人事評価システムの機能・種類・比較ポイントを解説
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人事評価システムの機能・種類・比較ポイントを解説

人事評価システムとは、人事評価のプロセスを可視化し、一元管理するシステムのことです。これまでExcelや紙ベースで運用してきた人事評価を効率化でき、かつ評価の公正性を担保しやすいことから、中小企業においても導入が進んでいます。

人事評価システムの機能と種類、導入のメリットを整理するとともに、選び方・比較ポイントやおすすめのサービスを紹介します。

人事評価システムとは

人事評価システムとは

人事評価システムとは、従業員ごとの目標と達成度、自己評価と上長の評価、最終的な評価結果といった情報を一元管理し、人事評価を効率的かつ公正に行うためのシステムです。人事考課システムと呼ばれることもあります。

人事評価システムの機能は多岐にわたり、目標の達成度合いをもとに評価するMBO評価のほか、コンピテンシー評価、360度評価などさまざまな評価方法に対応しているものもあります。また昨今は、人事評価だけでなく、タレントマネジメントや人材育成に役立つ機能を備えたシステムも数多く提供されています。

テレワークが広がり人事評価が難しくなっていると言われている現在、的確な人事評価を実現する上で注目度が高まっているシステムです。

人事評価システムの主要な機能と実現できること

従業員情報の管理

従業員の経歴や実績、スキル、保有資格、研修の受講履歴、異動履歴などの情報を一元管理できます。散在しがちな従業員情報を集約できるので、人材開発や配属を検討する際にも役立ちます。

目標の管理

従業員ごとの目標を設定し、進捗を管理できる機能です。目標の達成度合いを確認・管理できるため、早期に目標を達成するための施策を検討するなどの対応が可能になります。また、面談で確認した進捗やフィードバック内容もシステムに登録できます。プロセスが明確になることで、より精度の高い評価を行えるようになります。

人事評価の管理

さまざまな評価テンプレートが搭載されており、自社の人事評価の方法に合わせた評価シートを作成できます。評価項目ごとのウェイトといった詳細設定が可能で、公正な評価に役立ちます。評価結果の入力・出力、共有もシステム上で行えます。また、過去の評価データはシステム上に蓄積されるため、簡単に確認することができます。

ワークフロー・ステータスの管理

目標管理や評価のワークフローを管理できる機能です。評価者の設定ができるほか、入力状況や面談の実施状況といったステータスを管理できます。期日までに対応できるよう、事前にアラートを出すことも可能です。

人事評価システムの種類

人事評価システムは、クラウド型・パッケージソフト型・オンプレミス型と大きく三つの形態が提供されています。それぞれの特徴は次の通りです。

クラウド型 インターネットを介してサービスを利用する形態です。環境構築のためのコストと時間がかからないため、導入コストを抑えられ、短期間で利用を開始できるというメリットがあります。
一方で、インターネット接続ができることが前提となるため、接続環境に注意が必要です。また、自社に合わせたカスタマイズは難しいという点がデメリットとなります。
パッケージソフト型 ソフトウェアを購入してパソコンにインストールする形態です。クラウド型に比べて導入費用はかかりますが、運用コストを抑えられるというメリットがあります。
ただし、バージョンアップやメンテナンス、セキュリティ対策は自社で行う必要があり、自社に合わせたカスタマイズはできません。
オンプレミス型 自社サーバーにシステムを構築する形態です。自社の人事評価制度に合わせてカスタマイズできる点が大きなメリットです。また、自社のセキュリティ基準に合わせられるという利点もあります。
ただし、初期費用が高額で、導入までに期間を要するというデメリットがあります。システムのバージョンアップやトラブルが起きた場合は、自社で対応する必要があります。

人事評価システムを導入するメリット

人事評価システムを導入するメリット

これまでExcelなどで管理してきた場合、人事評価システムの導入によってどのようなメリットを得られるのか、以下に整理しました。

【メリット1】人事評価の運用・管理を効率化

Excelなどを使って運用・管理する場合、評価シートの作成から配布・回収、集計・分析、ファイル管理などの業務に多くの労力と時間を要します。人事評価システムを導入することで、目標・進捗の管理や人事評価にまつわる業務をシステムで完結できるため、運用・管理の工数を削減できます。

