激動の時代を生き抜くために必要な「キャリア自律」
『日本の人事部』おすすめのキャリア開発研修

『日本の人事部』おすすめのキャリア開発研修

人生100年時代を迎え、多くの人がこれからの自身のキャリアについて考えるようになりました。また、コロナパンデミックにより、人々の働き方は大きく変化しました。今後のキャリアや働き方について、不安を抱えている従業員も少なくないでしょう。

そこで『日本の人事部』では、現在企業に求められている「キャリア開発」のあり方について整理。また、従業員の自律的行動を促すキャリア開発研修の種類と導入のポイントを整理しました。おすすめの研修も、あわせてご紹介します。

キャリア開発とは何か
~「キャリア自律」が求められる背景と直近のトレンド

キャリア開発とは何か ~「キャリア自律」が求められる背景と直近のトレンド

なぜ今「キャリア自律」が強く求められているのでしょうか。まずは、その背景とキャリア開発研修のトレンドについて見ていきましょう。

キャリア開発の目的とは

キャリア開発の考え方は、ビジネス環境の変化とともに形を変えてきました。バブル経済崩壊後の日本では終身雇用制度が終焉を迎え、年功序列に替えて成果主義を取り入れる企業が増加。これにともなって、「キャリア=昇進」という考え方が適切ではなくなり、質の高いアウトプットができる能力を磨くことでキャリアを形成する、という考え方が浸透しました。

こうした変遷の中で、キャリア開発は一人ひとりの能力を開花させるものという意味合いが強くなりました。現在では、従業員が主体的にキャリア開発に関する目標を持ち、自己実現に向けて行動する「キャリア自律」が強く求められています。

このような変化を背景に、従業員のキャリア自律を企業が支援することは、結果的に企業と個人とのエンゲージメントを強めて業績向上につながるという考え方が広がり、自律型キャリア開発に取り組む企業が増えています。

従業員の「キャリア自律」が求められる背景とは

キャリア自律が求められる背景には、大きく三つの社会的変化があります。一つ目は、労働力人口の減少により、生産性向上が喫緊の課題となっていることです。キャリア自律が進めば、従業員一人ひとりが主体的に成果に向けて動くようになり、高いパフォーマンスが期待できます。

二つ目は、働き方改革に代表されるように、多様な働き方を支援し、誰もが活躍できる社会の実現による経済効果が期待されていること。働き方の多様化を推し進めることは、キャリアのあり方も多様になるということです。一人ひとりが自身の能力を最大限に生かすための道を見つけ、自律的にキャリアを形成することが求められています。

三つ目は、働き方に対する価値観が多様になり、企業と個人との関係性に変化が生まれていること。かつてはキャリア形成を組織に依存する働き方が一般的でした。しかし現在は人材の流動化が進み、副業をする人も増えているように、一人ひとりが自らキャリアを選択し、自己実現に向けて行動するようになりつつあります。こうした中では、企業と個人とが対等な関係を築き、お互いの目的を果たすことが求められるといえるでしょう。

また、2020年のコロナパンデミックでリモートワークが加速したことも、変化への対応力を身につける必要性を強く意識するきっかけとなりました。環境の変化や自身の課題に向き合い、乗り越え、進化させていこうとするキャリア自律型人材の育成は、今後の企業の成長になくてはならないものになりつつあります。

キャリア開発研修の直近トレンド

キャリアに対する考え方そのものが変化している中で、キャリア開発研修においても、キャリア自律型人材育成を求める声が多くなっています。新型コロナウイルス感染症拡大を経験した今、まさにVUCA(変動性・不確実・複雑性・曖昧性)時代をどう生き抜くかという課題に直面し、キャリア自律への意識はさらに高まりました。

企業内研修の傾向を見ると、企業側が従業員に受講する講座を指定するのではなく、従業員が主体となって選ぶスタイルが増加傾向にあります。くわえて、在宅勤務の導入により、自宅で過ごす時間が増えていることから、eラーニングなどを活用して主体的に学ぼうとする従業員も増えています。

また、副業においても、たんに収入を増やすことを目的にするのではなく、所属部署の枠を超えた越境学習の効果を狙い、将来のキャリアにつなげようとする動きが活発化しています。

キャリア開発研修の種類

キャリア開発研修の種類

企業が従業員のキャリア自律を支援するうえで有効な方法の一つが研修です。ここでは、キャリア開発研修の種類と、実際にどのようなことを学べるのかを見ていきます。

階層別

キャリア開発研修で多く見られるのが、受講者の階層に合わせて行うタイプです。

若手従業員研修
キャリア形成のスタートを切るうえで今後どのような方向を目指すのか、そのためにどんな能力が必要になるのかといったキャリア設計に役立つ内容が提供されています。自己分析をする中で目標が明確になり、モチベーションが上がることから、早期退職防止を目的に実施する企業も多くなっています。
中堅従業員研修
これまでのキャリアの棚卸しと自己分析により、今後のキャリアをどう構築するかを考えることを主な目的として実施します。
管理職研修
部下のキャリア開発支援を行ううえで必要なスキルを習得できる研修が実施されることが多くなっています。たとえば、1on1面談のフィードバックで部下の自己効力感を高める方法などを具体的に学ぶことができます。

