人材ビジネスを起点に、
個と組織をポジティブに変革する!
目の前の顧客と経営に集中する中で「理念」が生まれた

株式会社ウィルグループ 代表取締役会長 兼 CEO

池田良介さん

2020年までに1000億円企業グループを実現、さらにその先へ

 現在注力されている事業、分野などについてお教えください。

ウィルグループとしての当面の目標は、中期経営計画にも掲げている「2020年3月期までに売上1000億円を実現」です。この段階では中心になるのは、まだまだ人材ビジネス。本業で業界ナンバーワンを目指し、土台をしっかり固めていきます。ただ、人材ビジネスに関しては、経営から現場まで任せられるリーダーが育ってきているので、私自身はもっと先を見すえた新規事業や海外展開に力を入れています。

新規事業は、人材以外の「遊ぶ」「学ぶ」「暮らす」などの分野で、新しくポジティブな選択肢を提供するビジネスに取り組んでいます。といっても、まったく新しい事業を手がけるのではなく、最初は「学校向けにネイティブの英語教師を派遣する」といった、私たちがすでに持っているノウハウを、新しい分野に応用するやり方が軸になると思います。例にあげた教育分野は、すでにボーダーリンクという会社が立ち上がって成長軌道に乗りつつあります。

また、市場が大きい海外事業にも積極的な投資を行っています。シンガポール、マレーシア、ミャンマーなど東南アジアの拠点はすでに稼働していて、現地スタッフが非常に頑張ってくれています。ただ、人材ビジネスは働く人の賃金をベースにして売り上げが決まりますので、賃金水準が相対的に低いASEAN諸国での事業が、グループに大きく貢献してくれるのはもう少し先になるでしょう。その意味では直近でM&Aを行ったオーストラリアなどへの期待度は高いですね。

 イノベーション人材の育成やベンチャー投資にも力を入れられているとお聞きしました。

株式会社ウィルグループ 代表取締役会長 兼 CEO 池田 良介さん インタビュー photo

国内の生産年齢人口の減少という動きは、もはや止めようがありません。当然、AIやロボット、IoTなど、さまざまなテクノロジーを活用して生産性を高めることが求められてきます。課題は山のようにありますが、同時にその課題を解決するイノベーションを起こせる人材やベンチャーにとっては、非常に大きいチャンスのある時代だと思います。

そこで、私たちも「ウィルグループHR Techファンド」をはじめ、イノベーション人材やベンチャーを支援する取り組みを強化しています。これは完全なオープンイノベーションで、私たちは投資を行い、その中から得た知見を自社のビジネスに組み込むこともあるでしょうし、M&Aという選択肢もあるかもしれない。私たちはこれまで、どちらかというとヒューマンタッチなビジネスを手がけてきましたが、コーディネーターやキャリアカウンセリングといった仕事が、10年後にはAIやチャットボットに置き換わっている可能性もあるわけです。変化する環境の中で成長を続けていくには、既存のビジネスモデルに安住するのではなく、先行してイノベーションを起こすことが重要だと考えています。

 人材ビジネスだけにとどまらないという発想もその一つということでしょうか。

「夢」の部分も含めた長期的な構想としては、「W・I・L・L」の四分野でそれぞれ年商1000億円、グループ全体で4000~5000億円というビジネス規模になるのが一つの到達点かもしれません。そうなればより多くの「個と組織にポジティブな変革」を提供できる企業体になっているはずです。そこから考えると現状は理想に対してやっと二合目程度。まだまだこれからです。

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