キャリアコンサルタント養成講座の傾向と選び方
~必要な背景、講座の内容、代表的な講座の一覧~

キャリアコンサルタント養成講座の傾向と選び方

キャリアコンサルタントとは、能力開発やキャリア形成に関するコンサルティングを行う専門家です。2016年4月に国家資格となりました。人事が取得することで、人事課題の把握や人材の定着促進、従業員のキャリア支援、経営施策への貢献といったさまざまなメリットが得られます。

キャリアコンサルタント資格取得への近道となるのが、各社が提供している「キャリアコンサルタント養成講座」です。キャリアコンサルタントが必要とされる背景を整理するとともに、キャリアコンサルタント養成講座の内容やトレンド、サービス比較のポイントを紹介します。

1. キャリアコンサルタントとは

キャリアコンサルタントとは

キャリアコンサルタントとはどのような役割を果たすのでしょうか。また、キャリアコンサルタントが必要とされる理由や資格取得のメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

キャリアコンサルタントはキャリア形成を支援する国家資格

「キャリアコンサルタント」は、2016年4月に職業開発促進法で規定される国家資格となりました。労働者の能力開発やキャリア形成を支援する専門家として、企業内をはじめ、ハローワークや教育機関などさまざまな分野で活躍しています。

厚生労働省のデータによると、2021年8月時点での登録者数は59,755人となっており、全国に資格取得者が広がっていることがわかります。

キャリアコンサルタントの役割は、労働者が職務上抱えている不安や課題を傾聴し、労働者が自ら能力開発やキャリア形成に意欲的に取り組めるよう働きかけることです。単なる転職支援ではなく、個々の適性や能力、ライフスタイルなどに応じて、労働者が主体的にキャリアの方向性を選択できるようにすることが求められます。また、こうした活動により、企業の組織力強化や業績向上につながる効果が期待されています。

キャリアコンサルタントには、次のような知識・スキルが求められます。

【キャリアコンサルタントに必要な知識・スキル】

  • キャリアに関する理論
  • 職業能力開発やキャリア形成支援の知識
  • メンタルヘルスの知識
  • 個人の多様性への理解
  • カウンセリングに関する理論と技能

このようにキャリアコンサルタントは労働者にとって職業生活の満足度を高めてくれる存在であり、企業にとっては人事課題の解消や組織力強化に貢献するプロフェッショナル人材という位置付けとなります。

キャリアコンサルタントが必要な理由と資格取得のメリット

厚生労働省は、2024年度までに10万人のキャリアコンサルタントを養成するという計画を公表しています。今、キャリアコンサルタントが求められる背景には、社会環境および個人の働き方の変化があります。

働き方の多様化が進み、ワークライフバランスが重視されるようになったのと同時に、キャリア形成が難しいという問題が浮上しました。こうした環境下で企業が継続的に成長していくには、社員が自発的かつ意欲的に能力開発に取り組むキャリア自律が求められます。

また、労働者からすると、働き方の選択肢が増えている一方で、将来を見据えたキャリア開発に取り組む重要性が増しています。これらの理由から、労働者の自己実現を助け、企業の成長を人材面からサポートする専門家として、キャリアコンサルタントの必要性が高まっているのです。

人事がキャリアコンサルタント資格を取得することで、次のようなメリットが期待されます。

【キャリアコンサルタント資格を取得するメリット】

  • 社員のキャリア自律の促進
  • 多様な人材が活躍できる組織づくりに貢献
  • 人材の定着に貢献
  • 業績や生産性向上に貢献

自社への貢献度が高くなるとともに、社員から信頼され、キャリア形成やモチベーションに影響を与える存在となることは、キャリアコンサルタントの大きなやりがいです。とくに人事の場合、資格取得後すぐに実践に生かせるというメリットもあります。

キャリアコンサルタントになるためのステップ

キャリアコンサルタントになるためには、次の三つのステップを踏みます。

ステップ1. キャリアコンサルタント養成講習を受講
まずは、厚生労働大臣認定のキャリアコンサルタント養成講習を合計150時間受講する必要があります。実務経験が3年以上ある場合は受講せずに試験を受けることも可能ですが、しっかりと専門スキルを身につけるためにも、受講したほうがよいでしょう。
ステップ2. 受験
キャリアコンサルタントの国家試験は、学科・実技(論述・面接)の両方に合格することが必要です。学科試験はマークシート式、実技の論述試験は設問に記述式で答えます。面接では、キャリアコンサルタント役として15分間のロールプレイングを行います。

試験は、特定非営利活動法人の「日本キャリア開発協会」および「キャリアコンサルティング協議会」の二つの機関が実施しています。国家資格の中では、比較的高い合格率となっています。
ステップ3. キャリアコンサルタント名簿に登録
国家試験に合格後、キャリアコンサルタント名簿に登録することで、キャリアコンサルタントと名乗ることができるようになります。

