銀行や中央省庁での仕事経験を糧に
人事BPOサービスで日本企業の生産性向上に貢献する

エイチアールワン株式会社 代表取締役社長

武谷 啓さん

若いうちに大いに勉強し、大いに失敗しよう

エイチアールワンならびに武谷さんの今後の展望についてお聞かせください。

目標としては、30年後に売上高1,000~2,000億円規模の会社を目指したいですね。業界トップの会社がそのレベルになっていないと、恐らく日本の生産性はいつまでたっても上がりませんから。

私自身の今後としては、若い人たちの成長をサポートしたいと思っています。今も若い社員を対象にした経営道場のようなものを5人×3クラス受け持っています。そこで一緒に本を読んだり、意見を発表したりしながら、皆で成長していく。私もいろいろと刺激をもらい、成長できます。若い人たちが成長していく姿を見ていると、素直に楽しいんです。

現在、人材サービスや法人向けサービス業界に携わっている皆さん、特にあとに続く若い皆さんにメッセージをお願いします。

勉強はしておいたほうが良いと思います。私が主宰する経営道場に大学の教科書が何冊かあるのですが、それらを今読み返すとスムーズに理解できます。学生のころは経験がなく、教科書の内容は抽象化され過ぎていて、理論が意味するところもわからなかったのですが、50代になると「そうか、私はこれで失敗したのか」とうなずけます。本当に良くできていますよ、大学の教科書は。

もう一つは、失敗をすること。失敗は大事です。私にとっては、住信の人事部時代に企画した秋採用は引継ぎの仕方で失敗しました。私が採用研修担当を離れたら、すぐに廃止されましたから。私の残し方が悪かったわけです。それだけに、次に自分が新しいことを仕掛けるときは、自分がいなくなっても残る形を作りたかった。そのため、人事BPOサービスの事業を考えたときには、最初から会社を設立するつもりでした。

最後におうかがいします。リーダーを務めたことがなかった武谷様が社長になれた要因は何だと自己分析されますか。

私は「何に対して喜びを感じるか」を常に考えてきました。喜びを感じることとしては、三つあります。一つ目は、世の中に対する貢献です。「日本企業全体の生産性を上げる」などのことですね。二つ目は、何か課題を提示された際に、「こういうやり方があったのか」と周囲に思ってもらうこと。普通とは違う切り口、やり方で「ああ、そうか」と言わせたいタイプなんです。三つ目は、ないものを作る喜び・楽しみです。銀行に勤めていた際には、ある意味でやるべき種目が決まっていたのでスピード重視でした。今、私が手がけている人事BPOサービスは、種目が決まっていないので、自分でどこまでも拡張できます。これが自分の性格に合っているのでしょうね。

自分の根源的な喜びや楽しみがどこにあるのかを追求し、それに対して忠実に生きようとしていたことで、ここまで来られたのだと思います。

社長になったら、「自分はこの範囲の仕事をする」と最初に決めることができます。自分ができないこと、得意でないことは人に任せるのです。社長が全ての仕事に関われるほど、会社は小さい組織ではありません。そして、最後はリーダーとして社長が自分で決断するのです。

武谷 啓さん(エイチアールワン株式会社 代表取締役社長)

(2018年12月25日 東京・中央区のエイチアールワン本社にて)

社名エイチアールワン株式会社 HR One Corporation
本社所在地東京都中央区築地5-5-12 浜離宮建設プラザ
事業内容人事給与アウトソーシングサービス/シェアードサービスセンター一括受託サービス/タレントマネジメント/勤怠管理
設立2009年10月1日

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「HRペディア「人事辞典」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

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