また、システム上でステータスを管理できるため、提出漏れや遅延があった場合にもすぐに対応できるというメリットがあります。

【メリット2】評価の質が向上

人事評価の課題の一つに、評価者の主観や感覚が混じることによって評価にばらつきが生じることが挙げられます。人事評価システムでは評価項目を詳細に設定でき、かつプロセスも可視化されるため、公正な評価につなげやすいというメリットを得られます。

【メリット3】従業員のモチベーションが向上

評価基準や評価のプロセスが明確に示されるため、従業員は公正に評価されていることを理解できます。透明性の高い人事評価は、従業員のモチベーション向上に貢献します。

【メリット4】人材配置の最適化

人事評価システムに各従業員のデータが集約されるため、適材適所の配属を検討する際に役立ちます。上長の主観や感覚ではなく、客観的なデータから最適化できる点はメリットの一つです。システムによっては、評価や実績、保有スキルなどの条件で検索できる機能を備えたものもあり、タレントマネジメントにも活用できます。

【メリット5】分析結果をマネジメントに活用

システムによっては分析機能を充実させているものもあり、分析結果をマネジメントや人材育成の場面に役立てることができます。また、従業員の声を収集できるシステムも提供されており、離職防止に役立てることができます。

人事評価システムの選び方・比較ポイント

人事評価システムの選び方・比較ポイント

人事評価システムを選ぶ際に留意すべきポイントを見ていきます。

【ポイント1】特化型・汎用型の違い

人事評価システムは、人事評価業務に特化したタイプと、タレントマネジメントや人材育成なども視野に入れた幅広い人材管理業務に対応する汎用型の2タイプに大別されます。自社の課題や導入目的によって必要なタイプは変わるため、まずは何を解決したいのか、どこまでの業務に活用したいのかを明確にすることが必要です。

【ポイント2】導入目的にあった機能があるか

人事評価システムの機能は提供各社で幅があるため、まず自社の状況やフローに照らし合わせながら必要な機能を洗い出すことが重要です。

たとえば、部署の統廃合が頻繁に行われる場合、データ移行が簡便なタイプが望ましいといえます。また、従業員全員がPCを扱わない業種の場合は、モバイルに対応しているかを確認する必要があります。

多機能なほど費用がかさむ傾向があるため、機能に過不足がないように選定するのがポイントです。

【ポイント3】自社の規模に適しているか

人事評価システムには、小規模の中小企業にも対応しているものと、従業員規模が1000名を超える大企業向けのものがあります。強化している機能や使い勝手が異なるため、従業員規模や自社の組織に合ったタイプを選ぶことが大切です。

【ポイント4】自社の評価制度に対応できるか

搭載されている人事評価の方法は、提供各社で異なるため注意が必要です。ほとんどのシステムは目標管理制度(MBO評価)に対応していますが、なかにはコンピテンシー評価や360度評価などさまざまな手法が可能になっているものもあります。

自社の評価制度をそのまま移行したい場合は、評価シートの形式が自社に合っているかどうかを確認する必要があります。評価項目を自由に設定できるかなどの柔軟性も確認しておくと良いでしょう。

【ポイント5】費用感が合っているか

導入・運用の費用は、提供形態によって大きく異なります。

クラウド型は導入コストを低く抑えられ、多くの場合は利用人数に応じた月額制の料金体系となっています。

パッケージソフト型は、導入時に費用がかかりますが、クラウド型のように毎月の運用コストは発生しません。ただし、自社でセキュリティ対策を講じる必要があるため、その分の費用を見込んでおく必要があります。

オンプレミス型は、環境の構築やシステム開発を要するため、導入コストは高額になります。また、保守・メンテナンスなどの運用コストも発生します。

従業員規模が小さい中小企業では、導入・運用のハードルが低いクラウド型が現在の主流となっています。コストと機能面、カスタマイズの必要性などを鑑みながら、自社に適したものを選択すると良いでしょう。

【ポイント6】他のシステム・ツールと連携できるか

人事評価システムの中には、勤怠管理システムや給与管理システム、日報ツール、会計ソフトなどと連携できるタイプもあります。他のシステム・ツールと連携することで、より業務効率を高めることができます。