キャリアコンサルタントは、5年ごとに更新しなければなりません。自動更新にはならない点に注意が必要です。更新要件として、厚生労働大臣指定の更新講習(知識・技能)を38時間以上受けることが定められています。

2. キャリアコンサルタント養成講座とは

キャリアコンサルタント養成講座の種類とトレンド

キャリアコンサルタント養成講座とはどのようなものなのか、また、昨今のトレンドについて解説します。

キャリアコンサルタント養成講座の内容

国家資格のキャリアコンサルタント取得を目指す養成講座は、受験要件を満たす、150時間の知識・技能講習を実施するものです。カリキュラムは厚生労働省が指定しているものですが、指導方法・学習方法は各社で異なります。試験対策となる模擬試験やロープレの個別指導付きなど、合格率アップとスキル習得に役立つ多様なサービスも提供されています。

キャリアコンサルタント養成講座を提供している企業の中には、企業のキャリア研修の内製化を支援するプログラムを提供しているケースもあります。社員が講師となって研修を実施できるようサポートするプログラムで、社内講師育成トレーニングをはじめ、講義やワークの内容、使用テキストの相談、運用マニュアルの作成といったメニューが提供されています。

キャリアコンサルタント養成講座のトレンド

最近の国家資格のキャリアコンサルタント養成講座では、受講のしやすさやスキル習得方法においてさまざまな工夫がなされています。

たとえば、通学またはオンライン受講から選択できたり、自宅での通信学習と登校での実技演習を組み合わせて短期間で学べたりするなど、働きながらでも受講しやすい多様な学習スタイルが提供されています。また、少人数体制でのグループワークやロールプレイング、繰り返し視聴できるeラーニングなど、着実に知識・スキルを身につけるために、さまざまなプログラムが提供されています。

3. キャリアコンサルタント養成講座の選び方

キャリアコンサルタント養成講座の選び方

国家資格のキャリアコンサルタント養成講座を選ぶ際のチェックポイントを紹介します。

ポイント1. 受講のしやすさ

仕事をしながら資格取得を目指す場合は、受講のしやすさが大きなポイントとなります。

キャリアコンサルタント養成講座では、通学やオンラインといった受講スタイルにくわえ、平日の夜間、週末集中型など、さまざまな形態が提供されています。自分の都合にあわせた受講が可能か、また、スクールがアクセスしやすい場所にあるかをチェックしておきます。

また、やむを得ず欠席というケースが起こり得る場合は、振替受講が可能かどうかもチェックしておきたいポイントです。

ポイント2. 講習内容・教材のクオリティー

講座内容や教材のクオリティーは、合格率だけでなく、実践に生かす上でも重視したいポイントです。

各社がさまざまな工夫を凝らしており、最新のビジネス事情を反映した実践的な内容の拡充や、試験対策の強化などオリジナルテキストに注力しているところもあります。また、実践力を磨くためのグループワークやロールプレイングなどは各社でやり方が大きく異なっている部分です。事前にそれぞれの講座の特徴をしっかり押さえた上で選択することが重要です。

ポイント3. 学習のサポート体制

効率的な学習を実現するには、サポート体制も確認すべきポイントの一つです。たとえば、疑問点にすぐに答えてくれる、課題添削を丁寧に行ってくれる、といった個別サポートが充実していると、不安なく進めることができます。

ポイント4. 費用面の比較

キャリアコンサルタント養成講座の費用は各社で幅があり、30~40万円程度が相場です。専門実践教育訓練給付金制度の対象となっている講座であれば、最大で70%が戻ってくるので、費用を比較するときにしっかり確認したいところです。ただし、受給には資格要件があるので、注意が必要です。

ポイント5. 資格取得後のアフターフォロー

スクールによっては、資格取得後のキャリアアップや就職支援などのアフターフォローも行っています。キャリアパスを考えている場合は、必要に応じて確認しておくとよいでしょう。

