日本には新たな人材プラットフォームが必要――
“人材市場の可視化”で企業に採用力を取り戻す

株式会社ビズリーチ

南壮一郎さん

事業を通じて社会を変える。その原点は“楽天イーグルス”

南社長は人材会社に入社するのではなく、自ら会社をつくる道を選ばれました。そこにはどのようなモチベーションがあったのでしょうか。

株式会社ビズリーチ 南壮一郎さん インタビュー photo

僕はもともと人材業界に入りたかったわけではありません。インターネットについて学びたかったのです。インターネットが世の中に与えている影響を正しく理解したうえで、今後自分が数十年働いていく上での一つのスキルにしたかった。転職時に受けた会社もIT企業ばかりでした。

しかし、人材業界の問題について知ったときに、インターネットを使うことで、その解決が図れるのではないかと思ったのです。それに、新たな採用市場ができれば国のインフラになります。まさにそれは日本人の働き方にもつながり、新しい仕事観がつくれる。ITを活用するにはふさわしいテーマだと感じ、自分でやってみようと思いました。

南社長は、世の中を変えたいという気持ちを起業に結び付けられました。そのような信念を支える経験が過去にあったのでしょうか。

僕は、事業を通じて社会を変えることに興味があります。その原点は楽天イーグルス時代にあります。仕事をするなら、業界を変革させるくらいやらないと面白くない。これは前職でも同じ志でやっていました。楽天イーグルス創設時に立てた目標は二つです。一つは「東北を元気にする」。東北の皆さんの心の支えをつくること。もう一つは「プロ野球業界を元気にする」。プロ野球業界にビジネスという概念を植え付けたいと思いました。

しかし、最初の数年は批判を受けましたね。東北の皆さんは実はライブドアに来てほしかったという声が多かったし、野球界からは「皆が野球をやろうとしているのにビジネス、ビジネスと言われても」とよく思われないこともありました。しかし、昨年楽天が優勝したことで、たくさんの感謝の言葉が自分のところまで寄せられました。創業時に、三木谷さんから何度も「事業創りに大切なことは大義名分」と言われていました。昨年の優勝で、三木谷さんが言っていたことの意味が今ははっきり理解できます。

楽天で、初めて事業づくりの魅力に触れたということですね。

そうですね、事業をつくることは魅力的だったと思います。「これはこうあるべきだよね」と思えることに対して、皆が力を合わせて、主体的に動ける。そして、本質的な価値に向かって走る。そこで働く一員になってみて、楽しかったのです。事業を通じて社会に起こそうとしているイノベーションに、自分はどこまで主体的に参加できるか。今はこの会社で、自分の挑戦の結果が見られることが非常に楽しい。そのような意味では、事業づくりは体育会系の部活動によく似ている気がします。どうせトライするのなら、野球なら甲子園、サッカーなら国立を目指したいと思いますから。

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