HR業界TOPインタビュー「人・組織」ビジネスを牽引する希代の経営者

株式会社ベネフィット・ワン 代表取締役社長

白石 徳生さん

「サービスの流通創造」という斬新なビジネスモデルで起業
 現在は「BPOのワンストップ・ソリューション」にも挑む
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(2016/04/28掲載)

コンセプトは「サービスの流通創造」。創業から24ヵ月目での黒字化

―― 現在のベネフィット・ワンにつながる事業アイデアは、どのようにして生まれたのでしょうか。

「社内ベンチャーコンテスト」に応募したのは1995年で、日本にインターネットが急速に普及した年です。そのため、最初に考えたのは「インターネットを活用したビジネス」。そこに、以前から温めていたアイデアを組み合わせていきました。もともと福利厚生をテーマに何かをしようとしたわけではなく、最初に生まれた基本的なコンセプトは、「インターネットを使ったサービスマッチング」を「会員制」で行う、というものでした。世の中には飲食、娯楽、医療、教育をはじめ、無数の「サービス」があります。ところが、これらのサービスはモノと違って「流通」がありません。サービスを提供するサプライヤーから直接買っています。当然、比較・検討ができないので、結果的に消費者は、広告宣伝などによって知名度の高いサービスを買うことが多くなります。しかし、広告宣伝費というのは、サービスの価格に転嫁されて消費者が負担しています。つまり、サービスに関しては「もっとも高いものを買う」のが普通になっていることが問題だと考えたのです。

インターネットを使えば、形のないサービスをユーザーが比較・検討して買うことが可能です。つまり、ある種のデパートのような場をつくることができます。ただし、そこでサービスのサプライヤーから販売手数料を取ると、今度は利益率の高いサービスばかりを売るようになるのではないか、というジレンマに突き当たります。そうなるとせっかく比較・検討する意味もなくなってしまいます。

そこで、私たちは販売手数料を一切取らず、収益はユーザーからの「会費」でまかなうことにしました。ただし、一般の方からいきなり会費をもらうのは難しいとわかっていました。これまでになかったよくわからない新しいサービスに対して、すぐにお金を払う人はいませんから。そこで頭に浮かんだのが企業の「福利厚生」でした。「企業は福利厚生にそれなりの費用をかけて社員の生活支援を行っており、社員専用の“職域販売”という会員制モデルがあること」に目を付けたのです。

白石 徳生さん インタビュー photo

人材派遣を行っている時に、メーカーから頂いたデッドストック商品やサンプル品を派遣スタッフさんにプレゼントして喜ばれた経験がありました。また、割引提供などは通常はメーカーが許さないのですが、先に挙げた職域販売という福利厚生を大義名分にするのであればOKだったんです。これらを組み合わせて、「福利厚生をアウトソーシングすれば、手数料をもらわずにさまざまなサービスや商品を卸売価格で提供できる」というアイデアが固まりました。

企業は自前で福利厚生を整備する必要がなくなり、費用も削減できます。サービスのサプライヤーは大口の利用者が見込めるので、卸売価格に近い価格でサービスを提供しても、十分に採算がとれます。そして、企業の従業員は豊富なメニューの中からサービスを自由に選んで利用することができます。さらには私たちも、企業からアウトソーシングサービスを受託することで安定した運営が可能になるという、ビジネスモデルが生まれたわけです。

―― これまでになかったサービスですが、黒字化までの道のりはどのようなものでしたか。

実は2年で黒字にしなければならないという約束でスタートし、ちょうど2年後に単月黒字になりましたが、それまではかなり苦労しましたね。新しいものはどんなにいいものだと説明されても、最初はなかなか受け入れられない。そこをどうやって突破していくのか、という戦いでしたね。

福利厚生アウトソーシングというビジネスモデル自体、わずかではありますが弊社が参入する以前からありました。ただ、設立前にテストマーケティングを行ってみると、福利厚生アウトソーシングはほとんど認知されていない状態でした。そこで私たちは、ほぼまっさらな市場に、「規模感」を持ち込んでいったのです。保養所の数は、先行していた企業では「30~40ヵ所」でしたが、私たちはいきなり「300~500ヵ所」でスタートさせました。現在では海外も含めて、数十万という数になっています。ガイドブックもカラーで300ページもあるものをつくり、会員全員に配布しました。サービスそのもののコンセプトは同じでも、他社とは中身の濃さが全く違っていたと思います。

ただし、最初から思い切った展開をしたので、投資額もそれなりに膨らみました。当時のパソナの新規事業としては破格の予算だったはずです。ストック型のビジネスモデルなので、コツコツやっていけばいずれ必ず黒字化することがわかっていて自信もあったのですが、2年で黒字化という約束は破れません。そこで24ヵ月目を目前にして、24名いた社員を8名にまでリストラする決断を下しました。組織を小さくして損益分岐点を下げ、期限ギリギリで黒字化を達成しました。本当につらい経験でしたが、拡大路線のみならず、戦略的に引く経験もしたことで現在の私たちがあると思っています。


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