HRソリューション業界TOPインタビュー「人・組織」ビジネスを牽引する希代の経営者

銀行や中央省庁での仕事経験を糧に
人事BPOサービスで日本企業の生産性向上に貢献する

エイチアールワン株式会社 代表取締役社長

武谷 啓さん

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人事業務の非効率さに気付き、外部受託ビジネスの絵を描く

2002年5月、人事サービス・コンサルティング株式会社の社長に就任されます。その経緯を教えてください。

当時、住信を含め各信託銀行は健全化計画のもと、税金である公的資金を注入されるなど、事業再建に必死でした。それこそ、大リストラを敢行していたころです。私は人事の企画・制度を手がけていたので、給与制度を変更したり、人員削減を行ったりしていました。

その中で、住信の人事給与業務に対して「なぜ、こんなことをしているのか」「これを変えたらコストも下がり、社員を一人辞めさせなくても済むのでは」などと思うことがありました。非効率さを解決すれば新たな価値が生まれるのではないかと考え、人事給与業務を外部受託するビジネスの絵を描いたのです。ただ、周囲は懐疑的でした。そこで米国に視察に行き、実際に立派にビジネスとして成り立っている様子を知ることができ、確信を得ました。

ほかの会社にも声をかけて一緒に集めてやれば、今までにないことができるのではないか。私なりにそう仮説を立てたのです。どうせやるなら金融ではないほうがいいし、住友グループ以外にアプローチしたほうが広がるのではと考え、松下電器産業(現・パナソニック)や花王などに直接お声かけし提案したところ、賛同を得ることができました。金融と製造業で、グループも違う大企業が共同で人事業務を行う会社を作ることになったわけです。

新会社を設立する段になって、「そろそろ役員を決めませんか」と関係者に持ちかけたところ、「武谷さんが社長をやるんじゃないの?」と。当時の私はまだ37歳。「金融の世界では50代で初めて社長になるのが普通」だと説明したのですが、「この会社は金融の会社ではないのだから年齢は関係ない」と言われ、私が就任することになりました。

2009年10月、エイチアールワンの社長に就任されます。エイチアールワンはどのような経緯で設立されたのでしょうか。

2009年に人事サービス・コンサルティングと、三菱商事系列のシェアードサービス会社「ヒューマンリンク株式会社」の人事アウトソーシング部門を経営統合しました。その際に、人事サービス・コンサルティングからエイチアールワンへと社名変更したわけです。こうした経緯もあって、社長は私が引き続き務めました。

武谷さんは現在、どのような思いで経営に取り組まれているのでしょうか。

武谷 啓さん(エイチアールワン株式会社 代表取締役社長)

二つの観点があります。一つは、当社の事業やビジネスが日本のためになると思っていること。日本の生産性は、先進国の中では下位に位置しています。一方で、人材の質を見ると世界では上位。人材を生かし、生産性が向上すれば、財政や社会保障の問題は相当改善されるはずです。当社が人事給与業務を担うことで、日本企業の生産性を上げていくことは、社会的価値が高いと思っています。

もう一つは、当社で一緒に働いている人たちが、より働きやすく、より自由闊達(かったつ)な言動ができる環境にしたいと考えていること。社内のルーティン業務は、常に改善しながら取り組むことが必要です。ルーティン業務をルーティンにしない風土を組織に根付かせさせなければいけません。そうすれば、働いている人たちも仕事が楽しくなりますから。

実はこうした考えは、当社を設立した折、一橋大学の一條和生教授から指南されました。「ビジネスモデルがとてもわかりやすい。人事の業界は遅れているから、それで十分に差別化できる。でも、差別化の源泉はそれだけではいけない。次はビジョン、さらには風土だ。ルーティンをルーティンでないようにする風土にすることが大事だ」、と。ここ4、5年は一條先生の教えの大切さを実感しています。

エイチアールワンの経営理念「人事プロセッシングにおけるインフラ機能とプロフェッショナル・サービスの提供を通じて、顧客の安定的な事業運営に貢献します」に込められた思いについて教えてください。

当社は、給与のアウトソーシングだけを行っている会社ではありません。社名に「エイチアール」とついている通り、さまざまな会社の人事に関するあらゆるデータをお預かりして、それをきちんと管理する。それを事業のベースとしています。また、経営理念に「プロセッシング」(加工)という言葉を入れています。データを集めること、貯めること、加工すること、そしてそのデータを活用すること、これらはどれも大変です。こうした人事業務を当社が行っているから、顧客企業は本業に専念することができます。それが経営理念の「顧客の安定的な事業運営への貢献」につながっているのです。

現在、貴社が特に注力されている課題があれば教えてください。

お客さまは現在、300社超いらっしゃいます。大企業から中小・中堅企業までさまざまです。今はお客さまからの引き合いが多すぎて、サービスの提供を絞りこまざるを得ない状況にあります。そういう意味では、どうやって供給力を上げていくかに尽きます。そこが一番大きいですね。

採用市場が厳しいので人がなかなか採れませんし、逆に引き抜かれたりもします。そのため、「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の導入をはじめ、いろいろとIT化を進めながら、供給力を高める工夫をしています。供給力さえ上がれば、もっとお客さまは増えてくると思っています。


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