に時間を確保してきました。具体的には、人間関係、健康、学習の時間です。これらは「いつかやろう」と考えているようでは一生できませんから、年初からスケジュールを立て、時間を確保しています。その時間にいかに大きな仕事が入りそうになっても、断ります。

家族や社員との信頼関係を作るための旅行などの予定を確保し、健康のために毎日走って、テニスや筋トレも欠かしません。おかげで今52歳ですが、健康診断はオールAです。学習としては、毎日本を3冊は読んでいます。昨年はワインエキスパートの資格を取りましたし、シナリオライティングやコピーライティングなど、毎年テーマを決めて学習を続けています。

健康のうえに人間関係があり、学習を継続している。こうした状態こそが、豊かな人生の土台です。SNSやゲームなど重要ではないことに時間を費やしている同世代の人たちよりも、長い目で見て大きな差が開いてくるものです。これは“ワークハピネス”においても大切なことであり、働くすべての方々に伝えたいメッセージです。

(取材:2020年7月14日)

(取材:2020年7月14日)

社名株式会社ワークハピネス
本社所在地東京都港区浜松町2-6-2 浜松町262ビル2階
事業内容人材育成トレーニング/組織開発コンサルティング/新規事業・イノベーション創出コンサルティング/ダイバーシティ推進コンサルティング
設立2006年4月

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