4. キャリアコンサルタント養成講座を提供する全国のソリューション企業一覧

会社名 講習名 開催予定地 オンライン 形態・時間 受講料
学校法人大原学園 キャリアコンサルタント(通学・通信)養成講習 埼玉県,千葉県,東京都,神奈川県,愛知県,大阪府,福岡県 通学88時間
通信72時間
294,000円
(税込)別途、入学金6,000円
公益財団法人関西カウンセリングセンター 公益財団法人関西カウンセリングセンターキャリアコンサルタント養成講習 大阪府 通学88時間
通信62時間
346,500円
※テキスト・資料代含む
公益財団法人関西生産性本部 公益財団法人関西生産性本部キャリアコンサルタント養成講座 大阪府 通学91時間
通信72時間
357,500円
(会員割引有り)
特定非営利活動法人キャリアカウンセリング協会 GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム 埼玉県,東京都,神奈川県,愛知県,大阪府,福岡県 通学96時間
通信54時間
396,000円
※受講料・テキスト代含む
株式会社キャリアドライブ トータルリレイションキャリアコンサルタント養成講習 神奈川県,静岡県 通学91.5時間
通信58.5時間
300,000円
税別、各種割引有
株式会社グローバルテクノ キャリアコンサルタント養成講習 東京都 通学90時間
通信68時間
246,400円
(税込)令和3年度特価
株式会社テクノファ キャリアコンサルタント養成講座 神奈川県 通学105時間
通信67時間
238,000円
(キャンペーン価格・税抜)
株式会社東京リーガルマインド LEC東京リーガルマインドキャリアコンサルタント養成講座 北海道,宮城県,埼玉県,千葉県,東京都,神奈川県,静岡県,愛知県,京都府,大阪府,兵庫県,岡山県,広島県,徳島県,香川県,福岡県 通学90時間
通信65時間
302,500円
(税込)※受講料・テキスト代含む(各種割引制度あり)
特定非営利活動法人日本カウンセリングカレッジ NCCPキャリアコンサルタント養成講習 東京都 通学88時間
通信65時間
258,000円
(税込・教材費別)開講記念特別価格
特定非営利活動法人日本キャリア・マネージメント・カウンセラー協会 CMCAキャリアコンサルタント養成講習 北海道,東京都,福岡県 通学110時間
通信40時間
352,000円
一般社団法人日本産業カウンセラー協会 キャリアコンサルタント養成講習 北海道,岩手県,宮城県,茨城県,栃木県,群馬県,埼玉県,千葉県,東京都,神奈川県,新潟県,石川県,長野県,静岡県,愛知県,三重県,京都府,大阪府,兵庫県,岡山県,広島県,徳島県,香川県,愛媛県,高知県,福岡県,佐賀県,長崎県,熊本県,大分県,宮崎県,鹿児島県,沖縄県 通学84時間
通信69時間
330,000円
※テキスト・資料代含む
公益財団法人日本生産性本部 キャリアコンサルタント養成講座 群馬県,東京都,新潟県,石川県,長野県 通学92時間
通信87時間
384,000円
(税抜)会員:326,400(税抜)
株式会社日本マンパワー 国家資格「キャリアコンサルタント養成講座(CDA資格対応)」 北海道,岩手県,宮城県,埼玉県,千葉県,東京都,神奈川県,富山県,石川県,長野県,静岡県,愛知県,京都府,大阪府,兵庫県,島根県,岡山県,広島県,山口県,徳島県,香川県,愛媛県,高知県,福岡県,長崎県,熊本県,大分県,宮崎県,鹿児島県,沖縄県 通学96時間
通信90時間
374,000円
入学金不要、教材費込(割引制度あり)
パーソルテンプスタッフ株式会社 GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム 東京都,愛知県,大阪府 通学96時間
通信54時間
396,000円
※受講料・テキスト代含む
株式会社パソナ 100年キャリア講座キャリアコンサルタント養成講習 東京都 通学76時間
通信74時間
385,000円
ヒューマンアカデミー株式会社 キャリアコンサルタント養成講座 北海道,宮城県,栃木県,埼玉県,千葉県,東京都,神奈川県,静岡県,愛知県,京都府,大阪府,兵庫県,岡山県,広島県,香川県,福岡県,熊本県,鹿児島県,沖縄県 通学80時間
通信78.5時間
302,500円
※入学金・教材費は別途
株式会社リカレント キャリアコンサルタント養成講座 東京都,神奈川県,愛知県,大阪府 通学150時間 437,800円
※入会金・教材費は別途
キャリアコンサルタント養成ライブ通信講座 宮城県,埼玉県,千葉県,東京都,神奈川県,愛知県,大阪府,兵庫県 通学75時間
通信75時間
360,800円
※入会金・教材費は別途
株式会社労働調査会 キャリアコンサルタント養成講習 東京都 通学88時間
通信62時間
320,000円
早期割引価格270,000円(税込み)
※厚生労働省「キャリアコンサルタント講習検索サイト」を基に作成

5. 従業員のキャリア形成支援を行う企業は助成金の対象

厚生労働省では働き方改革の一つとして「キャリアコンサルティング制度」を設け、従業員のキャリア形成支援を行っている企業に助成金を支給しています。キャリアコンサルタントは、労働者の職業生活の充実を支援し、企業の組織力や生産性・業績に大きく貢献する専門家として、ますます期待が高まっています。優秀人材の獲得や定着を課題とする企業は、積極的に資格取得の支援を検討したいところです。

このほかにも厚生労働省では、企業におけるキャリア形成支援をさまざまな形で行っています。たとえば、キャリアコンサルティング面談と多様なキャリア研修などを組み合わせて、従業員の主体的なキャリア形成を促進・支援する「セルフ・キャリアドック」の導入促進。従業員のキャリア形成支援活動を推進するためのヒントを提供する、啓発的な診断ツールとしての「キャリア健診」などです。詳しくは厚生労働省のWebサイトをご覧ください。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「HRペディア「人事辞典」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

HRソリューションの傾向と選び方のバックナンバー