年代別・性別

そのほかにも、年代別や性別、中途採用者、定年後の再雇用者、LGBTといったように、受講者の特性に合わせて、さまざまなキャリア開発研修が行われています。

年代や性別、自身が置かれている環境により、キャリアに対する考え方は変わるものです。たとえばミドル世代では、ワークライフの観点や人生100年時代を見越したセカンドキャリアを考える必要性が生まれます。

受講者の特性に合わせたキャリア開発研修は、自分らしいキャリアとは何かを考えるうえで有効な手法といえるでしょう。

テーマ別

テーマ別のキャリア研修は、従業員が目指すキャリアの実現に向けて、さまざまな知識・能力を習得することを目的に実施されます。

研修の内容は多種多様で、たとえば人事担当者や経営層を対象にしたものでは、心理学の観点から人事制度を作る方法や組織分析の進め方などを学びます。また、交渉力を磨く方法、英文ビジネスメールの習得、コミュニケーションスキル、メンタルヘルス教育など、あらゆる分野のキャリア開発が可能です。

専門性を身につけるための資格取得をサポートするのも、キャリア開発支援のひとつといえるでしょう。従業員が自ら選択できるスタイルをとることで、キャリア自律につなげることができます。

企業が「自律的キャリア開発」を推進するメリットとは

企業が「自律的キャリア開発」を推進するメリットとは

企業が従業員のキャリア自律を支援することで、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

自律的な従業員が増えて組織が活性化

コロナパンデミックを経験したことで、変化への対応力がいかに重要であるかを実感した企業は少なくないでしょう。会社からの指示を待つのではなく、日々変わるビジネス環境に対応し、自ら考えて行動できる自律的な従業員が増えれば、組織が活性化します。

自身の強みや能力を高めることに対してポジティブに行動する従業員の存在は、組織全体に好循環を生み出すというメリットがあります。

優秀人材が定着しやすい

一昔前までは、「キャリア開発研修を行うと、優秀な人材が退職してしまうのでは?」という考え方が多く見られました。しかし、自身のキャリアに意欲的な優秀人材ほど、従業員のキャリア支援を積極的に行っている企業に対して魅力を感じるものです。また、優秀人材の定着を促すだけでなく、成長意欲の高い人材を獲得するうえでも強いアピール力がある点もメリットといえるでしょう。

生産性向上につながる

自律した従業員が増え、優秀人材の獲得・定着に成功すれば組織力が高まり、結果として生産性向上につながるというメリットを得られます。また、新しいことへの挑戦意欲も高まるため、変革を恐れずに事業を創造していこうとする風土が生まれやすくなることも期待できます。

会社と従業員とのエンゲージメントが強まる

自律的キャリア開発は、従業員本人の意向を取り入れながら、企業と従業員の双方で取り組んでいくものです。企業が従業員の能力開発を支援するという立ち位置を取ることで、従業員とのエンゲージメントを強くする効果も期待できます。

キャリア開発研修を導入する際のポイントと選び方

キャリア開発研修の導入時に注意しておきたいポイントや選び方を見ていきます。

1)実施の目的を明確にする

キャリア開発では、従業員の階層や特性などに応じて適切な研修を検討することが重要です。そのため、企業側が理想とするキャリアプランに沿って実施しても、従業員の意向とあっていなければ、自律性を育てるという意味での効果を得られません。まずはキャリア開発研修を実施する目的とゴールを明確にして、研修プログラムを検討することが必要です。

2)従業員が主体となって参加できるか

企業が率先してキャリア開発を支援する姿勢はとるのは大切なことですが、従業員が受け身で参加している状態では、期待した成果を得ることはできないでしょう。こうした事態が起こる要因として、従業員自身がキャリア自律の必要性を認識していないケースが多く見られます。

従業員の間で理解が進んでいない場合は、これからの時代にどのようにキャリアを築くべきなのか、十分に理解を深める機会が必要です。研修を検討する際は、企業側が考える自社の課題と、従業員個人が望む能力開発とをすり合わせたうえで進める点にも注意を払いましょう。従業員が主体的に学びたくなるように、仕組み作りを工夫することも有効な方法です。

3)キャリア開発の運用サイクルを回す

一度実施すれば終わりというやり方では、キャリア開発研修を成果につなげることは期待できません。研修で学んだことが現場で生かされ、従業員にも企業にも成果が生まれるような運用サイクルを検討することが本来の望ましい形といえます。

