イベントレポート

2011年第1回派遣・請負問題勉強会
“東日本大震災対策緊急セミナー”
東日本大震災の雇用への影響と人材ビジネスの役割を考える
(2011/8/5掲載)

2011年7月21日(水)に、「NPO法人 人材派遣・請負会社のためのサポートセンター」による「2011年第1回派遣・請負問題勉強会 “東日本大震災対策緊急セミナー”」が開催されました。人材サービス業界の健全な発展と業界で働く方々の社会的地位の向上のために活動する、同法人。東日本大震災を受け、人材ビジネスはどのような役割を果たすべきかを考えることを目的に、同セミナーは企画されました。当日は、人材ビジネスを中心に、多くの皆さまが来場。『HRプラザ』編集部では、当日の模様を取材しました。内容の要点をレポートとしてご紹介します。

2011年第1回派遣・請負問題勉強会 “東日本大震災対策緊急セミナー”Photo
【開催概要】
日時 2011年7月21日(木)14時~17時30分
場所 第一ホテル両国(東京・墨田)
主催 NPO法人 人材派遣・請負会社のためのサポートセンター
後援 労働新聞社、CFW-Japan
対象 人材ビジネス企業・団体,経営者団体労政担当者,研究者研究機関,労働組合,マスコミ

http://www.npo-jhk-support119.org/

【プログラム】
1)講演『東日本大震災が日本社会におよぼす影響と今後の雇用問題』
日本総合研究所 調査部長  山田 久氏
2)調査報告『東日本大震災における就労支援の現状と課題』
(株)リクルートワークス研究所 研究員 中村 天江氏
3)活動報告『東日本大震災におけるキャッシュ・フォー・ワーク(CFW)の取組み』
関西大学社会安全研究科・社会安全学部准教授 永松 伸吾氏

新しい分野で必要とされる人材の育成と最適配置が、人材ビジネスの使命

セミナーは、マクロ経済や雇用問題に詳しい山田氏による基調講演からスタートしました。タイトルは『東日本大震災が日本社会におよぼす影響と今後の雇用問題』。今回の震災が、日本経済にどのような影響を与えたか、今後、雇用はどうなるのか、それに対して、人材ビジネスはどのような役割を果たすべきか、といった流れで講演は進んでいきました。

今回の震災で、サプライチェーンの分断や電力不足など、日本経済のさまざまな問題点や制約があらためて明確になりました。日本は、省エネ、ソフト型への産業構造の転換を果たさなければなりません。たとえば、農林水産業を軸に付加価値を高めた「6次産業化」やファッション、食、メディア・コンテンツなどの「文化産業」などユニークな産業で、日本は世界で勝負しないと生き残れない。そうした新しい分野で必要とされる人材を育成し、求人企業・団体と求職者との最適なマッチングを実現することが人材ビジネスの社会的使命であると、山田氏は結論付けました。

被災地での求人開拓・雇用創出が最も重要

次に、「労働市場における需給調整機関の機能や役割」を専門とする中村氏が、『東日本大震災における就労支援の現状と課題』と題した講演を行いました。

同氏は、本セミナー直前に被災地を訪問し、聞取り調査を行ったそうです。まず冒頭では、被災地で調査を行う中で強く印象に残ったことを挙げていきました。「地元を離れたくない」と言う被災者が非常に多いが、被災地で言う「地元」とは、東京などの都市部でイメージする「地元」の範囲よりもはるかに狭く、県外に出ることなど考えられない、というケースが多かったそうです。

その上で、就労支援の現状について、さまざまな事例を紹介していきました。課題としては、被災地の求職者の地元志向が強いために、雇用のミスマッチや、地域振興策と就労支援施策のコンフリクトが生まれているそうです。被災地外のほうが、求人が多いために、人材ビジネス企業は、被災地外の求人を紹介しがち。しかし、求職者は、地元で働きたいし、自治体なども地元で雇用を創出したいと考えている。そのため、ニーズの不一致が発生するとのことでした。

したがって、まず第一に必要とされる就労支援策は、被災地での求人開拓・雇用創出で、その実現の手助けをすることが人材ビジネスの役割だとのことです。

ほかの役割として、次の二点もあわせて紹介していました。一点目は、こうした緊急時には、民間の人材ビジネス企業には公共性が求められる。十分に採算があわなかったとしても就労支援を行うことが、社会貢献になると同時に、長い目で見れば、事業の開発につながるということです。二点目は、現在、求人情報が分散しがちで、求職者は求人情報を探しづらくなっている。民間各社や公的機関が連携し、求人情報を集約して提供することが大事、とのことでした。

今後の活用が期待される新しい取り組み「キャッシュ・フォー・ワーク(CFW)」

次に、防災・危機管理や地域経済復興が専門の永松氏による『東日本大震災におけるキャッシュ・フォー・ワーク(CFW)の取組み』と題した活動報告がありました。「キャッシュ・フォー・ワーク(CFW)」とは、被災者を復旧・復興事業に雇用して、賃金を支払うことで、被災地の円滑な経済復興と、被災者の自立支援につなげる手法。CFWの意義や有効性、事例を紹介しました。

まず、CFWの土台となった「阪神・淡路大震災」や「新潟県中越大震災」の際の震災復興支援の取り組みについて紹介。その上で、東日本大震災でCFWが生まれた背景、その取り組み内容、有効性などを説明しました。

CFWの今後の課題は、雇用の質的向上(やりがいの確保)や次の震災への備えなどであり、そのためには民間の人材ビジネス企業やNPO法人、公的機関が一体となって、雇用を創出することが重要であると講演を締めくくりました。

*    *    *

雇用問題や人材ビジネスの概況、防災・危機管理などに詳しい専門家の方々の講演は、専門的知見による大局的な内容、豊富な事例などが盛りだくさんでした。来場者の皆さまにとっては、今後の事業活動に役立つ非常に有益なセミナーとなったことは間違いないでしょう。

◆震災に関する支援情報は、『HRプラザ』でも掲載しています。
http://service.jinjibu.jp/contents/shinsai/


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