人材ビジネスを起点に、
個と組織をポジティブに変革する!
目の前の顧客と経営に集中する中で「理念」が生まれた

株式会社ウィルグループ 代表取締役会長 兼 CEO

池田良介さん

「人材開発」こそが人材ビジネスの役割になっていく

 現在の人材関連市場をどのように分析されますか。

需給ギャップという点から見ると、完全に2008年のリーマンショック前に戻ったと見ています。人手不足により、需要が大きく、人材業界には追い風。働く人にとっても、ワークスタイルの選択肢は増えているし、賃金も上がりやすい状況になっています。もちろん、それは人材業界にとっても採用の難しさにつながるわけですが、トータルで見れば良い時代になってきていると思いますね。

企業は生産性を上げるために優秀な人材、経験のある人材を求めますが、今の流れの中ではそこにこだわっては採用ができません。どうしてもスキルのない人を採って、育てていかなくてはいけない。そこは人材業界も同じです。未経験者をいかにスキルドワーカーに変えていくか。一人ひとりのエンプロイアビリティー(雇用される能力)を伸ばして、どこにでも就職できるような力をつけるサービスが重要になっています。そこができない人材会社は評価されない。つまり、人材業界は「育成力」で競い合う時代だということでしょう。

株式会社ウィルグループ 代表取締役会長 兼 CEO 池田 良介さん インタビュー photo

その意味では、私たちの「ハイブリッド派遣」はアドバンテージになっていると思います。仕事のスキルは座学よりもOJTのほうが伸ばせる部分が大きいですし、社員がすぐそばで見ていることで一人ひとりに必要なトレーニングを正確に把握できる。コーディネーターが派遣スタッフに電話したり、時々様子を見にいったりするレベルでは絶対に実現できない、密度の高い人材育成が可能になります。スキルを身につけたいスタッフにとっても、生産性を高めたい顧客企業にとっても良い選択肢を増やせるシステムだと思います。

また、スタッフの皆さんに正社員へのキャリアパスを用意し、社員登用につながる試験を定期的に行っています。一スタッフからスタートして社員になり、事業部長にまで昇進しているケースもあります。

 最後に人材ビジネスに携わる若い後輩の皆さんに向けて、メッセージをいただけますでしょうか。

政府が主導して「働き方改革」を打ち出すなど、現在、ワークスタイルは大きな変革の時代にあります。先ほど述べたテクノロジーによっても、働き方は確実に変化していくでしょう。人材ビジネスは、その変化に対応するイノベーションの先頭に立つ必要があります。逆にいえば、とても大きなチャンスがある時代。今、世の中にない価値、サービス、製品など、「これがあればもっと良くなるのに」というアイデアを持っている人はどんどん事業を起こすべきでしょうね。そのための環境も整ってきています。私たちもそういうアイデアやビジョンを持つ人には積極的に投資をしていきたいと考えています。

さらに一つアドバイスをするなら、「経営者になりたい」と思っている人は、「経営者になること」を目的としないほうがいい。これは私自身の経験からの反省。経営者になったとたんに苦労しますよ。最も大切なのは、自分が経営者になって実現したい理想やアイデアがあるかどうか。それがある人は絶対にチャレンジするべきだと思います。

株式会社ウィルグループ 代表取締役会長 兼 CEO 池田 良介さん インタビュー photo

(2017年4月21日 東京・中野区のウィルグループ本社にて)

社名株式会社ウィルグループ
本社所在地東京都中野区本町一丁目32番2号ハーモニータワー27階
事業内容人材派遣、人材紹介、業務請負、語学教室などを展開するグループの持株会社
設立2006年4月

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「HRペディア「人事辞典」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。

HRソリューション業界TOPインタビューのバックナンバー