メンターやキャリアコンサルタントによるフォローアップ体制を作ったり、悩みを抱えている従業員が気軽に相談できるキャリアの相談窓口を設けたりするのもよい方法です。従業員自らが、求めるキャリアに向かって実行し続けることができるよう、継続的な支援体制を整えるようにしましょう。

キャリア開発研修の傾向と、選ぶ際のポイント

キャリア開発研修で提供されているプログラムは、各社で大きく異なっています。カリキュラムが自社の課題・目的に即しているかどうかを慎重に判断することが重要です。

実際にどのようなキャリア開発研修が提供されているのか、紹介していきます。

アチーブメントHRソリューションズ株式会社の「キャリアマネジメント研修」は、自分自身のぶれない軸(自己理念・ビジョン)と成長の拠り所となる目標を明確にする若手・中堅社員向け研修。描いたキャリアプランを実現するために必要な、マインド・スキル・ナレッジについて学びます。

株式会社キャリアネットワークの「キャリア開発研修」は、若手、中堅、ミドル、シニア、女性と幅広く対応。職場での実践力を重視しており、「頭で理解し、心が納得し、腹に落ちる」仕掛けを駆使しています。頭と心に働きかけることで、ビジネスの現場での経験豊富な講師が受講者自身の気づきを促す研修スタイルが特徴です。

株式会社サクセスボードの「リアル★イクボス研修(管理職向け)」は、主に女性を部下に持つ管理職を対象としていますが、女性に限らず、多様な部下のダイバーシティマネジメント力育成やハラスメント対策も盛り込まれています。単体の研修としての導入はもちろん、それ以外にも管理職研修の一部として、またダイバーシティイベントの一部としてもアレンジ可能です。

株式会社星和ビジネスリンクの「キャリア羅針盤【中高年社員向けのeラーニングシステム】」は、中高年社員の活性化、これからの自走人生の充実を目的にした企業研修。自ら思考し、表現するセルフラーニング・セルフコーチングを導入した新しい形のeラーニングです。

株式会社日本マンパワーの「~企業の育成能力を高める~ キャリア開発支援体制整備」は、企業内でのキャリア開発を推進する方法として、『相談機能の設置』『各階層での研修』『ツールによる情報提供』をお勧めしています。多様なアプローチにより、自律的キャリア開発を促進する機会を全社員にご提供します。

ビジネスコーチ株式会社の「コーチングを活用したエグゼクティブの育成プログラム」は、企業のトップおよび経営幹部クラスの方が、より一層優れたリーダーとして周囲に肯定的な影響を及ぼせるようになるために、意識変革・行動変革を行うためのプログラム。組織にとってのよりよい行動を促し、よりよい影響を生みだすことを目的としています。

株式会社ビジネスパスポートの「【人生100年時代】シニア社員がイキイキと活躍しやすい職場を実現するためのプログラム」は、シニア社員と関わる管理職の方と、ミドルシニア層を対象としています。提供側もシニアだからこそ分かる視点と経験から開発した、シニアの戦力化を目的としたプログラムです。

株式会社ライフ・ポートフォリオの「女性社員向けキャリアプラン研修 ~仕事を味方に、豊かな人生を創る」は、一生の時間軸で「働くこと」を考えさせることで、自分自身が意欲的に楽しく働くために、「いま」のチャレンジ・成長が大きな意味を持つことに気づかせます。現在の常識に捉われず、自律的に成長し続ける意識を醸成します。

株式会社ローンディールの「企業間レンタル移籍プラットフォーム LoanDEAL」は、人材をベンチャー企業の事業開発に参加させ、育成する仕組みです。新しい価値を創りだす実戦的な経験を通じてイノベーションを起こせる人材・組織に変革を起こせる次世代リーダーを育成します。

「キャリア開発研修」を提供する全国のソリューション企業一覧

あらゆる属性を対象とした研修

若手・中堅向け研修

管理職向け研修

若手・中堅・管理職向け研修

シニア向け研修

女性向け研修

今後のキャリア開発研修に求められるものとは

自律的に行動できる人材を育成するキャリア開発研修は、今後さらにニーズが高まることが予想されます。ただし、「知識を習得してワークをやってみて終わり」という研修スタイルでは、本来期待される能力開発にはつながりにくいといえます。より実践的なスキルが身につき、逆境の中でも前進できる力をつけられるキャリア開発研修が求められています。

「キャリア開発」は対象範囲が広く、その手法もさまざま。「何から取り組めばいいのかわからない」という声は少なくありません。他社の具体的な施策や、実践のポイントを学ぶことで、自社のキャリア開発支援に活かせます!

キャリア開発 ヒントがみつかる 企業事例6選│無料ダウンロード - 『日本の人事部』

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「人事辞典「HRペディア」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

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