「人と組織のソリューション」を提供することで、
個人と組織が相乗的に価値を高め合っている社会の実現を目指す

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

奥本英宏さん

課題に対して効果が出るところまで、総合的にソリューションを提供していく

貴社も含め「人・組織のソリューションを提供する業界」について、どのようなことをお感じになっていますか。

我々の業界に求められているのは、企業のHRM課題に対する実際の効果を出すことだと思っています。今、企業が抱える人・組織の課題は複雑になっています。例えば、女性の活躍推進にしても、女性社員に向けて研修を行えば済むという問題ではありません。また、育児休業などの制度を設ければいいわけでもありません。さらに、ローテーションの問題、男性管理職の意識といったようなことが、複雑に絡み合っています。これらの問題に対して、我々自身がトータルなソリューションを提供し、解決していかなければならないと思います。

もちろん業界の中で、教育会社、人事コンサルティング会社それぞれが高い専門性を持っています。それを顧客の現実的な課題に当てはめて、効果にこだわり、領域を超えて解決を思考し抜くことが求められています。

単体のソリューションでは限界があるということですか。

「研修」なら「研修」の専門家で問題はないのですが、顧客の事業モデルや、現場の実状、人事制度の運用状況など他の文脈も踏まえた上で、研修を行って成果を出さなくてはなりません。単に一律に研修を行えばいいということではないのです。

よく「人事はもっと戦略性を持って企業の中長期テーマに対して、または現場に対してもっと入り込んでいかなくてはならない。戦略的人事が求められる」ということを我々は言います。しかし、我々自身も当然、同じような状況に置かれています。我々自身が企業の経営や事業の方向性と人を、どのように結び付けていくか。また、現場の現実と人の成長を、どのように結び付けていくのか。真剣に企業と向き合ってこうした課題を解決していく必要性を強く感じます。

今、「経営者」として考えていらっしゃることは何ですか。

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 奥本英宏さん インタビュー photo

先ほど、社長に就任した際の三つのテーマをお話ししましたが、ソリューションへの転換はかなり進んできた実感があります。お客様からの評価も随分と変わってきました。CS調査を毎年行っていますが、その中で「課題解決力のある企業だ」という評価がこの3年間で、ずいぶんと高くなりました。また、我々が提供した研修に対するヒアリング調査も行っていますが、その中で「目的適合度」という指標があります。今回意図した目的に対して、我々のサービスが目的にかなう成果を出せたかをお聞きするものですが、その数値もここ数年、着実に上がっています。そういう意味では、お客様の課題に対して我々が提供するサービスの効果や価値が上がってきていると思います。ただ、グローバル化はまだこれからの課題。ここ2~3年をかけて強化していく必要があります。

奥本様自身の今後の展望をお聞かせください。

もともと「個をあるがままに生かす」というビジョンに共感して、新卒で入社しました。それから20年あまりが経ちましたが、今、会社として「個と組織を生かす」というビジョンを掲げています。このビジョンの実現に、全精力を使いたいと思っています。

そして最近、個人的に考えているのは、そのようなビジョンを自分たちだけで実現する必要はないのではないかということです。例えば、「個人のキャリア」の話に関連して言うと、社会人だけでなく、学生や一般の主婦の方にも提供できるといいという議論が社内でもあります。ただ、学生に対して我々がサービスを提供しようとなると、かなり大がかりな事業となります。一方で、大学生のキャリアを支援している機関やNPOはたくさんあるわけです。そういう組織と一緒に我々の持っているサービス、例えばトレーニングやカウンセリングの技術などを提供することにより、ビジョン実現に向けた活動の広がりが出せるのではないかと考えています。

人事向けサービスをはじめ、企業のサポート業務に携わる皆さまへメッセージをお願いします。

日本企業の人事が変革期にある中で、人と組織の活力を引き出すためのチャレンジをしてほしいと思います。顧客の課題は複雑化し、根深くなっています。そのため、単独のサービスで解決できない時に、先ほども申し上げたように、協働しながら課題解決できるようになればいいと思います。それぞれの持ち味やカラーを生かしながら、一緒に顧客の課題解決に当たってもいいかもしれません。

今、各企業の人事の方を集めて、今後起こり得る人事テーマに関するHR研究会を主催しています。日本の将来の人事を背負う各企業の若手人事担当者が中心となって、勉強・研究する機会を提供するものです。営業的なテーマでは業界横断的な集まりは難しいですが、人事に関しては各企業が同じような環境で、同じような課題を抱えているため、集まりやすいのです。お互いに情報を交換して、ベストプラクティスを共有することにより、課題解決につながることが多いように思います。このような情報提供と共有により、各企業の人事における相乗効果が生まれてくるのではないでしょうか。

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 奥本英宏さん インタビュー photo

(2014年7月30日 東京・千代田区・リクルートマネジメントソリューションズにて)

社名株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
本社所在地東京都千代田区丸の内1-9-2グラントウキョウサウスタワー
事業内容組織・人事コンサルティング
人材育成・研修
人材アセスメント・サーベイ
設立1989年

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「HRペディア「人事辞典」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

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