【ポイント7】セキュリティ対策が講じられているか

人事に関するデータは、情報漏えいに注意しなければなりません。強固なセキュリティ対策が講じられているか、アクセス権限の設定ができるかといった観点からチェックします。特にクラウド型は、提供会社のセキュリティレベルに委ねることになるため、事前に確認しておくことが重要です。

【ポイント8】サポート体制はあるか

導入前・導入後に不具合や疑問が生じるケースもあるため、サポート体制があると安心です。継続的なサポートを受けられるか、対応は電話・メール・来社のいずれが可能か、無料・有料の範囲などを確認しておくと良いでしょう。

人事評価システムを導入する際の注意点

人事評価システムを導入する際の注意点

人事評価システムを導入する際は、以下の点に留意する必要があります。

評価制度自体を見直す必要が出てくることも

システムの導入に際しては、評価項目の設定や承認フローなど、これまでの評価制度自体の見直しが必要になる場合もあります。また、システムでの運用をスタートした後に、評価の妥当性を再検討して評価制度自体を見直す必要性が生じるケースもあります。

こうした状況が起こり得ることも想定した計画・スケジュールを立てておくことで、スムーズな導入・運用につなげることができます。

運用ルールを事前に決めておく

運用ルールが不明瞭だと、導入後に現場が混乱してしまうことが考えられます。運用の管理者や権限、フローなどのルールは事前に決めておかなければなりません。人事担当者を中心に、現場の意見も聞きながら進めることが円滑な運用のポイントです。

従業員への周知徹底と不満への対応

人事評価は従業員に大きな影響を及ぼすものです。システム化に際して不安が生じないよう、導入の目的やメリットを周知し、納得感を醸成しておくことが大切です。従業員から不満が上がった場合の対応についても、事前に決めておくことをおすすめします。

それでは、実際にどのような人事評価システムがあるのか、紹介していきます。

人事評価システムを提供する全国のソリューション企業一覧

企業名 サービス名
株式会社アクティブアンドカンパニー sai*reco
株式会社あしたのチーム あしたのクラウド
インフォテクノスコンサルティング株式会社 ROSIC
株式会社HRBrain HRBrain
AJS株式会社 人事評価システム P-TH+
株式会社Ex-Work Job-us
SAPジャパン株式会社 SuccessFactors
株式会社エスユーエス SUZAKU
株式会社エン・ジャパン Talent Viwer
株式会社オービックビジネスコンサルタント 奉行クラウド
株式会社カオナビ カオナビ
株式会社くじらシステム開発 モノドン
株式会社サイダス CYDAS PEOPLE
株式会社シーグリーン ヒョーカクラウド
株式会社SmartHR SmartHR
スマカン株式会社 スマカン
株式会社ソリューション・アンド・テクノロジー WiMS/SaaS
株式会社Touch&Links ヒトマワリ
タレンタ株式会社 SilkRoad Performance
株式会社電通国際情報サービス POSITIVE
日本オラクル株式会社 Oracle HCM
株式会社日本経営 人事評価ナビゲーター
公益財団法人日本生産性本部 cHaRt
株式会社パーソル総合研究所 HITO-Talent
ハイマネージャー株式会社 HiManager
株式会社ビジネスネットコーポレーション GooooN
株式会社ビズリーチ HRMOS
株式会社日立ソリューションズ リシテア
フォスターリンク株式会社 HR-Platform
株式会社プラスアルファ・コンサルティング タレントパレット
株式会社ミナジン MINAGINE
株式会社MIRAI Step Up Cloud
株式会社Works Human Intelligence COMPANY
株式会社ワン・オー・ワン スキルナビ

人事評価システムのサービスを比較して資料請求

以下の表で、おすすめの人事評価システムの「特徴」「製品形態」「サポート体制」「費用」などを比較して一括で資料請求できます。

多様化する働き方・雇用形態に対応し、人事評価の公正性を実現

働き方や雇用形態が多様化する今、適切な人事評価を実現するためのハードルは高まり、マネジメント層や人事担当者の負担も重くなりがちです。しかし、従業員のモチベーション維持や離職防止には、公正で透明性の高い人事評価を実現することが必須といえます。

近年の人事評価システムは、時代の変化に応じて企業の課題に即した機能を付加するなど、対応範囲が広がっています。業務効率化はもちろん、組織課題を解決するシステムとしても検討してみてはいかがでしょうか。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「HRペディア「人事辞典」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

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